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傳光録 (No. 2585_ 瑩山紹瑾語 ) in Vol. 82

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リ。二十年來。住持事繁ク。繕寫ニ暇ナフ
シテ。慊慊タリ。今隱栖ニ洎ンデ。又三周
餘。逐行校正シ。漸ク完璧ヲ得タリ
一。大乘ノ祕本ハ。二册ニシテ全部ナリ。上
卷ト下卷ト。手跡モ册紙モ異ナリ。マタ洞
谷ノ祕本ヲ拜看スルニ。元本ハ燒失シテ。
今ハ外ヨリ寫シテ祕在ト承ル。全部五册
ナリ。諸方ノ數本多ク五册ナリ。今刻二册
トナス。コレ大乘祕在ノ古ヲ存シ。且ツ多
キハ缺ゲヤスキヲ恐レテナリ
一。諸方ノ祕本ニ&T047368;文等アレドモ今刻ニ
載セズ。只アル古寫本ノ尾ニ。無隱禪師序
文ト。瑩祖略傳アリ。校鑑スルニ正當ナリ。
仍テ是ヲ載ス。敢テ今刻ノ序跋ニハアラ
ズ。只コノ録ノ源委ヲ知ランズルノ。一助
トナスノミ
コノ録初メ迦文佛ノ章ヨリ。&MT10755;リ孤雲祖
ノ章マデ。悉ク章章不昧光光無礙ニシテ。
佛佛祖祖ノ身心頂相皮肉骨髓ナリ。忝ク
モ佛祖ノ兒孫タルモノハ。常ニ奉持頂戴
セザルべケンヤ。願フ所ハ祖訓親密ノ五
語。コレヲ悠久ニ傳ヱント欲ス。アニ一言
隻字モ私淑ヲソノ間ダニ入ンヤ
  維時安政四丁巳年
  遠孫小子仙英謹白


瑩山和尚傳光録卷上
  侍者編
師於正安二年正月十二日始請益
釋迦牟尼佛。見明星悟道曰。我與大地有
情。同時成道
ソレ釋迦牟尼佛ハ西天ノ日種姓ナリ。十
九歳ニシテ子夜ニ城ヲコヘ。檀特山ニシ
テ斷髮ス。ソレヨリコノカタ苦行六年。ツ
ヰニ金剛座上ニ坐シテ。蛛網ヲ眉間ニイ
レ。鵲巣ヲ頂上ニ安ジテ。葦坐ヲトフシ。安
住不動。六年端坐シ。三十歳臘月八日。明星
ノイデシトキタチマチ悟道シ。最初獅子
吼スルニコノ言アリ。シカシヨリコノカ
タ。四十九年一日モ獨居スルコトナク。暫
時モ衆ノタメニ説法セザルコトナシ。一
衣一鉢缺グコトナシ。三百六十餘會。時時
ニ説法ス。ツヰニ正法眼藏ヲ摩訶迦葉ニ
付囑ス。流傳シテ今ニオヨブ。實ニ梵・漢・
和ノ三國ニ流傳シテ。正法修行スルコト
コレヲモテ根本トス。カノ一期ノ行状ヲ
モテ遺弟ノ表準タリ。設ヒ三十二相八十
種好ヲ具足スルトイヘドモ。カナラズ老
比丘ノカタチニシテ。人人ニカハルコト
ナシ。ユヘニ在世ヨリコノカタ。正像末
ノ三時。カノ法儀ヲシタフモノ。佛ノ形
儀ヲカタドリ。佛ノ受用ヲ受用シテ。行
住坐臥。片時モ自己ヲ。サキトセザルコ
トナシ。佛佛祖祖。單傳シキタリテ正法
斷絶セズ。今ノ因緣分明ニ指説ス。タトヒ
四十九年三百六十餘會。指説スルコト異
ナリトイヘドモ。種種因緣譬諭言説。コ
ノ道理ヲスギズ。イハユル我トイフハ釋
迦牟尼佛ニアラズ。釋迦牟尼佛モコノ我
ヨリ出生シキタル。タダ釋迦牟尼佛出生
スルノミニアラズ。大地有情モミナコレ
ヨリ出生ス。大綱ヲアグルトキ。衆目悉
クアガルガゴトク。釋迦牟尼佛成道スル
トキ。大地有情モ成道ス。タダ大地有情
成道スルノミニアラズ。三世諸佛モミナ
成道ス。恁麼ナリトイヘドモ。釋迦牟尼
佛ニオヰテ。成道ノオモイヲナスコトナ
シ。大地有情ノ外ニ。釋迦牟尼佛ヲミル
コトナカレ。タトヒ山河大地森羅萬像森
森タリトイヘドモ。コトゴトクコレ瞿曇
ノ眼睛裏ヲマヌカレズ。汝等諸人マタ瞿
曇ノ眼睛裏ニ立セリ。タダ立セルノミニ
アラズ。イマノ諸人ニ換却シオハレリ。マ
タ瞿曇ノ眼睛肉團子トナリテ。人人ノ全
身箇箇壁立萬仭セリ。ユヘニ亙古亙今。
明明タル眼睛歴歴タル諸人トオモフコト
ナカレ。諸人スナハチコレ瞿曇ノ眼睛ナ
リ。瞿曇スナハチコレ諸人ノ全身ナリ。
モシ恁麼ナラバ。ナニヲヨンデカ成道
底ノ道理トセン。且問ス大衆。瞿曇ノ諸
人トトモニ成道スルカ。諸人ノ瞿曇トト
モニ成道スルカ。モシ諸人ノ瞿曇トトモ
ニ成道スルトイヒ。瞿曇ノ諸人トトモニ
成道スルトイハバ。全クコレ瞿曇ノ成道
ニアラズ。因テ成道底ノ道理トスべカラ
ズ。成道ノ道理親切ニ會セントオモハバ。
瞿曇諸人一時ニ拂却シテ。ハヤク我ナル
コトヲシルべシ。我ノ與ナル大地有情ナ
リ。與ノ我ナルコレ瞿曇老漢ニアラズ。子
細ニ點檢シ。子細ニ商量シテ。我ヲアキ
ラメ。與ヲシルべシ。タトヒ我ヲアキラメ
タリトイフトモ。與ヲアキラメズンバ。マ
タ一隻眼ヲ失ス。然リトイヘドモ。我ト與
ト一般ニアラズ。兩般ニアラズ。正ニ汝
等ノ皮肉骨髓コトゴトク與ナリ。屋裏ノ
主人公コレ我ナリ。皮肉骨髓ヲ帶セズ。四
大五蘊ヲ帶セズ。畢竟シテイハバ。欲識
庵中不死人。豈離而今這皮袋。然レバ大地
有情ノ會ヲナスべカラズ。タトヒ春夏秋
冬ニ轉變シキタリテ。山河大地時トトモ
ニ異ナリトイヘドモ。シルべシ。コレ瞿曇
老漢ノ揚眉瞬目ナルユヘニ。萬像之中獨
露身ナルナリ。撥萬像也。不撥萬像也。法
眼曰。説甚麼撥不撥。マタ地藏曰。喚甚麼
作萬像。シカアレバ横參竪參シ。七通八達
シテ。マサニ瞿曇ノ悟處ヲアキラメ。自己
ノ成道ヲ會スべシ。恁麼ノ公案子細ニ見
得シ。一一ニ胸襟ヨリ流出シテ。前佛及ビ
今時ノ人ノ語句ヲカラズ。次ノ請益ノ日
ヲモテ下語説道理スべシ。山僧マタコノ
一則下ニ卑語ヲ。ツケンコトヲオモフ。諸
人要聞麼 一枝秀出老梅樹 荊棘與時
築著來
第一祖。摩訶迦葉尊者。因世尊拈華瞬目。迦
葉破顏微笑。世尊曰。吾有正法眼藏涅槃妙
心。付囑摩訶迦葉
摩訶迦葉尊者。姓ハ婆羅門。梵ニハ迦葉
波。コヽニハ飮光勝尊トイフ。尊者生ルル
トキ。金光室ニミチテ。光リコトゴトク尊
者ノ口ニイル。因テ飮光ト稱ス。ソノ身金
色ニシテ。三十一相ヲ具足セリ。タダ烏
瑟白毫ノカゲタルノミナリ。多子塔前ニ
シテハジメテ世尊ニアヒタテマツル。世
尊善來比丘トノタモフニ。鬚髮スミヤカ
ニオチ。袈裟體ニカカル。スナハチ正法眼
藏ヲモテ付囑シ。十二頭陀ヲ行ジテ。十二
時中ムナシクスゴサズ。タダ形チノ醜悴
シ。衣ノ麁陋ナルヲミテ。一會コトコトク
アヤシム。コレニヨリテ處處ノ説法ノ會
ゴトニ。釋尊座ヲワカチ迦葉ヲ居ラシム。
然シヨリ衆會ノ上座タリ。タダ釋迦牟尼
佛一會ノ上座タルノミニアラズ。過去諸
佛ノ一會ニモ不退ノ上座タリ。シルべシ。
コレ古佛ナリトイフコトヲ。タダ諸ノ聲
聞ノ弟子ノ中ニ排列スルコトナカレ。シ
カルニ靈山會上。八萬衆前ニシテ世尊拈
華瞬目ス。ミナ心ヲシラズ默然タリ。時ニ
摩訶迦葉獨破顏微笑ス。世尊曰。吾有正法
眼藏涅槃妙心圓明無相法門。コトゴトク
大迦葉ニ付囑スト。イハユルカノ時ノ拈
華ハ祖祖單傳シキタリテ。ミダリニ外人
ヲシテシラシムルコトナシ。ユヘニ經師・
論師オオクノ禪師ノシルべキトコロニ
アラズ。實ニシリヌ。ソノ實處ヲシラザ
ルコトヲ。シカモ恁麼ナリトイヘドモ。恁
麼ノ公案靈山會上ノ公案ニアラズ。多子
塔前ニシテ付囑セシ時ノコトバナリ。傳
燈録・普燈録等ニノスルトコロハ。コレ靈
山會上ノ説トイフコト非ナリ。最初ニ佛
法ヲ付囑セシトキ如是ノ式アリ。ユヘニ
佛心印ヲ傳フル祖師ニアラサレバ。カノ
拈華ノ時節ヲシラズ。マタカノ拈華ヲア
キラメズ。諸禪徳子細ニ參到シ。子細ニ
見得シテ。迦葉ノ迦葉タルコトヲシリ。釋
迦ノ釋迦タルコトヲアキラメ。フカク圓
明ノ道ヲ單傳スべシ。拈華ハ暫ラクオク。
カノ瞬目セシトコロ。人人アキラメキタ
ルべシ。汝等ヨノツネ揚眉瞬目スルト。マ
タコレ瞿曇ノ拈華瞬目セシト一毫髮モヘ
ダタラズ。汝等語話微笑セシト。摩訶迦葉
破顏微笑セシト。全ク毫髮モ異ナルコト
ナシ。然レドモカノ揚眉瞬目セシモノヲ
アキラメザレバ。西天ニ釋迦アリ。迦葉
アリ。自心ニ皮肉骨髓アリ。許多ノ眼華。多
少ノ浮塵。無量劫來未曾解脱。未來劫モマ
タ沈淪スべシ。モシ一度カノ主人公ヲ識
得セバ。摩訶迦葉マサニ汝諸人ノ鞋裏ニ
アリテ動指スルコトヲヱン。シラズヤ。瞿
曇揚眉瞬目セシトコロニ。瞿曇スナハチ
滅却シオハルコトヲ。迦葉破顏セシトコ
ロニ。迦葉スナハチ得悟シキタルコトヲ。
コレスナハチ吾有ニアラズヤ。正法眼藏
却テ自己ニ付囑シオハリヌ。ユヘニ喚テ
迦葉トスべカラズ。喚テ釋迦トナスべカ
ラズ。カツテ一法ノ他ニアタフルナク。一
法ノ人ニウクルナク。コレヲ喚デ正法ト
ス。カレヲアラハサンガタメニ。華ヲ拈ジ
不變ナルコトヲ知ラシメ。破顏シテ長齡
ナルコトヲシラシム。恁麼ニ師資相見。命
脈流通ス。圓明了知不渉心念。マサシク
意根ヲ坐斷シテ鷄足山ニイリ。ハルカニ
慈氏ノ下生ヲマツ。ユヘニ摩訶迦葉イマ
ニ入滅セズ。諸人モシ親ク學道シテ子細
ニ參徹セバ。迦葉不滅ノミニアラズ。釋迦
モマタ常住ナリ。ユヘニ汝等諸人。未曾
生ヨリ直指單傳シテ。亙古亙今。築著磕
著ス。ユヘニ諸人。二千年前ノ昔ヲ思慕ス
ルコトナカレ。タダ急ニ今日ニ辨道セバ。
迦葉鷄足ニイラズ。正ニ扶桑國ニアリテ
出世スルコトヲヱン。ユヘニ釋迦ノ肉身
今猶暖カニ。迦葉微笑マタ更ニ新タナラ
ン。恁麼ノ田地ニイタリヱバ。汝ヂラ却テ
迦葉ニツギ。迦葉却テ汝ヂラニウケン。七
佛ヨリ汝ヂラニイタルノミニアラズ。汝
ヂラマサニ七佛ノ祖師タルコトヲヱン。
無始無&MT10755;古來今ヲ絶シテ。スナハチコレ
正法眼藏付囑有在ナラン。コレニヨリテ。
釋迦モ迦葉ノ付囑ヲ得テ。兜卒天ニ今ニ
有在ナリ。汝ヂラモ靈山會上ニシテ。有在
不變易ナリ。不見道。常在靈鷲山。及餘
諸住處。大火所燒時。我此土安穩。天人常
&MT90041;ト。タダ靈山會上ノミ所住處トイフ
ニアラズ。アニ梵・漢・本朝モマタモルルコ
トアランヤ。如來ノ正法流轉シテ。一毫髮
モ缺グルコトナシ。モシ然レバ。コノ會ハ
コレ靈山會タルべシ。靈山ハコレコノ會
タルべシ。タダ諸人ノ精進ト不精進トニ
ヨリテ。諸佛頭出頭沒セルノミナリ。今日
モ頻リニ辨道シ。子細ニ通徹セバ。釋尊
直ニ出世ナリ。タダ汝ヂラ自己不明ニヨ
リテ。釋尊昔日入滅ス。汝ヂラスデニ佛子
タリ。ナンゾ佛ヲコロスべケンヤ。ユヘニ
急ニ辨道シテ。スミヤカニ慈父ト相見ス
べシ。ヨノツネ釋迦老漢。汝ヂラトトモ
ニ行住坐臥シ。汝ヂラトトモニ言語伺候
シテ。一時モアヒハナルルコトナシ恰モ㔁
隱峯ノ
洞山ノ背ニ
アルガ如シ
一生モシカノ老漢ヲミズンバ。
諸人悉クミナ不孝ノ人タラン。スデニ佛
子トイヒ。モシ不孝ノモノタラバ。千佛ノ
手モオヨバズ。今日大乘ノ子孫。マタ恁麼
ノ道理ヲ指説セントスルニ卑語アリ。諸
人聞カント要スヤ 可知雲谷幽深處
更有靈松歴歳寒
第二祖。阿&MT10769;陀尊者。問迦葉尊者曰。師兄。
世尊傳金襴袈裟。外別傳箇什麼。迦葉召
&MT10769;。阿&MT10769;應諾。迦葉曰。倒却門前刹竿著。
&MT10769;大悟 ソレ阿&MT10769;尊者ハ王舍城ノ人
也。姓ハ刹帝利。父ハ斛飯王。實ニ世尊ノ
徒弟ナリ。梵語ニハ阿&MT10769;陀トイヒ。ココニ
ハ慶喜トイヒ。マタハ歡喜トイフ。如來
成道ノ夜ニウマル。容顏端正ニシテ。十六
大國モ隣トスルナシ。ミルゴトニ歡喜
ス。ユヘニ名トス。多聞第一ニシテ。聰明
博達ナリ。佛ノ侍者トシテ二十年。佛ノ説
法トシテ宣説セザルナク。佛ノ行儀トシ
テ學シキタラザルコトナシ。世尊迦葉ニ
正法眼藏ヲ傳付セシキザミ。オナジク阿
&MT10769;付囑シテ曰ク。副貳傳化スべシト。コ
レニヨリテ迦葉ニシタガフコト亦二十年
シテ。所有正法眼藏コトゴトク通達セズ
トイフコトナシ。ソレ祖師ノ道ノ他家ニ
類セザルコト。コレヲモテ證本トスべシ。
&MT10769;スデニ多聞第一。廣學博達ナリ。佛マ
ノアタリ聽許シマシマスコトオオシ。然
レドモナホ正法ヲ傳持シ。心地ヲ開明ス
ルコトナシ。迦葉畢婆羅窟ニシテ如來ノ
遺敎ヲ結集セントセシトキ。阿&MT10769;未證果
ナルニヨリテカノ室ニ入ルコトヲヱズユ
ルサズ。時ニ阿&MT10769;密ニ思惟シテ。スミヤ
カニ阿羅漢果ヲ證ス。而シテ入ントスル
ニ迦葉ノイハク。スデニ證果セバ神通ヲ
現ジテルべシト。時ニ阿&MT10769;小身ヲ現ジ
テ。カギノ穴ヨリイル。&MT10755;ニ畢婆羅窟ニイ
ル。諸弟子コトゴトクイハク。阿&MT10769;ハ佛ノ
給士トシテ多聞ニシテ廣學ナリ。一器ノ
水ヲ一器ニ傳フルガゴトシ。スコシモ遺
漏ナシ。ネガハクハ阿&MT10769;ヲ請シテ再説セ
シメン。迦葉阿&MT10769;ニツゲテイハク。衆コト
ゴトク汝ヂヲノゾム。汝ヂフタヽビ座ニ
ノボリ。請フ宣説セヨ。時ニ阿&MT10769;密ニ如來
付囑ヲ護シ。マタ迦葉ノ所請ヲウケテ。
ツイニ立テ衆ノ足ヲ禮シ。座ニノボリテ。
如是我聞一時佛住ト宣説シテ。一代ノ聖
敎コトゴトク宣説ス。迦葉諸弟子ニツゲ
テ曰ク。如來ノ所説トカワレリヤイナヤ
ト。諸弟子曰ク。如來ノ所説ト一字モカワ
レルナシト。諸弟子ハミナコレ三明六通
ノ大羅漢ナリ。キヽモラスコトナシ。異口
同音ニ曰ク。シラズコレ如來再來シマシ
マスカ。コレ阿&MT10769;所説カト疑ガフ。佛法大
海水流入阿&MT10769;身ト讃歎ス。如來ノ所説イ
マニ流傳ス。阿&MT10769;ノ所説ナリ。實ニシル。コ
ノ道ハ多聞ニヨラス。證果ニヨラザルコ
トヲ。コレヲモテ證據トスべシ。然モナオ
迦葉ニシタガフコト二十年。イマノ因緣
ノトコロニシテハジメテ大悟ス。スデニ
如來ノ成道ノ夜ウマレシ人ナリ。華嚴等
ハキカザル所ナリ。シカレドモ佛ノ覺三
昧ヲヱテ。所不聞ヲ宣説ス。然レトモ祖師
道ニオヒテ不入ナルコトハ。我等ガ不入
ト全クモテ一同ナリ。抑モ阿&MT10769;ハ乃往過
去ノムカシ。空王ノミモトニシテ。今ノ
釋迦佛ト同時ニ阿耨多羅三藐三菩提心ヲ
發シキ。阿&MT10769;ハ多聞ヲコノム。ユヘニイマ
ダ正覺ヲ成ゼズ。釋迦佛ハ精進ヲ修シキ。
コレニヨリテ等正覺ヲ成ジタマフ。實ニ
シル。多聞ハ道ノ障礙タルコトコレソノ
證據ナリ。ユヘニ華嚴經ニ曰ク。譬如貧
窮人算他寶自無半錢分。多聞亦復如是。
親切ニコノ道ニ訣著セントオモハヾ。多
聞ヲコノムコトナカレ。直ニ勇猛精進ス
べシ。然ルニ敢保スラクハ。傳衣ノ外更ニ
事アルべシト。因テアル時問曰。師兄。世
尊傳金襴袈裟。外別傳箇甚麼。迦葉時イ
タルコトヲシリテ。召阿&MT10769;。阿&MT10769;應諾。迦葉
コヱニ應ジテイハク。倒却門前刹竿著ト。
&MT10769;コヱニ應ジテ大悟ス。佛衣自然ニ阿
&MT10769;ノ頂上ニ來入ス。ソノ金襴ノ袈裟トイ
フハ。マサシク七佛傳持ノ袈裟ナリ是ヨリ
以下
十行ハ注ナルベシ。一本ニ有
之故ニ。爰ニノセオクナリ
カノ袈裟ニ三ノ説
アリ。一ツハ如來胎内ヨリ持スト。一ツ
ハ淨居天ヨリ奉ルト。一ツハ獵師コレヲ
奉ルト。マタ外ニ數品ノ佛袈裟アリ。達磨
大師ヨリ曹溪所傳ノ袈裟ハ。青黒色ニテ
屈眴布ナリ。唐土ニイタリテ青キウラヲ
ウテリ。イマ六祖塔頭ニオサメテ國ノ重
寶トス。コレ智論ニイハユル。如來著麁
布僧伽黎ト。コレナリ。カノ金襴ハ金&T073554;
ナリ。經曰。佛姨母手自紡&MT80123;&T073554;袈裟持
上佛ト。コレナリ。是多品中ノ一二ノミ。ソ
ノ靈驗ノゴトキハ數多ノ因緣經書ニア
リ。ムカシ婆舍斯多尊者。惡王ノ&MT10769;ニアフ
テ火中ニ五色ノ光明ヲハナツ。火滅シテ
後佛袈裟安然タリ。佛衣ナルコトヲ信ズ
上ノ*十行ハ瑩祖
ノ自注ナルべシ
慈氏ニ傳授スル。ソレコレナ
リ。正法眼藏兩人ニ付囑ナシ。タヾ迦葉一
人如來ノ付囑ヲウル。マタ阿&MT10769;二十年給
士シテ正法ヲ傳持ス。然レバコノ宗敎外
別傳アルコトヲシリヌべシ。然ルニ近來
オロソカニシテ一同トス。モシ一同ナラ
バ。阿&MT10769;ハスナハチ三明六通ノ羅漢。如來
付囑ヲウケテ。第二祖阿&MT10769;トイハン。イ
マ經敎ヲ會センコト。阿&MT10769;ニマサル人ア
ランヤ。モシ阿&MT10769;ニ超過スル人アラバユ
ルスべシ。敎意一ナリト。モシタヾニ。一
ナリトイハバ。ナンゾ煩ラハシク二十年給
士シ。イマ倒却刹竿著ノトコロニシテア
キラメン。シルべシ。經意・敎意モトヨリ
祖師ノ道トスべカラズ。佛ノ佛ナラザル
ニアラズ。給士シテタトヒ侍者タリトイ
ヘドモ。佛心ニ通處ナクンバ。イカデカ
ソノ心印ヲ傳ン。多聞廣學ニヨラザルコ
トシルべシ。タトヒ心サトク耳トキニヨ
リテ。諸口ノ書藉聖敎ヲモテ。一字モ遺落
スルトコロナク聞持ストイヘドモ。心モ
シ通ゼズンバ。徒ニトナリノ寶ラヲ算フ
ルガゴトシ。ウラムラクハ經敎ニソノコ
ヽロナキニハアラズ。然レドモ阿&MT10769;未通
ニヨリテナリ。ナニイハンヤ。東土日本
依文解義。經ノコヽロヲヱザルヲヤ。更ニ
シルべシ。佛道ユルカセナラザルコトヲ。
一代聖敎ニ通ズル阿&MT10769;。如來ノ弟子トシ
テ宣説センニ。タレカシタガハザラン。然
レドモ迦葉ニ給士シ。シタガヒテ大悟ノ
後。再ビ宣説セシコトヲ。シルべシ。恰モ
火ノ火ニ合スルガゴトク。明カニ實道ニ
參ゼントオモハヾ。己見舊情憍慢我慢ヲ
ステ。初心ヲ迴シ。佛智ヲ會スべシ。イハ
ユルイマノ因緣。ヒゴロハ金襴ノ袈裟ヲ
傳ヘテ。佛弟子タルノ外サラニ別ナシト
オモヘリ。然レドモ迦葉ニシタガヒテ。シ
タシク給士シテノチ。サラニ通ズルコト
アルコトヲ。迦葉時スデニアヒカナフコ
トヲシリテ召阿&MT10769;。アダカモ谷神ノヨブ
ニシタカヒ響ヲナスガゴトシ。阿&MT10769;スナ
ハチ應ズ。石火ノ石ヲハナレテ出ルガゴ
トシ。ソレ阿&MT10769;ト召スモ阿&MT10769;ヲヨブニア
ラズ。ヒヾキ應ジ答フルニアラズ。倒却門
前刹竿著トイフハ。西天ノ法ニ。佛弟子
オヨビ外道等論義セントスルトキ。兩方
ニハタヲタテ。モシ一方マクルトキ。スナ
ハチコノハタヲオリタオス。マクルトキ
鼓鐘ヲナラサズシテマクルヲ表ス。イハ
ユル今ノ因緣モ。迦葉ト阿&MT10769;トアヒナラ
ンデハタヲタテルガゴトシ。コヽニイタ
リテ阿&MT10769;スデニ出身スレバ。迦葉ハタヲ
マクべシ。一出一沒ナリ。然レドモ今ノ
因緣シカニアラズ。迦葉モコレ刹竿。阿&MT10769;
モコレ刹竿。モシ刹竿ナラバコノ理アラ
ハルべカラズ。刹竿一度倒ルヽトキ。刹竿
スナハチアラハルべシ。迦葉倒却門前刹
竿著ト。指説スルニ。阿&MT10769;師資ノ道通ズ
ルニヨリテ。言下ニ大悟ス。大悟ノノチ。迦
葉モスナハチ倒却シ。山河ミナ崩壞ス。コ
レニヨリテ。佛衣自然ニ阿&MT10769;ノ頂上ニ來
入ス。然レドモコノ因緣ヲモテ。赤肉團上
壁立千仭ニトヾムルコトナカレ。淨潔ニ
トヾマルコトナカレ。スヽンデ以テ谷神
ノアルコトヲシルべシ。諸佛番々出世シ。
祖師代々指説ス。タヾコレコノ事ナリ。心
ヲモテ心ヲツトフ。ツイニノシルトコ
ロニアラズ。タトヒアラワレタル赤肉團。
迦葉・阿&MT10769;モコレ那人ノ一面。兩面ニ出世
スルナリトイヘドモ。迦葉・阿&MT10769;ヲモテ那
人トスルコトナカレ。イマ汝等諸人箇々
壁立萬仭セル。カノ那人ノ千變萬化ナリ。
モシ那人ヲ識得セバ。諸人一時ニ埋却セ
ン。モシシカラバ。倒却刹竿ヲ我外ニ求ム
べカラズ。今日大乘子孫マタ著語セント
オモフ。諸人要聞麼 藤枯樹倒山崩去
溪水瀑漲石火流
第三祖。商那和修尊者。問阿&MT10769;陀尊者。何
物諸法本不生性。阿&MT10769;指和修袈裟角。又
問。何物諸佛菩提本性。阿&MT10769;又取和修袈裟
角引。時和修大悟 師ハ摩突羅國ノ人ナ
リ。梵ニハ商諾迦トイヒ。此ニハ自然服ト
イフ。和修ウマレシトキ。衣ヲキテウマ
ル。ソレヨリコノカタ。夏ハ涼キ衣トナリ。
冬ハ暖カナル衣トナル。スナハチ發心出
家セシトキ。俗服オノヅカラ袈裟トナル。
佛在世蓮華色比丘尼ノゴトシ。タヾ今生
恁麼ナルノミニアラズ。和修ムカシ商人
タリシトキ。百佛ニ&T073554;百丈ヲタテマツル。
ソレヨリコノカタ。世々生々ノアヒダ自
然服ヲ著ス。オヽヨソ一切ノ人。本有ヲス
テ當有ニイタラザル間ヲ。名ヅケテ中有
トス。ソノトキノカタチ悉クミナ衣ヲキ
ズ。今和修尊者ノゴトキハ。中有ニシテモ
衣ヲ著ス。マタ商那和修トイフハ。西域ノ
九枝秀トイフ草ノ名ナリ。聖人ウマルヽ
トキ。コノ草淨潔ノ地ニ生ズルナリ。和修
ウマレシトキ。コノ草マタ生ジキ。コレ
ニヨリテ名トス。在胎六年ニシテウマレ
キ。ムカシ世尊一ノ青林ヲ指シテ阿&MT10769;
ツゲテ曰ク。コノ林地ヲ優留荼トナヅク。
ワレ滅後一百年ニ比丘商那和修トイフモ
ノアラン。コノトコロニシテ妙法輪ヲ轉
ゼント。一百年後。イマ師コヽニウマル。ツ
ヰニ慶喜尊者ノ付囑ヲウク。スナハチコ
ノ林ニトヾマル。法輪ヲ轉ジテ火龍ヲ降
ス。火龍歸伏シテ。コノ林ヲタテマツル。コ
レ實ニ世尊ノ來&T047368;タガハズ。然ルニ和修
尊者ハモト雪山ノ仙人ナリ。阿&MT10769;尊者ニ
投ジテ。イマノ因緣アリ。イハユル何物
是諸法本不生性ト。實ニコレ人所未問ナ
リ。和修ヒトリトフ。タレカ諸法本不生性
ナカラン。然レドモ有コトヲシラズ。マタ
トフコトナシ。ナントシテカ不生ノ性ト
イフ。萬法諸法コトゴトクコノ處ヨリ出
生ストイヘドモ。コノ性ツヰニ出生スル
モノナシ。ユヱニ不生ノ性トイフ。故ニコ
トゴトク本不生ナリ。山コレ山ニアラズ。
水コレ水ニアラズ。ユヘニ阿&MT10769;和修ノ袈
裟角ヲサス。ソレ袈裟トイフハ梵語。此ニ
ハ壞色トイヒ。不生色トイフ。實ニコレ色
ヲモテミルべキニアラズ。マタカミ諸佛
ヨリシモ一切ノ螻蟻蚊虻ニイタルマデ。
ソノ依報正報コトゴトクコレ色ナリ。一
邊ノ所見カクノゴトシ。然レドモスナハ
チ。マタコレ聲色ニアラズ。ユヘニ三界ノ
イヅべキナク。道果ノ證スべキナシ。カク
ノゴトク會ストイヘドモ。和修再問。何物
諸佛菩提ノ本性ナルト。曠大劫ヨリコノ
カタ。錯ラザルコト恁麼ナリトイヘドモ。
一度ビ有ルコトヲシラザレバ。徒ニ眼ニ
サヘラル。ユヘニ諸佛出生ノ處ヲ明ラメ
ント。恁麼ニトフ。ヨブニシタガヒテ應
ジ。タヽクニシタガヒテイヅルコトヲシ
ラシメントシテ。コトサラニ和修ノ袈裟
ノ角ヲトリテヒキシラシム。時ニ和修大
悟ス。實ニソレ無量劫ヨリコノカタ。アヒ
錯ラザルコトカクノゴトクナリトイヘド
モ。一度築著セザルガゴトキハ。自己ノ諸
佛ノ智母ナルコトヲモ知ルべカラズ。コ
レニヨリテ諸佛番々出世シ。祖師代々指
説ス。カツテ一法ノ人ニ授クべキナク。サ
ラニ一法ノ他ニ受クべキナシトイヘド
モ。自面ニサグリテ鼻孔ニサハルガゴト
クナルべシ。參禪ハ須自參悟。サトリオハ
リテハニアフべシ。モシ人ニアハズン
バ。徒ニ依草附木ナリ。實ニ參禪イタヅラ
ニスべカラズ。一生ムナシクスべカラザ
ルコト。今ノ和修ノ因緣ヲモテアキラメ
ツべシ。徒ニ自然天然ノ見ヲ發スべカラ
ズ。己見舊見ヲサキトスべカラズ。マタオ
モフべシ。佛祖ノ道ハ人ヲヱラビ機ヲヱ
ラブ。ワレラガタヘルトコロニアラズト。
恁麼ノ所見實ニコレ愚劣ノ中ノ愚劣ナ
リ。昔人イヅレカコレ父母所生ノ身ニア
ラザル。イヅレカコレ恩愛名利ノ人ナラ
ザリシ。然レドモ一度スデニ參ゼシトキ。
カナラズ參徹シキ。ユヘニ天竺ヨリワガ
朝ニイタルマデ。正像末ノ三時異ナルト
モ。證果ノ聖賢山ヲシメ海ヲシム。然レバ
汝等諸人。見聞ヲ具足スルコト。スデニ古
人ニ異ナラズ。タトヒイヅレノトコロニ
イタルトモ。コトゴトクイフべシ。汝等コ
ノ人ナリト。迦葉・阿&MT10769;ト四大・五蘊カハレ
ルトコロナシ。何ニヨリテカ道ニオキテ
古人ニカハルべキ。タヾ究理辨道セザル
ニヨリテ。徒ニ人身ヲ失却スルノミニア
ラズ。ツヰニ己レアルコトヲシラズ。カク
ノゴトクムナシクスべカラズト相承シ
テ。阿&MT10769;モカサネテ迦葉ヲ師トシ。阿&MT10769;
マタ和修ヲ接シ。師資ノ道傳通ス。カクノ
ゴトク流通シキタル。正法眼藏涅槃妙心
佛ノ在世ト異ナルコトナシ。ユヘニ佛生國
ニウマレザルコトヲウラムルコトナカレ。
佛在世ニアハザルコトヲカナシムコトナ
カレ。昔シ厚植善根。深ク般若ノ良緣ヲム
スブ。コレニヨリテ大乘ノ會裡ニアツマ
ル。實ニコレ迦葉ト肩ヲナラべ。阿&MT10769;ト膝
ヲ交ユルゴトシ。然レバ一日ハ賓主タリ
トモ。&MT10755;身スナハチ佛祖タラン。ミダリニ
古今ノ情ニ封ゼラルヽコトナカレ。聲色
ノ法ニトヾコフルコトナカレ。夜間ヲモ
日裡ヲモ。ムナシクワタルコトナカレ。子
細ニ辨道功夫シテ。古人ノ徹處ニイタリ。
今時ノ印&T047368;ヲウクべシ。適來ノ因緣ヲア
カサントオモフニ。マタ卑頌アリ。要聞麼
    萬仭巖上無源水 穿石拂雲湧沸來
    散雪飛花縱亂亂タルモ 一條白練絶塵埃
第四祖。優婆毱多尊者。執事和修尊者三
載。遂爲落髮作比丘。尊者因問曰。汝身出
家耶心出家耶。師曰。實是身出家。尊者曰。諸
佛妙法豈拘身心。師乃大悟 師ハ吒利國
ノ人ナリ。マタ優波崛多ト名ク。姓ハ首
陀。十五歳ヨリ和修尊者ニ參ズ。十七歳ニ
シテ出家シ。二十二歳ニシテ證果ス。行化
シテ摩突羅國ニイタル。得度ノ者ハナハ
ダオヽシ。コレニヨリテ魔宮震動シ。波旬
愁怖ス。證果ノ人ヲウルコトニ。四指ノ籌
ヲ石室ニ投ズ。ソノ室縱十八肘。廣十二
肘。充&MT90041;其間。一肘ハ二尺ナリ。カノ一生
ノアイダノ得度シヱタル籌ヲバモテ荼毘
ス。得度ノ人オヽキコト。アダカモ如來在
世ノゴトシ。ユヱニ世擧ツテ號シテ無相
好佛トイフ。波旬イキドフリヲナシテ。入
定ノ時節ヲウカヾヒ。遂ニソノ魔力ヲツ
クシテ。モテ正法ヲ害セントス。尊者スナ
ハチ三昧ニ入テ。ソノ所由ヲ觀ズ。波旬マ
タウカゴフテ。密ニ瓔珞ヲ持シテ。コレヲ
頸ニカク。トキニ尊者マタカレヲ伏セン
トオモフ。定ヨリ起テ。スナハチ人狗蛇ノ
三屍ヲ取テ。化シテ華鬘トナス。軟言ヲモ
テ波旬ヲ慰諭シテ曰。汝ヂワレニ瓔珞ヲ
與フ。甚ダコレ珍妙ナリ。ワレ華鬘アリ。モ
テアイ報酬奉セン。波旬大ニ喜テ。延頸テ
コレヲ受ク。スナハチ變ジテ三種ノ臭屍
トナル。蟲蛆壞爛セリ。波旬厭惡シテ。大
ヒニ憂惱ヲ生ズ。オノガ神力ヲツクシテ。
不得捨。不得解。不能移動。乃昇六欲天。
告諸天主。又詣梵天。求其解脱。彼各告曰。
十力弟子所作神變。我輩凡陋。何能去之。波
旬曰。然則奈何。梵王曰。汝可歸心尊者。卽
能除斷。乃爲説偈。令其迴向曰。若因地
倒還因地起。離地求起&MT10755;無其理。還依十
力弟子。可求解脱。波旬受敎已。卽下天
宮禮尊者足。哀露懺悔。尊者曰。汝自今
後。於如來正法更作嬈害否。波旬曰。我
誓迴向佛道永斷不善。尊者曰。若然者汝
可自唱口言歸依三寶。魔主合掌三唱。華鬘
悉除。カクノゴトク佛法威驗ヲ施シ。アダ
カモ如來在世ノゴトシ。十七歳落髮ノキ
ザミ和修問曰。汝身出家スルヤ。心出家ス
ルヤ。ソレ佛家モトヨリ身心ノ二出家ア
リ。イハユル身出家ストイフハ。恩愛ヲス
テ家郷ヲハナレテ。髮ヲソリ衣ヲソメ。奴
婢ヲタクハヘズ。比丘トナリ比丘尼トナ
リ。十二時中辨道シキタル。ユヘニ時トシ
テムナシク過ルコトナフシテ。ホカ所願
ナシ。ユヘニ生ヲモヨロコバズ。死ヲモオ
ソレズ。心如秋月皎潔。眼如明鏡無翳。心
ヲ求メズ。性ヲノゾマズ。聖諦ナヲナサ
ズ。イハンヤ世執ヲヤ。カクノゴトクシ來
テ。凡夫地ニモトドマラズ。賢聖位ニモカ
カハラズ。ウタヽ無心道人タリ。コレスナ
ハチ身出家人ナリ。イハユル心出家トイ
フハ。髮ヲソラズ衣ヲソメズ。タトヒ在家
ニスミ。塵勞ニアリトイヘドモ。蓮ノ泥ニ
ソマズ。玉ノチリヲウケザルガゴトシ。タ
トヒ因緣アリ妻子アリトモ。芥ノゴトク
塵ノ如ク覺シテ。一念モ愛心ナク。一切貪
著スルコトナク。月ノ空裡ニカヽルガゴ
トク。玉ノ盤上ニ走ルニ似テ。鬧市中ニシ
テ閑者ヲミ。三界ノ中ニシテ劫外ヲアキ
ラメ。煩惱ヲ斷除スルモ病ナリトシリ。眞
如ニ趣向スルモ邪ナリトアキラム。涅槃
生死コレ空華ナリ。菩提煩惱トモニ管セ
ズ。コレスナハチ心出家人ナリ。ユヘニ身
出家耶心出家耶ト問アリ。シカモカクノ
ゴトクナカラン出家ハコレ出家ニアラ
ズ。ユヘニコノ問ヲナシ來ル。シカルニ毱
多答テ曰。實ニ是身出家スト。ココニ心ヲ
存セズ。性ト説カズ。玄ヲ談ゼズ。タヾ四
大五蘊ノ身マサニコレ出家スルコトヲシ
ル。不運ニシテ至リ得ル。故ニ如意足ナル
コトヲ明ラム。不求ニシテ得タリ。ユヘ
ニ不可得ヲ明ラム。如是ナルユヘニ。實ニ
身出家ストイフ。然レドモ諸佛ノ妙法。這
箇ノ見解ヲナスべカラズ。ユヘニ和修指
説スルニイハク。諸佛實ニコレ身出家ス
ルニアラズ。心出家スルニアラズ。四大五
蘊ヲモテミルべキニアラズ。理性玄妙ヲ
モテ證スべキニアラズ。ユヘニ聖凡トモ
ニ解脱シ。身心オナジク脱落シ來ル。虚空
ノ内外ナキガゴトク。海水ノ表裡ナキニ
似タリ。タトヒ幾許ノ妙理。無量ノ法門。千
差萬別ナリトイヘドモ。タヽ這ノ事ヲノ
ミトキ來ル。然レバ唯我獨尊ヲ佛トイフ
べカラズ。無來無去トイフべカラズ。誰カ
父母未生トイヒ。空劫以前トイハン。コノ
トコロニイタリテ。生不生ヲ超越シ。心不
心ヲ解脱ス。器ニ隨フ水ノゴトク。物ニヨ
ル空ノゴトシ。トレドモ手ニミツルコト
ナク。サグレドモ跡ヲウルコトナシ。スナ
ハチコレ諸佛ノ妙法ナリ。コノトコロニ
イタリテ。毱多存スルコトナク。和修モ起
ルコトナキユヘニ。動靜ヲモテセズ。去來
ヲモテセズ。タトヒ是非アリ彼我アリト
モ。水ノ底ノ聲ノゴトク。空ノ中ノ端ナキ
ニ似タリ。シカモ一度覺觸セザレバ。千萬
ノ法門。無量ノ妙理モ徒ニ業識流注トナ
ル。如是指説スルトコロ。毱多尊者タチマ
チ大悟ス。アダカモ青天ニ忽雷ノ霹靂セ
ルガゴトク。大地ニ猛火ノ發生スルニ似
タリ。迅雷一度フルフテ。毱多耳根ヲ斷
ズルノミニアラズ。スミヤカニ命根ヲ喪
シ。猛火タチマチヤケテ。諸佛ノ法門祖師
ノ頂&T058676;。コトゴトク灰燼トナリオハリヌ。
恁麼ノ灰燼アラハレテ。毱多尊者ト號ス。
カタキコト石ノゴトク。クロキコト漆ノ
ゴトシ。幾回カ人ノ本色ヲ失シ。全身ヲ打
碎シテ。徒ニ籌ヲナゲテ空ノカズヲトリ。
空ヲヤキテ空ノアトヲノコス。今日大乘
ノ兒孫。アトヲ雲外ニタヅネ。言ヲ青天ニ
ツケントオモフ。諸人要聞麼 家破人亡
非内外 身心何處隱形來
第五祖。提多迦尊者曰。出家者。無我我故。
無我我所故。卽心不生滅故。卽是常道。諸
佛亦常。心無形相。其體亦然。毱多曰。汝
當大悟自心通達。師乃大悟 師者摩伽陀
國人也。初生時。父夢金日自屋而出照耀
天地。前有一大山。諸寶嚴飾。山頂泉涌滂
沱四方流。師參毱多尊者。初語此事。毱多
尊者爲解之曰。大山者我身也。泉涌者汝
發智慧法無盡也。日從屋出者汝今入道之
相也。照耀天地者汝智慧超越也。師元名
香象。因易今名。梵曰提多迦。此曰通眞
量也。師聞説已。唱偈言。巍巍七寶山。常
出智慧泉。迴爲眞法味。能度諸有緣。毱多
尊者亦説偈曰。我法傳於汝。當現大智慧。
金日從屋出。照耀於天地。自然師禮拜。隨
從卒求出家。毱多問曰。汝志求出家。身出
家耶心出家耶。師曰。我來求出家。非爲身
心。毱多曰。不爲身心。復誰出家。師曰。出
家者乃至師乃大悟。實ニコレ出家ハ無我
我ノ我ヲアラハス。ユヘニ身心ヲモテ。辨
ズべキニアラズ。コノ無我我ノ我。スナハ
チ常道ナリ。生滅ヲモテハカルべキニア
ラズ。ユヘニ諸佛ニアラズ。衆生ニアラ
ズ。イハンヤ四大・五蘊・三界・六道ナラン
ヤ。ユヘニ心ニ形相ナシ。タトヒ見聞アリ
覺知アリトモ。ツヰニ去來ニアラズ動靜
ニアラズ。カクノゴトク見得スル。スナハ
チコレ心ヲ知得スル底ノ漢。ナヲコレ聞
解トイヒツべシ。ユヘニ提多迦恁麼ニ解
ストイヘドモ。毱多點シテ曰。汝當大悟心
自通達ト。アダカ貿易ノ物ニ。皇帝ノ印ヲ
下スニ似タリ。王印モシ題スルトキ。コレ
毒ニアラズ。コレウタガイニアラズ。マタ
コレ公物ニアラズ。ユヘニ人使用シ來ル。
師資ノ道アヒ契フコト如是。タトヒ理ト
シテ通ゼズトイフコトナク。道トシテア
キラメズトイフコトナシトイフトモ。ス
べカラク大悟シテハジメテウべシ。一度
大悟セザレバ。徒ニ知解ノ客トナリテ。ツ
ヒニ心地ニ通ゼズ。ユヘニ佛見法見イマ
ダマヌカレズ。自縛他縛イヅレノトキカ
ノガレン。然レバタトヘ四十九年ノ説。一
字モ遺落セズ。三乘五乘一法モ錯謬セズ
トイヘドモ。一度大悟セズハ眞ノ衲子ト
ユルシガタシ。然レバタトヒ千經萬論ヲ
講得シ。佛ヲ影向セシメ。大地ヲ震動セ
シメ。天華ヲ亂墜セシムトモ。ハヤクコレ
座主ノ見解。イマダ本色ノ衲僧ニアラズ。
然レバ三界唯心ト會スべカラズ。諸法實
相ト會スべカラズ。悉有佛性ト會スべカ
ラズ。畢竟空寂ト會スべカラズ。實相ナホ
コレ節目ニカヽハル。皆空却テ落空ニオ
ナジシ。悉有マタ性靈ニ似タリ。唯心イ
マダ覺知ヲマヌカレズ。然レバ此ノ事ヲ
求メントオモハン人。千經萬論ノ中ニ求
ムルコトアラバ。ウラムラクハ捨父逃逝
ノ漢ナリ。ユヘニ一一自己ノ寶藏ヲ打開
シテ。一大藏經ヲ運出セントキ。聖敎オノ
ヅカラ我有ナルコトヲヱン。モシ恁麼ニ
證得セズンバ。佛祖コトゴトクコレ汝ヂ
ガアダナリ。ユヘニイフ。那箇魔魅敎汝
出家那箇魔魅敎汝行脚。道得也叉下死。道
不得也叉下死ト。恁麼ナルユヘニイフ。出
家ハ身心ノタメニアラズト。カクノゴト
ク解ストイヘドモ。ナヲコレ本色ノ衲子
ニアラズ。フタヽビ指出シテ。ハジメテ
大悟シテ通ズルコトヲ得タリ。然レバ諸
人者子細ニ辨道シ。綿密ニ功夫シ。文ニヨ
リテ義ヲ解スルコトナク。覺ニヨリテ靈
ヲワキマフルコトナク。乾坤・大地・凡聖・依
正ヲ大ニ破壞シテ。前後ニ往返ストイヘ
ドモ。一&T011603;ノ障礙ナク。上下ニ出入ストイ
ヘドモ。一塵ノ隔歴ナクシテ。サラニ虚空
ニ窟籠ヲヱリ。平地ニ波瀾ヲオコシテ。佛
面ヲ看得シ。悟道明心ヲ識得シテ。胡蘆藤
種胡蘆ヲマツイ來リ。一顆圓光珠玉ヲ回
シ來テ。佛祖堂奧ノ事アルコトヲシリテ。
ハジメテ得べシ。適來ノ因緣敢テ卑語ヲ
著ントオモフ。要聞麼 得髓須知得處明
  輪扁猶有不傳妙
第六祖。彌遮迦尊者。五祖因示曰。佛言。修
仙學小。似繩牽挽。汝可自知。若棄小
流。頓歸大海。當證無生。師聞契悟 師者
中印度人也。爲八千仙人長者也。一日率
衆。瞻禮提多迦尊者曰。吾昔與師同生梵
天。吾遇阿私陀仙人受仙法。師者遇十
力弟子修習禪和。從是報分殊途已經六
劫。尊者曰。支離累劫。誠哉不虚。今汝可捨
邪歸正以入佛乘。師曰。昔阿私陀仙人授
&T047368;曰。汝却後六劫。當遇同學證無漏
果。今也相遇。非宿緣耶。願和尚慈悲令我
解脱。尊者時出家受具。餘仙衆初生我慢。時
尊者示大神通。仙衆於此倶發菩提心。一
時出家ス。ユヘニ八千仙衆八千ノ比丘ト
ナリテ。相シタガヒテ出家セントセシキ
ザミ。尊者示曰。佛言。修仙學小乃至師聞
契悟ス。ソレ仙ヲ學シ。壽命長遠ナルコト
ヲヱ。神通妙用ヲウルトイヘドモ。過去八
萬劫・未來八萬劫ヲ通理スルノミ。前後遠
クカンガミルコトナシ。非相・非非想ヲ修
シテ。無心想定ニ入ルトイヘドモ。カナシ
ムラクハ。非想天ニ生ジ。長壽ノ天トナリ
テ。色體ヲウシナフコトハヱタリトイヘ
ドモ。ナヲコレ業識流注ノ分アリ。佛ニ參
ズルコトモヱズ。道ニ通ズルコトモヱズ。
カノ業識ノ報ツクルトキ。カヘリテ無間
獄ニ墮在ス。ユヘニナハノヒキマツウニ
似タリ。ツヰニ解脱ノ分ナシ。小乘學者ハ
初果ヲ證シ・二果ヲ證シ・三果ヲ證シ・四果
ヲ證シ・獨覺ヲ證ストイヘトモ。ナヲコレ
身心中ノ修習。迷悟中ノ辨道ナリ。コレニ
ヨリテ初果ノ聖者。八萬劫ヲヘテ始メテ
初心ノ菩薩トナル。二果ノ聖者ハ。六萬劫
ヲヘテ始メテ初心ノ菩薩トナル。三果ノ
聖者ハ。四萬劫ヲヘテ始メテ初心ノ菩薩
トナル。獨覺ノ聖者ハ。十千劫ヲヘテ菩薩
道ニ入ル。善因ツヰニ歸ストイヘドモ。ウ
ラムラクハ。コレニヨリテ輪轉ノ業ナヲ
タヘズ。マタコレナハノ牽挽スルニ似タ
リ。本解脱ノ人ニアラズ。實ニソレ八十八
使ノ見思・塵沙無量ノ惑ヲ破シテ。纖塵ノ
トヾムべキナク。一毫ノ惑ナシトイヘド
モ。徒ニ有爲功業ニシテ。ツヰニ無漏ノ佛
果ニアラズ。然レバ本ニカヘリ源ニカヘ
ル。待悟爲則ノ辨道。悉皆コレニ類ス。ユ
ヘニ諸人者無ヲモ要スルコトナカレ。オ
ソラクハ落空亡ノ外道ニ同フシツべシ。
空劫威音ニトヾマルべカラズ。マタコレ
魂不散底ノ死人ニ似タリ。妄法ノ空華ヲ
トヾメテ。眞實ノ本性ニ達セントオモフ
コトナカレ。却テコレ斷無明證中道聖
者ニ類ス。雲ナキトコロニ雲ヲオコシ。玼
ナキトコロニ疵ヲ生ズ。アダカモ伶俜他
國ノ窮子ナルべシ。無明迷醉ノ貧客ナリ。
オモフベシ。汝ハコレ誰人ナレバ。生前ト
トキ・死後トトク。更ニナンノ過・未・今ヲカ
存セン。曠劫以來片時モアヒアヤマルコ
トナシ。從生至死タタコレ恁麼ナリ。然リ
トイヘドモ。一度築著セザレバ。徒ニ根境
ニ迷惑シテ。自己ヲシラザルモノナルべ
シ。目前ヲウトクスルナリ。ユヘニ身心ノ
生起スルトコロヲモシラズ。萬法ノ流出
スルトコロヲモワキマヘズ。ユヘナクハ
ラハントオモヒ。ユヘナクモトメントネ
ゴフ。カクノゴトクナルユヘニ。佛ヲシテ
ワヅラハシク出世セシメ。祖師ヲシテネ
ンゴロニ垂誡セシム。恁麼ニ垂誡シテ手
ヲタルトイヘドモ。ナヲ自己ノ知見ニ迷
惑セラレテ。アルイハ不知トトキ。アルヒ
ハ不分トトク。眞個無明ナルニモアラズ。
親切函蓋スルニモアラズ。徒ニ思量計較
ノ中ニアリテ。正邪ヲ見別シ來ル。シラズ
ヤ汝ヂラ諸人。呼ニシタガヒテ應ジ。指ニ
シタガヒテイタル。コレ擬慮ヨリ生ズル
ニアラズ。覺知ヨリ起ルニアラズ。マサシ
クコレ汝ヂガ主人公ナリ。ソノ主人公面
目ナク體相ナシ。然レドモ動著シテヤム
時ナシ。コレニヨリテコノ心生ジ來ル。コ
レヲ名ケテ身トイフ。コノ身アラハレテ
ヨリ。然モ四大・五蘊・八萬四千ノ毛孔・三
百六十ノ骨節。合成シテ汝ヂラガ一身タ
リ。玉ノ光リアルニ似。聲ノ響ヲ帶スルガ
ゴトシ。ユヘニ生來死去。一時モカゲタル
トコロナク。一時モアマレルトコロナシ。
恁麼ノ生滅。生ズレドモ生ノ始メナク。死
スレトモ死ノ跡ナシ。恰モ海中ノ波浪オ
コリテ痕ナキガコトク。マタ波浪ノ滅セ
ザルガゴトシ。去リ去レドモカツテ別處
ニユカズ。タヾ海ノ消息トシヲ。大波小波
起ツテキヘズ。汝ヂラガ心モマタカクノ
ゴトシ。動著シテヤム時ナシ。ユヘニ皮肉
骨髓トアラハレ來リ。四大五蘊ト使用シ
來ル。マタ桃花翠竹トアラハレ來リ。得道
明心ト悟證シ來ル。聲色品分レ。見聞道異
ナリ。著衣喫飯ト受用シ。言語事業ト運
用ス。分レ分レドモ差別ノ法ニアラズ。ア
ラハシアラハルレドモ體相ニトヾマラ
ズ。恰モ幻人ノ諸ノ幻術ヲナスガゴトク。
夢中ニ諸ノ形像ヲ出生スルガゴトシ。鏡
中ニ萬像千變萬化ストイヘドモ。只コノ
一面ノ鏡ナリ。モシカクノゴトクシラザ
レバ。徒ニ仙ヲ修シ小ヲ學シ來ラバ解脱
ノ期ナシ。諸人コトゴトクコレ縛スルモ
ノナシ。ナンソ新ニ脱スルアランヤ。迷悟
モトヨリナク。縛脱サキヨリハナル。コレ
無生ナルニアラズヤ。コレ大海ナルニア
ラズヤ。小流イヅレノトコロニカアル。塵
刹微塵刹コトゴトク法界海ナリ。溪流瀑
漲江河旋洄スル。ミナコレ海上ノ溌轉ナ
ルナリ。而フシテスツべキ小流ナク。トル
べキ大海ナシ。恁麼ナルユヘニ節目オノ
ヅカラ除ケリ。舊見一度ニ改マリキ。仙ヲ
捨テ出家ス。コレスナハチ宿緣契發スル
ナリ。シカモ諸人恁麼ニ參來參去シ。心語
卽通ス。實ニコレ親友與親友相見シ。自己
與自己點頭シ來ル。トモニ性海中ニ游泳
シテ。片時モ隔歴スルコトナシ。實ニ恁麼
ニ感發セバ。スナハチコレ宿緣アラハル
べキナリ。見ズヤ。馬大師曰。一切衆生從無
量劫來。不出法性三昧。常在法性三昧中。
著衣喫飯。言談祗對。六根運用。一切施爲。
盡是法性ナリト。カクノゴトク云フヲキ
ヽテ。法性ノ中ニ衆生アリト會スべカラ
ズ。法性トイヒ衆生トイフ。水ト波トイハ
ンガゴトシ。ユヘニ言ニヨリテ水トトキ
波トトク。アニコレ多種アランヤ。今朝又
説破因緣。更有卑頌。大衆要聞麼 縱有
連天秋水潔 何如春夜月朦朧 人家多
是要清白 掃去掃來心未空
第七祖。婆須密多尊者。置酒器於彌遮迦尊
者前。作禮而立。尊者問曰。爲是我器。爲是
汝器。師思惟。尊者曰。爲是我器者。汝之
本有性。若復汝器。我法汝當受。師聞大
悟無生本性 師者北印土之人也。姓頗羅
墮。常服淨衣。手持酒器。遊行閭里。或吟
或嘯。人謂之狂。不顯姓名。然彌遮迦尊
者。遊化至北天竺國。見雉堞之上。有金色
祥雲起。尊者謂徒衆曰。是道人氣也。是必
有大士。爲吾法嗣。言未了。師卽到乃問
曰。識我手中物否。尊者曰。是觸器而負淨
者。師乃置酒器於彌遮迦尊者前乃至大悟
無生本性。時酒器忽然不見。尊者謂曰。汝
試自稱名氏。吾當後示本因。師説偈而
答。我從無量劫。至于生此國。本性頗羅
墮。名字婆須密。時尊者示曰。我師提多迦
説。世尊昔遊北印度。語阿&MT10769;言。此國中
吾滅後三百年有一聖人。姓頗羅墮。名婆須
密。而於禪祖當獲第七。世尊&T047368;汝。汝應
出家。師聞曰。我思往劫。嘗作檀那獻如來
一寶座。彼佛&T047368;我曰。汝於賢劫釋迦牟尼
佛法中。可續聖位。コレニヨリテ卒ニ第七
ノ祖ニツラナル。師イマダ尊者ノトコロ
ニ至ラザルトキ。十二時中酒器ヲ持シテ
スツルコトナシ。實ニコレ表準ナリ。コノ
器アシタニモ要シ。クレニモ要シ。受用無
礙ナリ。實ニコレソノ器タルコトヲ表ス。
コレニヨリテ參學ノ最初ニ問テ云。識我
手中物否ト。タトヒ心コレ道ト會シ。身是
佛ナリトアキラムルトモ。ナヲコレ觸器
ナルユヘニ。モシ觸器ナラバ。カナラズ淨
者ニハマクべシ。古今ニ亙ルトモ會セヨ。
本來具足トモ知レ。皆是觸器也。何ノ古ト
カ説ン。何ノ今トカ説ン。ナニヲ始トイ
ヒ。ナニヲ末ト云ン。如是ノ所見必ズ淨
者ニハ負べシ。理ノ最タルヲ聆テ。師卽酒
器ヲサシヲク。是卽チ尊者ニ歸セシ表準
ナリ。是故ニ爲是我器爲是汝器ト問シ
ナリ。已ニ古今ノ論ニアラズ。去來ノ見ヲ
モ離。コノ時ニ到リテコレ我ナリトヤセ
ン。コレ汝ナリトヤセン。コレ我ニモアラ
ズ。コレ汝ニモアラズト。思惟セシトコロ
ニ。卽チ示曰。爲我器者。汝之本有性。然
レバコレ彌遮迦ノ器ニモアラズ。若復汝
器我法汝受べシ。故ニ婆須密ノ器ニモア
ラズ。我與汝トノ器ニモアラズ。ユヘニ器
マタ器ニアラズ。ユヘニ器卽チカクレヌ。
實ニ一段始&MT10755;ノ因緣。今人ノヨクシルべ
キトコロニアラズ。タトヒ參ジ來リ參ジ
去テ。諸佛諸祖師盡力不到ノトコロニイ
タルトイヘドモ。コレ觸器ナルベシ。カナ
ラズ淨者ニハマクべシ。夫レ眞箇ノ淨者
ハ。淨モマタ不立。ユヘニ器マタ不立。ユ
ヘニ師資ノ道相契。通途無礙ナルユヘニ。
我ガ法汝受べシ。汝之本有性ナルユヘニ。
一法ノ他ニウクルナク。一法ノ人ニサヅ
クルナシ。恁麼ニ參徹スルトキ。師トモイ
フべシ。資トモイフべシ。ユヘニ子卽チ師
ノ頂ニノボリ。師卽チ子ノ足ニクダル。コ
ノ時兩物ナク分析ナシ。ユヘニ器トモ稱
シガタシ。スナハチ器カクレシ。コノ道ノ
マサニ通ゼン表準ナリ。今日モモシコノ
田地ニイタリヱバ。從來ノ身心ニアラズ。
ユヘニ古今ニ亙ルトモイヒガタシ。ナニ
イハンヤ。生死去來ト稱スルアランヤ。皮
肉骨髓ヲ存スルコトアランヤ。實ニコレ
虚凝一片ノ田地。ツヰニ表裏ナク。内外ナ
シ。今日又卑語ヲツケテ。適來ノ因緣ヲ擧
セントオモフ。大衆要聞麼 霜曉鐘如隨
扣響 斯中元不要空盞
第八祖佛陀&MT10769;提尊者。値七祖婆須密多尊
者曰。今來與師論義。尊者曰。仁者論卽
不義。義卽不論。若擬論義&MT10755;非義論。師
知尊者義勝。悟無生理 師者迦摩羅國之
人也。姓瞿曇氏。頂上有肉髻。辨捷無礙。第
七祖婆須密多尊者。行化至迦摩羅國。廣
興佛事。師於寶座前。自謂。我名佛陀&MT10769;
提。今與師論義。尊者曰。仁者論卽不義。義
卽不論。實ニ夫レ眞實ノ義ハ論ズべキニ
アラズ。眞實ノ論ハマタ義ヲ帶セズ。ユヘ
ニ論アリ。義アルハコレ義ニアラズ。論ニ
アラズ。ユヘニイフ。若擬論義&MT10755;非義論。
ツイニ一法ノ義トスべキナク。一法ノ論
トスべキナシ。然モ佛ニ二種ノ語ナシ。故
ニ佛語ヲミルハ佛身ヲ見ルナリ。佛身ヲ
見バ佛舌ヲ證スル也。然レバ縱ヒ心境不
二ト説モ。猶是レ眞實ノ論ニアラズ。設ヒ
變易セズトイフトモ。猶是レ義ニアラズ。
故ニ言ノノブべキナク。理ノアラハスべ
キナシトイフトモ。猶是レ義通ズルニア
ラズ。性ハスナハチ眞ナリ。心ハスナハチ
正ナリト説モ。又是レ何ノ論ゾ。然モ光境
トモニ亡ズトイフモ。猶是レ眞實ノ論ニ
アラズ。光境トモニ亡ゼザルモ。又是レ義
ニアラズ。然レバ賓ト説キ。主ト説キ一ト
説キ同ト説クモ。カサネテ是レ義ノ論ニ
アラズ。コヽニイタリテ。文殊大士無言無
説ト説クモ。是レ眞實ノ宣ニアラズ。維摩
大士據座默然セシモ。又是レ義ノ論ニア
ラズ。此ノ處ニ到リテ。文殊猶見錯リ。維
摩猶云錯ト。ナニ況ヤ智慧第一ノ舍利弗。
神通第一ノ目犍連。此ノ義ヲ見ルコト未
夢見。アダカ生盲ノ物色ヲミザルガゴト
シ。然モ佛ノ言。佛性ハ聲聞緣覺ノ夢ニモ
未ダシラザルトコロナリ大般涅槃經卷八如來
性品第四之五云。善
男子如是佛性唯佛能知。
非諸聲聞縁覺所及
十住ノ菩薩猶トホク
鶴ヲミテ。是レ水ナルカコレ鶴ナルカト
アヤマル。且ク計較思惟シテ。良是鶴ナ
リト見ルトイヘドモ。猶是レ決定ナラズ
同經同品云。善男子。譬如渇人行於曠野。是人渇逼遍
行求水。見有叢樹。樹有白鶴。是人迷閟不能分
別是水是樹諦觀不已。乃是白鶴乃以叢樹。善男
子。十住菩薩於如來性知見少分。亦復如是
然モ
十住ノ菩薩猶是見佛性不明了同經同品
云十住菩
薩雖於己身見如來性。
亦復如是不大明了
然モ少シク如來ノ所
説ニヨリテ。自性アルコトヲシリテ。歡喜
シテ曰ク。我レ無量劫生死ノ間ダニ流轉
シテ。コノ常住ナルコトヲワキマヘザリ
シコトハ。無我ノ爲ニ惑亂セラレテナリ
同經同品云。十住猶未能見所有佛性。如來旣説。卽
便少見。是菩薩摩訶薩旣得見。已咸作是言。甚奇也。
世尊。我等流轉無量生死。
常爲無我之所惑亂
然モ見聞ヲ絶シ。身
心ヲ忘ジ。迷悟ヲサケ。染淨ヲ離レタリト
イフトモ。コノ義ヲ見ルコト夢ニモ又見
ルコト不得。故ニ空中ニ向ヒテ求ムルコ
トナカレ。色中ニオキテ求ムルコト勿レ。
何況ヤ佛ニ求メ祖ニ求メンヤ。然モ諸人
者曠大劫ヨリ以來今日ニイタルマデ。幾
回カ生死ヲ經歴シ。幾回カ身心ヲ起滅シ
來或ヒハオモフべシ。此ノ生死去來ハ夢
幻妄想ナリト。殊ニ笑べシ。コレ何ノ説話
ゾ。抑モ生死去來スルモノアルカ。ナニヲ
眞實ノ人體トイハンヤ。ナニヲ夢幻妄想
ナリトイハン 故ニ虚妄トモ會スべカラ
ズ。眞實トモ會スべカラズ。モシ虚妄ト會
シ眞實ト會セバ。此ノ處ニイタリテ始&MT10755;
不是ナリ。故ニ此ノ一段ノ事。子細ニ須ク
參徹シテ始テエン。謾ニ空ヲ擬シ正ヲ擬
シテモテ。恁麼ノトコロトオモフコトナ
カレ。タトヒ平坦ノ水ノ如ク。清潔清淨ナ
リトアキラメテ。虚空染淨ナキガ如クナ
リトイフトモ。卒ニ未ダ此ノトコロヲ明
ラメエンヤ。洞山和尚潙山雲巖ニ參ジテ。
タチマチ萬法ト同參シ。全身説法ストイ
フトモ。猶是レ不具ナルコトアリキ。コレ
ニヨリテ。雲巖重テ慰メテ曰。這事ヲ承當
センコト子細ニスべシト。此レニヨリテ
疑ヒ猶ノコルコトアリテ。暫ク雲巖ヲ辭
シ。他所ヘユキシニ。水ヲ渡ル時影ヲミテ。
速カニ此事ヲエテ。説偈曰。切忌隨他覓。
迢迢與我疎。我今獨自往。處處得逢渠。渠
今正是我。我今不是渠。應須恁麼會。方得
契如如。如是解シテ。卒ニ雲巖ノ嫡子トシ
テ。洞宗ノ根本タリ。然モ全身説法ヲ會ス
ルノミニアラズ。露柱燈籠塵塵爾リ。刹刹
爾リ。法法爾リ。三世一切説ヲ會ストイフ
トモ。猶不至處アリテ慰メキ。ナニ況ヤ。今
人知見ノ中ニ會シテ。心是レ佛ト會シ。
身コレ佛ト會シ。或ハ佛道如何ナルべシ
トモ會セズ。タダ春ノ華開クヲミ。秋ノ葉
散ルヲミ。法住法位トオモヘリ。是レワラ
フニタヘタルモノナリ。佛法如是ナラバ。
何ニヨリテ釋迦出世シ。達磨西來セン。然
ルニ上釋尊ヨリ唐土以來ノ祖師。佛祖位
中ニ別ナシ。誰カ是レ大悟セザリツル。人
コトニ依文解義モテ義トシ論トセバ。イ
クソバクノ佛祖カアラン。故ニカレヲナ
ゲステ。コノトコロヲ參徹シテ。自ラ佛祖
ナルコトヲエン。故ニ祖師ノ道殊ニ大悟
大徹セズンバ。其ノ人ニアラズ。故ニ純清
絶點ニモトドマラズ。虚空明白ニモトド
マラズ。故ニ船子和尚曰。直須藏身處沒
蹤迹。沒蹤跡處莫藏身。吾三十年在藥山
祇明斯事。純清絶點是非藏身處也。光境
共ニ忘ズトイフトモ。猶コノトコロニ藏
身スルコトナカレトイフ。更ニ古今ト説
クべキトコロナシ。迷悟ト論ズべキコト
ナシ。恁麼ニ參徹スル時。十方壁落ナク。四
面又門ナシ。處處脱白露淨ナリ。故ニ大須
子細。卒爾ナルコトナカレ。今朝此ノ因緣
ヲ説破セントスルニ。卑頌アリ要聞麼
 善吉維摩談未到 目連鶖子見如盲
 若人親欲會這意 鹽味何時不的當
第九祖。伏駄密多尊者。聞佛陀&MT10769;提説汝
言與心親。父母非可比。汝行與道合。諸佛
心卽是。外求有相佛。與汝不相似。欲識汝
本心。非合亦非離。師乃大悟 師者提伽國
人也。姓毘舍羅。佛陀&MT10769;提行化至提伽國城
毘舍羅家。見舍上有白光上騰。謂其徒
曰。此家當有聖人。口無言説。眞大乘器。足
不蹈地。知觸穢耳。則是吾嗣。言訖。長者出
投禮問。何所須。尊者曰。我求侍者。長者
曰。我有一子。年已五十。口未曾言。足未曾
履。尊者曰。如汝所説眞吾弟子。尊者見之
如是云ヲ聞。師卽遽起禮拜。而説偈相問曰。
父母非我親。誰是最親者。諸佛非我道。誰
是最道者。尊者以偈答曰。汝言與心親乃至
非合非離。時師聞妙偈。卽行七歩。尊者
曰。此子昔曾値佛悲願廣大。慮父母愛情
&MT10769;捨故。不言不履耳云云實ニ父母非我
親。諸佛非我道。故ニ正ク親キコトヲシラ
ント思ハバ。父母ニ比スべキニアラズ。正
ク道ナルコトヲシラントヲモハバ。諸佛
ニ學スべキニアラズ。所以者何トナレバ。
汝ガ見聞卒ニ他ノ耳目ヲカラズ。汝ガ手
足他ノ動靜ヲ不用。衆生モ恁麼ナリ。諸佛
モ恁麼ナリ。カレ是レヲ學ビ。是レカレヲ
學ブハ。卒ニ是レ親キニアラズ。アニ道ト
スベケンヤ。恁麼ノ道理ヲ護持保任スル。
故ニ口ニモノイハズ。足フマズ。ヤヽ五十
年ヲヘタリ。實ニ是レ大乘ノ器。觸穢中ニ
アラザラマクノミ。父母我親ニアラズト
イフ。卽是レ汝ガ言ナリ。コレマサニ汝ガ
心トシタシシ。諸佛吾ガ道ニアラズトイ
ヒテ。足遂ニフマズ。卽汝ガ行ナリ。道
ニ合ス。然レバ外ニ有相ノ佛ヲ求ムル。卒
ニ是レ非行。此レニヨリテ祖師門下。不立
文字直指單傳シテ。見性成佛シモテユク
故ニ。人ヲシテ直指ナルコトヲシラシメ
ントシテ。單傳セシムルニ他ノ榜樣ナシ。
タダ人ヲシテ直ニ意根下ヲ坐斷シテ。口
邊ニ白醭ヲ生ゼシメモテユク。是レ言ヲ
忌ムニアラズ。默ヲヨミスルニアラズ。汝
ガ心恁麼ナルコトヲシラシメントナリ。
清水ノ如ク虚空ノ如シ。純白清潔ニシテ
和融無礙也。故ニ自心ノ外ニアラハルヽ
一物ナク。己靈ノ上ニ纖塵ノ遮ルべキナ
シ。全體明瑩ニシテ珠玉ニ列セズ。日月ノ
光明ヲモテ自己ノ光明ニ比スルコトナカ
レ。火珠ノ光明ヲモテ自己ノ眼睛ニ比ス
ルコトナカレ。不見道。人々一段ノ光明
アキラカナルコト。千日並ビ照スガ如シ。
クラキモノハ内ニ向ヒテ覓メ。明カナル
モノハ外ニ向ヒテ存セズ。シヅカニヲモ
フべシ。内ヲモテ親キトスルコトナク。外
ヲモテ疎トスルコトナシト。古往今來如
是ナリトイヘトモ。自倒自起シ來ルコト
ナカレ。故ニ祖師親切ニ相見ス。只恁麼ニ
相逢。更ニ無多子。適來ノ因緣ヲモテアキ
ラメツべシ。必ズシモ修證ニヨリテイタ
ルべシトイハズ。參學ニヨリテ窮ムべシ
トイハズ。只汝ガ心全ク汝ト親シ。汝マサ
ニコレ道ナリトイフ。此ノ外ニ有相ノ佛
モ求メズ。無相ノ佛モ求メズ。實ニシリ
ヌ。汝ヂ誰レニカ合セン。誰トカ離セン。卒
ニ合ニアラズ離ニアラズ。タトヒ是レ身
ト説モコレ離ニアラス。タトヒ是レ心ト
説モ亦コレ合ニアラズ。恁麼ノ田地ニ到
ルトイヘドモ。身ノ外ニ心ヲ覓ムルコト
ナカレ。タトヒ生死去來スレドモ。身心ノ
作ニアラズ。諸佛モ恁麼ニ保任シテ。三世
ニ常ニ證シ。諸祖モ恁麼ニ保任シテ。三國
ニアラハレキタル。諸人者モ恁麼ニ保任
シテ。更ニ分外ニスルコトナカレ。十二時
中卒ニイマダ相錯ルコトナシ。十二因緣却
テコレ轉法輪ナリ。此ノ田地ニイタル時。
五道ノ輪轉自ラ大乘ノ翻軸ナリ。四生ノ
受業マサニ是レ自己ノ活計。タトヒ情ト
説キ非情ト説クモ。恰モ眼目ノ異名ナリ。
タトヒ衆生トイフトモ。心意ノ別稱也。心
ヲ勝レタリトシテ意ヲ劣レリトスルコト
ナカレ。アニ眼ヲイヤシミテ目ヲ貴トセ
ンヤ。這箇ノ田地卒ニ根塵ノ境界ナク。心
法ノ所見ナシ。故ニ人人悉ク是レ道ナリ。
事事スべテ心ナラザルコトナシ 今朝又
此ノ因緣ヲ指説セントスルニ。卑語アリ。
大衆要聞麼
 莫言語默渉離微 豈有根塵染自性
第十祖。脇尊者。執侍伏駄密多尊者左右三
年。未嘗睡眠。一日尊者誦修多羅及演無
生。師聞悟道 師者中印度人也。本名&MT10769;生。
初師將誕。父夢。一白象背有寶座。座上安
一明珠。其光照四衆。旣 覺遂生。伏駄密多尊
者。至中印度行化。時有長者香蓋。携一
子而來。瞻禮尊者曰。此子處胎六十歳。因
&MT10769;生。復嘗會一仙者。謂此兒非凡。當爲
法器。今遇尊者。當出家。尊者爲落髮授
戒。處胎六十年。生後八十年。都盧一百四
十年也シニ。始メテ發心ス。老耄セルコト
イタリテ老耄セリ。此レニヨリテ發心セ
ントセシ時。人皆イサメテ。汝スデニ老
耄ス。徒ニ清流ニアトシテコレナニニカ
セン。出家ニ二種アリ。一ニハ習禪。二ニ
ハ誦經。汝タユべキニアラズ。師世人ノソ
シリヲキキテ。自誓ヒテイハク。我出家シ
テ若シ三藏ヲ學通ジ。三明ヲ得ルコトナ
クハ。誓脇不著席。如是チカヒテ。ヒルハ
參學誦經シ。ヨルハ安禪思惟シテ。卒ニ睡
眠セズ。初メ出家セントセシ時。祥光燭座。
仍感舍利三七粒現前。自此精進忘疲三
年。遂ニ三藏ヲ學通ジ。三明智ヲ開ク。一日
尊者誦修多羅。演無生時。師聞悟道シ。卒
ニ第十祖ニ列ス。可知佛祖ノ功業トシテ。
カクノゴトク精進。ツカレヲワスレテ參
學・誦經・安禪・思惟ス。祖師モ又尋常ニ修多
羅ヲ誦シ。及ヒ無上ヲノブ。此レ修多羅ト
イフハ。正眞大乘經也。同佛説ナリトイヘ
ドモ。大乘經ニアラザレバ。誦スルコトナ
シ。了義經ニアラザレバ。依ルコトナシ。此
ノ大乘經トイフハ。纖塵ヲハラフトトカ
ズ。妄想ヲ除クトイハズ。了義經トイフ
ハ。必ズ理ヲ盡シ。妙ヲ盡スノミニ非ズ。卽
其事ヲ盡シ來ル。所謂事ヲツクストイフ
ハ。諸佛ノ發心ヨリ菩提ノ涅槃ニイタリ。
三乘五乘ヲ説キ來テ。劫國名號ミナモテ
ツクサズトイフ事ナシ。此レヲ了義トス
ル也。然レバ佛經ハ如是トシルべシ。タト
ヒ一句ヲ道得シ。一理ヲ通得ストイヘド
モ。一生參學ノ事オハラズンバ。卽是レ佛
祖トユルシガタシ。然レバ必ズ精進忘疲。
發心群ヲヌケ修行倫ヲ絶シテ。子細ニ參
到シ。委悉ニ究辨シテ。夜ヲモテ日ニツ
ギ。志ヲタテテ力ヲオコシ。佛祖出世ノ本
懷。自己保任ノ旨趣。悉ク明辨シテ。一生
ノ間ニヲヒテ。理トシテ通ゼズトイフコ
トナク。事トシテツクサズトイフ事ナフ
シテ。卽是レ佛祖ナルべシ。近來祖師ノ道
スタレ。參學ノ實處ナキニヨリテ。卒ニ一
言ヲ通ジ。一理ヲ通ズルヲモテ。足ンヌト
思ヘリ。恐クハ是レ増上慢ノ類ナルべシ。
大ニオソルべシ。不見道。道ハ山ノ如ク。
登レバマスマス高シ。徳ハ海ノ如シ。入レ
バマスマス深シ。深キニ入テ底ヲキハメ。
高キニ登リテ頂ヲキハメテ。始テ眞ノ佛
子タラン。身心徒ニ放捨スルコトナカレ。
人人悉ク道器ナリ。日日是好日ナリ。只子
細ニ參ト不參トニヨリテ。徹人未徹人ア
リ。必ズシモ人ヲエラブニアラズ。時ヲエ
ラブニアラサルコト。今ノ因緣ヲモテ知
ルべシ。旣 ニ百四十餘。老耄ス。然レドモ
志シ無二ニヨリテ。精進疲ヲ忘レシカバ。
卒ニ一生ニ參學シオハル。實ニ可憐老骨
ノ身トシテ。左右ニ侍スル事三年。卒ニ不
睡眠トイフ。今人ハ殊ニ老テオコタルコ
トアリ。ハルカニ往古ノ先聖ヲ思ヒヤリ
テ。寒苦ヲモ寒苦トセズ。暑熱ヲモ暑熱ト
セズシテ。身命ヲ斷ズト思フ事ナカレ。心
慮不及ト思フコトナカレ。若シ能ク如是
ナラバ。スナハチ稽古ノ人ナルべシ。是レ
スナハチ有道ノ士ナルべシ。若シ稽古ア
リ有道ナランガ如キンバ。タレカ是レ佛
祖ニアラザラン。スデニ修多羅ヲ誦スト
イフ。夫レ修多羅ヲ誦スルコト。必ズシモ
口ニ誦シ。手ニ取リテ以テ轉經トノミスべ
カラズ。子細ニ佛祖ノ屋裡ニシテ。イタヅ
ラニ聲色ノ中ニ功夫セズ。無明胎中ニ行
履セズ。處處ニ智慧發生シ。時時心地開
明シテ。スべカラク修多羅ヲ誦スべシ。十
二時中恁麼ニ行履シ來ルニ。曾テ依倚セ
ザランガ如キンバ。卽是レ無生ノ本性ヲ
體達セザルナカルべシ。シラズヤ。生ジ來
レドモ從來スルトコロナク。死シ去レド
モ亦去處ナシ。當處ニ出生シ。隨處ニ滅盡
ス。起滅時トトモニオコタラズ。故ニ生是
レ生ニアラズ。死是レ死ニアラズ。然モ參
學人トシテ。生死ヲ以テ心頭ニカクルコ
トナカレ。見聞ヲ以テ自ラヘダツルコト
ナカレ。タトヒ見聞トナリ。聲色トナル
トモ。自ノ光明藏ナリ。眼根ヨリ光明ヲ
放テ。色相莊嚴ヲナシ來リ。耳根ヨリ光
明ヲ放テ。音聲ノ佛事ヲキキ得タリ。手
裏ニ光明ヲ放テ。轉自轉他。脚下ニ光明
ヲ放テ。進歩退歩。今日又恁麼ノ道理ヲ
指説センガタメニ。卑語ヲツケント思フ。
要聞麼
 轉來轉去幾經卷 死此生彼章句區
第十一祖。富那夜奢尊者。合掌立脇尊者
前。尊者問曰。汝從何來。師曰。我心非往。尊
者曰。汝何處住。師曰。我心非止。尊者曰。汝
不定耶。師曰。諸佛亦然。尊者曰。汝非諸
佛。諸佛亦非也。師聞此言。經三七日修
行。得無生法忍。告尊者曰。諸佛亦非。非尊
者。尊者聽許付正法 師者華氏國人也。姓
瞿曇氏。父寶身。脇尊者初至華氏國憩一
樹下。右手指地。告衆曰。此地變金色。當
有聖人入會。言訖卽地變金色。時有長者
子富那夜奢。合掌立云云尊者因説偈曰。此
地變金色。預知聖至。當坐菩提樹覺華而
成已。夜奢復説偈曰。師坐金色地。常説眞
實義。回光而照我。令入三摩諦。尊者知師
意。卽度出家。令具戒法。適來因緣。夜奢尊
者。元來是聖者也。コレニヨリテ我心非往
我心非止。諸佛亦然ト説。然モ猶是兩箇見。
也。所以者何トナレバ。我心モ如是諸佛モ
如是ト會ス。是ニヨリテ尊者驅耕夫之牛。
奪飢人之食。眞實得達ノ人モ猶是自救不
了也。ナニ況ヤ諸佛ヲ存スルコトアラン
ヤ。是ニヨリテ汝非諸佛ト説。コレ理性ヲ
以テシルべキニアラズ。非相ヲ以テ辨ズ
べキニアラズ。故ニ諸佛ノ智ヲ以テ知ル
べキニアラズ。自己ノ識ヲ以テハカルべキ
ニアラズ。故ニ此言ヲ聞テヨリ。三七日ノ
間ダ修習行道シテ。サシオクコトナシ。遂
ニ一日覺觸シテ。マサニ我心ヲ忘シ。諸佛
ヲ解脱ス。コレヲ無生法忍ヲ悟ルトイフ。
遂ニコノ理ニ通ジテ。邊表ナク内外ナキ
ニヨリテ。ソノ得處ヲ説ニ曰ク。諸佛亦非
尊者ナリト。實ニコレ祖師ノ道ハ。理ヲモ
テ通ズべキニアラズ。心ヲモテ辨ズべキ
ニアラズ。故ニ法身法性萬法一心ヲモテ究
竟トスルニアラズ。故ニ不變トモ説クべ
カラズ。清淨トモ會スべカラズ。ナニ況ン
ヤ。空寂ナリト會センヤ。至理ナリト辨ゼ
ンヤ。故ニ諸家ノ聖者。悉クコノ處ニイタ
リテ初心ヲ回シ。再ビ心地ヲ開明シテ。直
ニ入路ヲ通ジ。速カニ己見ヲ破ス。今ノ因
緣ヲモテ可知。已ニ是聖者タルニヨリテ。
來ル時地スナハチ變ジ。徳風モノヲオド
ロカス力アリ。然レドモナホ三七日ノ間
ダ修習シテ。コノ所ニ達ス。故ニ諸人者子
細ニ明辨シテ。ワヅカニ小徳小智己見舊
情ヲモテ宗旨ヲ定ルコトナカレ。大ニス
べカラク子細ニシテハヂメテウべシ。今
朝又此ノ因緣ヲ會セントスルニ。忝ク卑
語ヲモテス。大衆要聞麼
 我心非佛亦非汝 來往從來在此中
第十二祖。馬鳴尊者。問夜奢尊者曰。我欲
識佛。何物卽是。尊者曰。汝欲識佛。不識者
是。師曰。佛旣 不識。焉知是乎。尊者曰。旣
不識佛。焉知不是。師曰。此是鋸義。尊者
曰。彼是木義。復問。鋸義者何。師曰。與師
平出。又問。木義者何。尊者曰。汝被我解。師
豁然省悟 師者波羅奈國之人也。亦名功
勝。以有作無作諸功徳最爲殊勝故名焉。
卽參夜奢尊者處。最初問曰。我欲識佛。何
者卽是。尊者曰。汝欲識佛。不識者是。實參
學最初。必尋ヌべキハ是佛ナリ。三世諸佛・
數代祖師。盡是學佛漢トイフ。若佛ヲ學セ
ザレバ。悉クコレ外道ト名ク。故ニ音聲ヲ
モテ求ムべキニアラズ。色相ヲ以テ求メ
シルべキニアラズ。故ニ三十二相・八十種
好ヲモテ佛トスルニタラズ。因テ我欲識
佛何者卽是ナルト問來ル。卽示曰。汝欲
識佛不識者是ナリト。イハユル不識者
トイフハ。マサニコレ馬鳴尊者也。豈他。
未知時モシレルトキモ別ノ保任ナシ。他
ノ樣子ナシ。故ニ昔シヨリ今ニ及ビテ。只
如是有時ハ三十二相ヲ帶シ。八十種好ヲ
具シ。三頭八臂ヲ帶シ。五衰八苦ニ沈ミ。有
時ハ被毛戴角シ。有時ハ鐵擔架鎖ス。常ニ
三界中ニ居シテ。自己ノ行履ヲ保任シ。自
心ノ中ニ頭出頭沒シテ。異面ヲ帶シ來ル。
故ニ生ジキタルモ是何者ナリトシラ
ズ。死シ去ルモ是何者ナリトシラズ。形
ヲツケントスレドモ。是造作スべキ法ニ
アラズ。名ヲ安ゼントスレドモ。亦コレ建
立スべキコトニアラズ。故ニ劫ヨリ劫ニ
至ルマデ。曾テシルトコロナク。我ニシタ
ガヒ我ニ共ナフトモ。都テ辨ズルコトナ
シ。適來ノ因緣ヲ聽テ。多ク解シテ曰ク。イ
カニモシルコトアルハ。卽是佛ニタガハ
ン。シルコトナク分ツコトナカラン。正ニ
是佛ナルべシト云。今ノ不識恁麼ニ會セ
バ。何ゾ煩ハシク夜奢尊者恁麼ニ示サン。
從冥入於冥ニ。只是ノゴトク都テ恁麼
ナラザル故ニ。直ニ示シテ曰。不識者是也
ト。馬鳴ナホ明ラメズ。只是從來ノ不知ト
イフヲモテ今ノ示ス處ヲ解ス故ニ。曰。
佛旣不識焉知是乎。尊者重テ示シテ曰。旣
不識佛焉知不是佛。ソノ外ニ求ムべキ
ニアラズ。不知者卽チ是佛ナリ。豈不是ト
云べケンヤ。師曰。此是鋸義。尊者曰。彼是
木義。夜奢復問。鋸義者何。師曰。與師平
出。馬鳴又問。木義者何。尊者曰。汝被我解。
師豁然省悟。實ニ汝モ如是我モ如是。八
字ニ打開シ兩手ニ分付ス。汝モ我モ一點ヲ
受ズ。吾モ汝モ少分ヲカラズ。コレニヨリ
テ平出セルコト恰モ鋸ノ如シ。故ニイフ
鋸義ト。師解曰。吾是木義ト。尊者曰。彼是木
義。所以者何ナレバ。黒漫漫トシテ總テ知
ル處ナシ。更ニ一點ヲモ著ズ。一知ヲモ假
ラズ。恰モ木頭ノ如ク又露柱ノ如シ。無心
ニシテ恁麼也。&MT10755;ニ辨別スル處ナシ。恁麼
ニ會スル。故ニ道フ彼ハ是木ノ義ト。然レ
共恁麼ノ處解。餘習ナホ殘テ師義ヲ不知。
此ニ尊者慈悲落草ノ故ニ。復問。鋸ノ義ト
ハ何ゾヤ。師曰。與師平出スト。此ニ至リ
テ重テ自ラ道取シテ。又問。木義トハ何ゾ
ヤ。夜奢復授手分付シテ曰。汝我ニ解セラ
ルト。爰ニ師資ノ道通ジ。古今情ヤブレテ。
夢中ニ路ヲナシ來リ。空裏ヲ運歩シモテ
ユク。故ニ曰ク。汝被我解。ココニ到リテ無
心凝結スミヤカニトケ。明白ノ窠窟モヌ
ケ來テ。豁然トシテ開悟。遂ニ第十二祖ニ
列ス。尊者謂衆曰。此大士者。昔爲毘舍離
國王。其國有一類人。如馬裸露。王運神
力。分身爲蠶。彼乃得衣。彼王後生中印
度。馬人感戀悲鳴。因號馬鳴焉。如來&T047368;
云。吾滅度後六百年。當有賢者馬鳴者。於
波羅奈國摧伏異道。廣度人天。度人無量。
繼吾傳化。今正ニ是時ナリト云ヒテ。夜奢
付囑如來正法眼藏。此ノ一段始&MT10755;ノト
コロ。ミダリニ不識不受ノトコロトシテ。
處處不識ナルトコロトスルコトナカレ。
卽チ不識ナリトモ。未胞胎ノトコロニシ
テ。子細ニ見得シ。子細ニ思量シテ。佛面
祖面ヲ摸索スレドモエズ。人面鬼畜ヲ求
覓スレドモエズ。是不變ナルニモアラズ。
是動著スルニモアラズ。曾テ空ナルニモ
アラズ。内外ノ論ナク。正偏ノヘダテナ
シ。マサニ是レ自己本來ノ面目ナルコト
ヲ覺知シテ。タトヒ凡聖含靈トアラハレ
來リ。依正二報トワカレ來レドモ。全クコ
ノ中ニ去來シ。此中ニ起滅ス。アダカモ海
水ノナミヲヲコスガ如ク。オコリオコレ
ドモ曾テ一水モマサズ。又波ノ滅スルガ
如シ。滅シ滅スレドモ一滴モウシナハズ。
曾テ人間天上ノ中ニ。シバラク諸佛ト呼
レ來リ。兎畜ト呼レ來ル。恰モ一面上ニカ
リニ衆面ヲ現ズルガ如シ。是佛面トセン
モ不是。鬼面トセンモ不是。然モ建化門頭
ノ事。敲唱シ來リ。マサニ如幻三昧ヲ修習
シ。夢中ノ佛事ヲナシ來ル。コレニヨリテ
西天ノ化導幻術今ニ不斷。三國流轉シテ。
轉凡入聖シ來ルナリ。ヨク恁麼ニ轉變修
習シテ。マサニ自己ノ罪過ヲモウトクセ
ズ。自己ノ生死ニモマドハサレズ。コレ眞
箇本色ノ衲僧ナルべシ。今日適來ノ因緣
ヲ擧揚スルニ。例ニヨリテ卑語アリ。要聞
麼 野村紅不桃華識 更敎靈雲到不

第十三祖。迦毘摩羅尊者。因馬鳴尊者説佛
性海曰。山河大地皆依建立。三明六通由
茲發現。師聞信悟 師者華氏國人也。初爲
外道。有徒三千。通諸異論。馬鳴尊者於華
氏國轉妙法輪。忽有獨老人。座前仆地。尊
者謂衆曰。此非庸流。當有異相。言訖則
不見。又俄從地涌出一金色人。復化爲女
子。右手指尊者而説偈曰。稽首長老尊。當
受如來&T047368;。今於此地上宣通第一義。説偈
訖不見。尊者曰。將有魔來。與吾校力。暫ア
リテ風雨惡到。天地晦冥。尊者曰。魔來證
也。吾當除之。卽指空中。現一大金龍。奮
發威神。震動山嶽。尊者嶽然於坐。魔事隨
滅。經七日有一小蟲。大若蟭螟。潜形座
下。尊者以手取之。示衆曰。斯乃魔之所變。
盜聽吾法耳。乃放之令去。魔不能動。尊
者告之曰。汝倶歸依三寶卽得神通。魔遂
復本形。作禮懺悔。尊者問曰。汝名誰耶。眷
屬多少。答曰。我名迦毘摩羅。有三千眷
屬。汝盡神力變化若何。曰。我化巨海極
爲小事。尊者曰。汝化性海得否。曰。何謂性
海。我未嘗知。尊者卽爲説性海曰。山河大
地皆依建立。三明六通由茲發現。師聞信悟
ス。實ニ老人仆地ヨリ。蟭螟蟲トナルニイ
タルマデ。神力ヲ現ズルコト實ニ無數ナ
リ。イハユル化巨海極爲小事。夫レ海ヲ變
シテ山トナシ。山ヲ化シテ海トナシ。神力
ヲ現スルコトキハマリナシトイヘドモ。
性海未ダ名ヲダニモシラズ。何ニイハン
ヤ化スルコトアランヤ。然モ山河大地何
物ノ變ト覺スルコトナキニ。馬鳴スナハ
チ説ク。是レ性海ノ變ナリト。シカノミナ
ラズ三明六通コレヨリ變ズ。イハユル三
昧ハ首楞嚴等ノ無量三昧。天眼天耳六通
コレ始モキハナク。&MT10755;リモキハナク。前三
三後三三卽是ナリ。正ニ是山河大地ヲ建
立スルトキ。三昧地水火風ト化シ。山河草
木トモ化ス。所謂皮肉骨髓トモ變ジ。五體
身分トモ化シ來ル。未タ一事一法トシテ
分外ヨリ來ルニアラズ。故ニ十二時中虚
捨ル底ノ功夫ナク。無量生死イタヅラニ
アラハルヽ底ノ相貌ナシ。故ニ眼ニ見ル
コトモキハマリナク。耳ニ聞クコトモキ
ハマリナシ。恁麼ノ見聞ヲソラクハ佛智
モハカルべキコトアラジ。アニコレ性海ノ
化作ナラザランヤ。故ニ法法塵塵スべテ
コレ涯畔ナキ法ナリ。全ク是レ數量ニ墮
セズ。是卽性海ナリ。故ニ如是然モ今身
ヲミルハ。スナハチ是レ心ヲミルナリ。心
ヲシルハコレ身ヲ證スルナリ。全ク身心
二ツナシ。性相何ゾ分タン。タトヒ今マ異
道ノ中ニアリテ神變ヲ現ズルモ。又是分
外ニアラザレドモ。自ラシラズ。コレ性海
ナリトイフコトヲ。コレニヨリテ自ヲモ
疑惑シ。他ヲモウタガヒ來。然モ其ノ諸有
ヲシラザレバ。總ニ未達根本者力ラヲ
タクラブルニタヘズ。故ニ魔力&MT10755;ニツキ
テ。神變シガタシ。遂ニ己ヲステ他ニ歸
シ。アラソヒヲヤメテ正ヲアラハス。然レ
バタトヘ山河大地ヲ會ストモ。徒ニ聲色
ノ中ニ繋縛スルコトナカレ。タトヒ自己
本性ヲアキラムトモ。又覺知ニトドマル
コトナカレ。マタ覺知モ一兩ノ佛面祖面
ナリ。イハユル墻壁&T072811;礫コレ也。本性ハマ
タ見聞覺知ニカカハラズ。動靜ニヨラズ。
然レドモ性海ヲ建立スレバ。必ズ動靜去
來遂ニ斷ルコトナシ。皮肉骨髓時ト共ニ
アラハレ來ル。若シ根本ヲ論ゼンガゴト
キンバ。見聞トアラハレ。聲色トアラハル
トモ。他ノ爲ニスべキナシ。然レバ空ヲ扣
テヒヾキヲナス。故ニ衆聲ヲ現ズ。空ヲ化
シテ諸物ヲアラハス。故ニ形貌區ナリ。故
ニ空ハ是レ形ナシトオモフべカラズ。空
ハコレ聲ナシトオモフべカラズ。更ニコ
ノトコロニ到リテ子細ニ參到スル時。コ
レ空トスべキニアラズ。コレ有トスべキ
ニアラズ。故ニ隱顯ノ法トスべキニアラ
ズ。自他ノ法トスべキニアラズ。ナニヲ呼
テ他トシ。ナニヲ喚テ我トセン。恰モ空裏
ニ一物ナキカ如ク。大海ニ諸水現スルニ
似タリ。古今曾テ變易セズ。去來アニ別路
アランヤ。故ニアラハルヽ時モ一點ヲモ
添ズ。カクルヽ時モ一毫ヲモウシナハズ。
衆法ヲ合成シテ此ノ身トス。萬法ヲ泯絶
シテ更ニ一心ト説ク。故ニ道ヲ明メ心ヲ
證スルコト。スべテ分外ニ向ヒテ求覓ス
ルコトナカレ。只自己本地ノ風光現成シ
來レバ。他コノヲ呼テ人面鬼畜トス。雪峯
曰。要會此事。我這裏如一面古鏡相似。胡
來胡現。漢來漢現。全クコレ如幻三昧。故
ニ始モキハマリナク。&MT10755;リモキハマリナ
シ。故ニ山河大地ヲ建立スル時モ皆依是。
顯發三明六通時モ由茲。コノ故ニ自心ノ
外ニ大地寸土ヲミルコトナカレ。性性ノ
外ニ河水一滴ヲツクルコトナカレ。今朝
又此ノ因緣ニヨリテ卑語ヲ著ント欲ス。
要聞麼。良久曰 &T023307;渺波濤縱滔天 清淨
海水何曾變
第十四祖。龍樹尊者。因十三祖赴龍王請。
受如意珠。師問曰。此珠世中至寶也。是有相
耶。無相耶。祖曰。汝只知有相無相。不知此
珠非有相非無相。亦未知此珠非珠。師聞
深悟 師者西天竺國人也。龍猛亦名龍勝。
十三祖當時受度傳法。至西印土。彼有太
子。名雲自在。仰尊者名請於宮中供養。尊
者曰。如來有敎。沙門不得親近國王大臣
權勢之家。太子曰。今我國城之北有大山
焉。山中有一石窟。師可禪。寂于此否。尊者
曰。諾。卽入彼山行數里。逢一大蟒。尊者
直進不顧。蟒來遂盤繞尊者身。尊者因與
授三歸依。蟒聽訖而去。尊者將至石窟。復
有一老人。素服而出。合掌問訊。尊者曰。汝
何所止。老人答曰。我昔嘗爲比丘。多樂寂
靜。隱居山林。有初學比丘。數來請益。而
我煩於應答。起瞋恨想。命&MT10755;墮爲蟒身。住
是窟中。今已千載。適遇尊者。獲聞戒法。故
來謝耳。尊者問曰。此山更有何人居止。曰。
此北去十里有大樹。蔭覆五百大龍。其樹王
名龍樹。常爲龍衆説法。我亦聽受耳。尊者
遂與徒衆詣彼。龍樹出迎尊者曰。深山孤
寂龍蟒所居。大聖至尊何枉神足。尊者曰。
吾非至尊來訪賢者。龍樹默念曰。此師得
決定性明道眼否。是大聖繼眞乘否。尊者
曰。汝雖心語。吾已意知。但辨出家。何慮吾
聖不聖。龍樹聞已。悔謝出家。尊者卽與度
脱。及五百龍衆俱受具戒。然シヨリ尊者ニ
シタガヒテ四年ヲフルニ。十三祖龍王ノ
請ニヲモムキシニ。如意珠ヲタテマツル。
師問曰。此珠世中至寶也乃至師聞深悟ス。
&MT10755;ニ第十四祖ニ列ス。夫レ龍樹ハ異道ヲ
學シ神通ヲ具ス。常ニ龍宮ニ行。七佛ノ經
書ヲ見。ソノ題目ヲ見テスナハチ經ノ心
ヲシリ。ヨノネツニ五百ノ龍ヲ化ス。イハ
ユル&MT10769;陀龍王・跋&MT10769;陀龍王等ハ皆コレ等
覺ノ菩薩也。悉ク前佛ノ付囑ヲウケ。諸經
ヲ安置シタテマツル。今大師釋尊ノ經敎。
人天ステニ化緣ツキン時モ。悉ク龍宮ニ
ヲサマルべシ。如是大威神アリテ。尋常大
龍王ト問答往來ストイヘドモ。コレ眞實
ノ道人ニアラズ。只是外道ヲ學スル耳也。
一度十三祖ニ歸セシヨリコノカタ。マサ
ニ是大明眼也。然ルヲ人人皆オモハク。龍
樹ハ只是祖門ノ十四祖ナルノミニアラ
ス。マタコレ諸家ノ祖師タル故ニ。眞言モ
是ヲモテ本祖トス。天台モ是ヲモテ根本
トス。陰陽蠶養等モ是モテ根本トス。コレ
ミナムカシ諸藝ヲ習シカドモ。祖位ニ列
シテノチハ捨ラレシ。諸藝弟子ワレモ龍
樹ハ卽本祖ナリトイヘリ。是スナハチ龍
樹ナリトオモハン。正邪ヲ混亂シテ。玉石
ヲ辨ゼザル。魔黨畜類ナリ。タヾ龍樹ノ佛
法。迦那提婆ノミスナハチ正傳ナリ。餘ハ
皆ステラレシ諸宗ナリト。今ノ因緣ヲモ
テシルべシ。五百ノ龍衆ヲ接化ストイヘ
ドモ。猶迦毘摩羅尊者至ルトキ。出テムカ
ヒテ禮拜シ。コヽロミントス。尊者シバラ
ク隱密シテ正宗ヲアラハサズ。龍樹默念
ジテ曰。是眞乘ヲツゲル大聖ナリヤト。心
中ニハカリミントス。祖曰ク。但辨出家。何
慮吾之不聖。トイヒシカバ。龍樹慚愧シ
テ。十三祖ニツギ來ル。今ノ因緣ヲモテ明
ムべシ。曰ク此珠世中ノ至寶ナリ。是珠有
相ナリヤ。無相ナリヤ。實ニ龍樹サキヨリ
シレリ。是有相ナリトヤセン。無相ナリト
ヤセン。頗ル有無ノ所見ヲ動執スルナリ。
コレニヨリテ祖示云云實ニタトヒ世間ノ
珠ナリトイヘドモ。眞實ヲ論セン時。コレ
有相無相ニアラズ。只コレ珠ナリ。イハン
ヤ力士ノ額ニカカル珠。輪王ノ髻ニ包ミ
シ珠。龍王ノ珠。醉人衣裏ノ珠。悉ク他ノ
所見ニワタラズ。有相無相トモ辨ジガタ
シ。然レドモ適來ノ珠ハ。悉ク世間ノ珠也。
全ク是道中ノ至寶ニアラズ。何況ヤ此ノ
珠又珠ニアラザルコトヲシルコトアタハ
ズ。實ニ精細ニスべシ。玄沙曰。全體是珠。
令誰知。又曰。盡十方世界。是一顆ノ明珠
ト。實ニ是レ人天ノ所見ヲモテ辨ズべキ
ニアラズ。然レトモタトヒ世間ノ珠ナル
モ。全ク外ヨリ來ルニアラズ。悉ク人人ノ
自心ヨリ發現シ來ル。故ニ天帝釋ハ是ヲ
如意珠寶トモ。摩尼珠寶トモ受用シ來ル。
病アル時モ此ノ珠ヲオケバ病スナハチイ
ユ。憂アル時モ此ノ珠ヲ戴ダケバ憂オノ
ヅカラ除ク。神通變現ヲ現スルコトモコ
ノ珠ニヨル。輪王七寶中ニ摩尼寶珠アリ。
一切ノ珍寶悉クコレヨリ出生ス。受用ス
ルニ無量ナリ。カクノゴトク人天ノ果報
ニシタガヒテ勝劣アリ。差別アリ。人間ノ
如意珠トハ米粒ヲモナヅケタリ。是レヲ
珠寶トス。是レ天上ノ珠ニ比スルニ造作
建立トス。然モ是ヲ呼テ珠トス。又如來ノ
舍利佛法滅スル時如意寶珠トナリ。一切
ヲフラシ。米粒トモナリテ衆生ヲタスク
べシ。タトヒ佛身ト現シ。米粒ト現ジ。萬
法トアラハレ。一顆ト顯ハルルトモ。自心
アラハレテ五尺ノ身トナリ。三頭ノ形ト
ナリ。被毛戴角ノ形トナリ。森羅萬像品品
トナル。然モ卽スべカラク彼ノ心珠ヲ辨
ズべシ。昔ノ比丘ノ如ク寂靜ヲネガヒ。山
林ニ隱居スルコトナカレ。實ニ是前來モ
如是未得道ナルアヤマリアリ。近來モ如
此未得道ナル錯リアリ。猶諸人ト肩ヲマ
ジヘ參來參去スルコト。閑靜ナラザル故
ニ。獨リ山林ニ居シテ。シヅカニ坐禪行道
セント。カクノゴトクイヒテ。ヲヲク山谷
ニ隱居シ。ミダリニ修錬スル類。ヲヲクハ
モテ邪路ニ趣キ來ル。ユヘイカントナレ
バ。其ノ眞實ヲシラズ。徒ニ自己ヲ先トス
ルユヘナリ。又曰。大梅常禪師モ鐵塔ヲイ
タダキ。松煙ノ中ニ坐ス。潙山大圓禪師モ
虎狼ヲトモトシテ。雲霧ノ底ニ修ス。我等
モカクノ如ク修習スべシト。實ニ笑ヒヌ
べシ。古人悉ク得道シテ。正師ニ印&T047368;ヲ受
ケ。シバラク道業ヲ純熟セシメン爲ニ。機
緣ヲマツ間タ。如是修セシナリト可知。大
梅ハ馬祖ノ正印ヲ受ケ。潙山ハ百丈ノ傳
付ヲヱシ後ナリ。愚見ノオヨブトコロニ
アラス。隱山羅山等ノ古人。イヅレモ未得
道ノ先ニ獨住セシコトナシ。徳行ヲ一時
ニフルヒ。名ヲ末代ニ留ル。明眼ノ大聖得
道ノ眞人ナリ。徒ニ參ズべキヲ參ゼズ。至
ルべキニ至ラズ。山谷ニ居シテ獼猴ノ如
クナラン。モツトモコレ無道心ノ甚シキ
ナリ。若シ道眼清明ナラズ。自調修錬スル
者ハ聲聞圓覺トナリ。虚ク敗種ノ者タラ
ン。イハユル敗種トイフハ。ヤケタルタネ
ナリ。佛種ヲ斷ズ。然ルニ諸人者子細ニ叢
林ニ修錬シ。長時ニ知識ニ參尋シテ。大事
悉ク明メ。自己マサニ明辨シヲハリ。其後
シハラク根ヲ深クシ。蔕ヲカタクセンコ
トハ。曩祖ノ付囑ナリトイフトモ。殊ニ此
一門ノ中。永平開山獨住ヲ誡メラル。是レ
人ヲ邪路ニ趣ムカセジトナリ。殊ニ先師
瑩祖初隨侍孤雲祖。故
曰先師。末又在之
二代ノ示曰。我ガ弟子
ハ獨住スベカラズ。タトヒ得道セリトモ
叢林ニ修錬スべシ。況ヤマタ參學ノ輩ハ
一向獨住スべカラズ。是ノ制ニ背セン者
ハ吾門葉ニアラズト。又圓悟禪師曰。古人
得旨之後。向深山茆茨石室。折脚鐺兒煮
飯喫。十年二十年大忘人世。永謝塵寰。今
時不敢望。又黄龍南曰。自ラ道ヲ守リ。山林
ニ在テ老カガマランヨリ。何ソ衆ヲ叢林
ニ引入スルニハシカン。近代諸大宗匠ミ
ナ獨住ヲ好マズ。況ヤ人ノ根器コトゴト
ク昔ノ人ヨリモ劣ナリ。タタ叢林ニアリ
テ修錬辨道スべシ。古人モ如此。猶用心疎
ナルニヨリテ。猥リニ寂靜ヲ好ミシカバ。
新學ノ比丘來テ請益セシニ。可答不答。瞋
恚ヲ發シキ。實ニシリヌ。其ノ身心未調。知
識ニ離レ。閑居獨住センコト。タトヒ龍樹
ノ如ク説法ストイヘドモ。唯是業報類ナ
ルべシ。諸人厚植善根ナルニヨリテ。正シ
ク如來ノ正法ヲ聞エタリ。イハユル不親
近國王大臣ト。獨住閑居ヲ好樂セズ。タダ
道業ヲ精進シ。專ラ法源ヲ透脱スべシ。是
レマサニ如來ノ眞口訣ナリ。今日適來ノ
因緣ヲ擧揚スルニスナハチ卑語アリ。要
聞麼 孤光靈廓常無昧 如意摩尼分照

第十五祖。迦那提婆尊者。謁龍樹大士。將
及門。龍樹知是智人。先遣侍者。以&MT90041;
水。置於座前。尊者覩之。卽以一針投。而
進之相見。忻然契會 師者南天竺國之人
也。姓毘舍羅。初求福業。兼樂辨論。龍樹尊
者。得法行化到南印度。彼國之人多信福
業。聞尊者爲説妙法。遞相謂曰。人有福
業世間第一。徒言佛性。誰能覩之。龍樹曰。
汝欲見佛性。先須除我慢。彼人曰。佛性大
小。龍樹曰。佛性非大非小。非廣非狹。無福
無報。不死不生。彼聞理勝悉迴初心。其
中大智慧迦那提婆。謁龍樹大士乃至忻然
契會。卽分半座居。恰如靈山迦葉。龍樹卽
爲説法。不起於座 現月輪相。師謂衆會
曰。此是尊者現佛性相。以示我等。何以
知之。蓋以無相三昧形如&MT90041;月。佛性之義廓
然虚明。言訖輪相卽隱。復居本座而説偈
言。身現圓月相。以表諸佛體。説法無其
形。用辨非聲色。如是ナル故ニ。師資ワカ
チガタク。命脈卽通。適來因緣コレ尋常ニ
アラズ。最初ニ道ニ合シ來ル。龍樹モ一言
ノ説ナク。提婆モ一言ノ問ナシ。故ニ師資
存ジガタク。賓主イカンガ分タン。是ニ依
テ殊ニ迦那提婆宗風ヲ擧説シテ。遂ニ五天
竺ノ間提婆宗トイハレシ也。イハユル銀
盆盛雪明月藏鷺如シ。如是ノ故ニ。最初
相見ノ時スナハチ&MT90041;鉢ノ水ヲモテ座前ニ
オカシム。アニ表裏ヲ存シ。内外ヲ存セン
ヤ。已ニ是滿&MT90041;&MT10755;ニ虧闕ナシ。亦コレ湛水
虚明也。通徹シテ純清也。彌&MT90041;シテ靈明ナ
リ。故ニ一針ヲ投ジテ契會ス。須徹底徹
頂。正ナク偏ナシ。ココニイタリテ師資ワ
カチガタシ。類スレドモ齊キコトナク。混
ズレトモ跡ナシ。揚眉瞬目ヲモテ此ノ事
ヲ現ゼシメ。見色聞聲ヲモテ此ノコトヲ
表ス。故ニ聲色ノ名ヅクべキナシ。見聞ノ
捨ツべキナシ。圓明無相ニシテ清水ノ虚
廓ナルガ如シ。靈理ニ通徹シ。神鋒ヲ求ム
ル時ニ似タリ。處處鋒ヲ露シ來リ。明明ト
シテ心ヲ通ジ。モテ去ル。水モ流レ通ジ
テ。山ヲ穿チ。天ヲヒタシ去リ。針モフク
ロヲトヲシ。芥子ヲサシモテ來ル。然モ水
遂ニモノノ爲ニヤブレズ。アニ跡ヲナス
コトアランヤ。針モ他ノ爲ニカタキコト
金剛ニモ過タリ。恁麼ノ針水アニ是他物
ニアランヤ。卽是汝等ガ身心ナリ。呑盡ノ
時ハタダコレ一針ナリ。吐却ノ時ハ又是清
水ナリ。故ニ師資道通達シテ。全ク是自他
ナシ。故ニ命脈卽通シテ。マサニ廓明ナル
時。十方ニオサムベキニアラズ。恰モ葫蘆
藤種葫蘆ヲマツフガ如シ。攀來攀去。タダ
是自心ナルノミナリ。然モ諸人清水ヲ知
得タリトモ。子細ニ覺觸シテ底ニ針アル
コトヲ明ムべシ。モシアヤマリテ服スル
コトアラバ。果シテ咽喉ヲヤブリキタラ
ン。雖然如是。兩般ノ會ヲナスコトナカ
レ。只スべカラク呑盡吐盡シテ。子細ニ思
量シテミヨ。タトヒ清白ニシテ虚融ナリ
ト覺ストモ。マサニコレ廓徹堅固ナルコ
トアラン。水火風ノ三災モヲカスコトナ
ク。成住壞空劫モウツスコトナケン。故ニ
這箇ノ因緣ヲ説破セントスルニ。更ニ卑
語アリ。大衆要聞麼 一針釣盡滄溟水
獰龍到處叵藏身
第十六祖。羅睺羅多尊者。執侍迦那提婆。
聞宿因感悟 師者迦毘羅國之人也。所謂
宿因トイフハ。迦那提婆尊者受度行化到
迦毘羅國。彼有長者。曰梵摩淨徳。一日園
樹生大耳。如菌味甚美。唯長者與第二子
羅睺羅多。取而食之。取已隨長。盡而復生。
自餘親屬皆不能見。時迦那提婆尊者。知
其宿因。遂至其家。長者問其故。尊者曰。汝
家昔曾供養一比丘。彼比丘然道眼未明。
以虚霑信施故報爲木菌。惟汝與子精誠
供養得以亨之。餘即否矣。又問。長者年多
少。答曰。七十有九。尊者乃説偈曰。入道
不通理。復身還信施。汝年八十一。此樹
不生耳。長者聞偈。彌加歎伏。且曰。弟子
衰老。不能事師。願捨次子。隨師出家。尊
者曰。昔如來&T047368;此子。當第二五百年爲大敎
主。今之相遇。蓋符宿因。卽剃髮列第十六
祖。古今學道人無慚無愧ニシテ。徒ニ清流
ニマジハリ。無知無分ニシテ。空シク信施
ヲ受ルヲ諫ルニ。多ク此因緣ヲ引來ル。實
ニコレニヨリテハヅベシ。比丘トシテ家
ヲ捨テ道ニイリヌ。居處モ是吾地ニアラ
ズ。食法全ク是我物ニアラズ。衣服モ全ク
我ワザニアラズ。一滴水・一莖草。スべテ是
受用スベキモノニアラズ。ユヘイカント
ナレバ。汝諸人悉皆國土ニハラマル。一天
下・國土上。悉ク是國王ノ水土ニアラスト
イフコトナシ。然ルニ家ニアレハ親ニツ
カヘ。國ニ侍べレバ君ニツカフマツル。如
是ナル時。天地加護アリテ。自ラ陰陽ノメ
クミヲウク。然モナマジヒニ佛法ヲネガ
ハント號シテ。可仕親ニモ仕ヘズ。ツカ
フマツべキ君ニモツカフマツラズ。ナニ
ヲモテカ父母生成ノ恩ヲ報ジ。ナニヲモ
テカ國王水土ノ恩ヲ報ゼンヤ。道ニ入リ
テ道眼ナカラン。恰カモ國賊トイヒツべ
シ。旣ニ棄恩入無爲。三界ヲ出トイフ。然モ
出家シテヨリ後。父母ヲモ禮セズ。國王ヲ
モ禮セズ。已ニ形ヲ佛子ニカリ。身ヲ清流
ニヤドス。タトヒ妻子ノ施ス所ヲ受ト云
トモ。全ク是世俗ニアリテウケンニハ同
フセズ。悉ク是信施ニアラズトイフコト
ナシ。然モ古人曰。道眼未明。一粒ヲモ咬破
シガタシ。モシ道眼清明ナル時。タトヒ虚
空ヲ鉢ニシテ。須彌ヲ飯トシテ。日日夜夜
受來ルトモ。是信施ニマクルコトアラズ。
然ルニ道眼ノ具足ト不具足ト顧リミズ。
猥リニ僧トナリテハ人ノ供養ヲ受來ラ
ントオモヒ。供養スクナケレバ徒ニ人倫
ニノゾム。ヲモフべシ。汝等家ヲステ郷ヲ
ハナレシ時。一粒ノ蓄ヘナク。一絲ヲモカ
ケズ。孤露ニシテ遊行ス。只道眼ノ爲ニ身
ヲマカセ。法ノ爲ニ命ヲスツべシ。アニ最
初發心。徒ニ名利ノ爲衣食ノ爲ニセンヤ。
然レバ人人問フニ及バズ。但自己最初ノ
發心ヲ顧ミテ。自ラ是處ヲカヘリミ。又不
是處ヲカヘリミヨ。故ニイフ。&MT10755;リヲツツ
シムコト始ノ如クスルコトカタシト。實
ニ初心ノ如クセンニ。誰カ道人ニナラザ
ラン。是ニヨリテミナ僧トナリ。比丘尼ト
ナルトイヘドモ。徒ニ國賊トナルノミナ
リ。何以ムカシノ比丘ハ道眼未明トイヘ
ドモ。修行退轉ナキニヨリテ。是ヲ報ズル
故ニ木菌トモナレリ。今ノ比丘ノ如キン
バ。一生已ニヲハラン時。閻老汝ヲ許スコ
トアタハズ。今ノ粥飯ハ或ハ鐵湯トナリ。
アルヒハ鐵丸トナリテ。是ヲ呑ン時身心
紅爛シモテ行クコトアラン。然モ雲峯悦
禪師曰。不見祖師道入道不通理。復身還
信施。此是決定底事。&MT10755;不虚也。諸上座光
陰可惜時不待人。莫待一朝眼光落地。緇
田無一箕功。鐵圍陷百刑之痛。莫言不道。
諸人者幸ニ辱ク如來ノ正法輪ニアヘリ。
市中ニ虎ニアハンヨリモ稀ナリ。優曇華
一現スルヨリモマレナルヘシ。子細ニ用
心シ。子細ニ參學シテ。須ク道眼清明ナル
べシ。不見今日ノ因緣ヲ。有情トイヒ無情
トイヒ。依報トワカチ正報トワカツコト
ナカレ。マサニ前生ノ比丘。今日木菌トナ
レリ。木菌ノ時モ我コレ比丘トナレリト
シラズ。比丘ノ時モ我是萬法トアラハレ
タリトシラズ。然レバ今有情ニシテ少ク
覺知アリ。イササカ痛痒ヲ辨ズトイヘド
モ。木菌ト殊ナルコトナシ。ユヘイカント
ナレバ。木菌ノ汝ヲシラザルコト。アニ是
無明ニアラザランヤ。汝ガ木菌ヲシラザ
ルコトモ。全クモテヲナジ。是ニヨリテ有
情無情ノヘダテアリ。依報正報ノシナア
リ。若シ自己ヲ明タン時。何ヲカ有情トイ
ヒ。ナニヲカ無情トイハン。古來今ニアラ
ズ。根境識ニアラズ。能斷ナク所斷ナク。自
作ナク他作ナク。大子細ニ參徹シテ。身心
脱落シテ見べシ。徒ニ僧形トナルニ誇リ。
亂リニ塵家ヲ出シニ止マルコト勿レ。設
ヒ水&MT10769;ヲノガルトイヘドモ。火&MT10769;ニワヅ
ラヒヌベシ。タトヒ塵勞ヲヤブリ去ルト
モ。佛ニアリテモ又免レガタシ。何ニ況ヤ
如是ナラザラン。人ノ物ニシタガヒ他ニ
迷フ。輕毛ノゴトク浮塵ニ同クシテ。東西
ニ馳走シ。朝野ニ昇降シテ。足實地ヲフマ
ズ。心實處ニ到ラザラン類。只一生ヲ賺過
スルノミニ非ズ。亦累世ヲ虚ク過シモテ
ユカン。シラズヤ昔シヨリ今ニ及ブマデ。
曾テ相アヤマラズ。曾テヘダテナキコト
ヲ。汝未知有故ニ。徒ニ浮塵トナル。今日
若シ盡却セズンバ。何レノ時ヲカマタン。
適來因緣ヲノベントスルニ。卑語。要聞麼
    惜哉道眼不清白 惑自酬他報未休
第十七祖。僧伽&MT10769;提尊者。因羅睺羅多以偈
示曰。我已無我故。汝須見我我。汝旣師我
故。知我非我我。師聞心意豁然卽求度脱
 師者室羅筏城。寶莊嚴王之子也。生而能
言。常讃佛事。七歳卽厭世樂。以偈告其父
母曰。稽首大慈父。和南骨血母。我今欲出
家。幸願哀愍故。父母固止之。遂&MT10755;日不食。
乃許其在家出家。號僧伽&MT10769;提。復命沙門
禪利多爲之師。積十九載未曾退倦。師每
自念言。身居王宮。胡爲出家。一夕天光下。
偶見一路坦平。不覺徐行。約十里許至大
巖前。有石窟。乃燕寂于中。父王旣失子卽
擯禪利多。出國訪尋其子。不知所在。經
十年。羅睺羅多尊者。行化到室羅筏城。有
河名曰金水。其味殊美。中流復現五佛影。
尊者告衆曰。此河之源凡五百里。有聖者僧
&MT10769;提。居於彼處。佛&T047368;一千年後當紹聖
位。語已領諸學衆。沂流而上。至彼見僧伽
&MT10769;提。安坐入定。尊者與衆伺之。經三七日
方從定起。尊者問曰。汝身定耶心定耶。師
曰。身心倶定。尊者曰。身心倶定何有出入。
實ニ身心モシ。定ナリトイハバ何有出入。
モシ身心ニ向テ定ヲ修セバ。是ナヲ眞定
ニアラズ。モシ眞定ニアラズンバ卽是出
入アラン。モシ出入アラバコレ定ニアラ
ズトイフべシ。定ノトコロニ向テ身心ヲ
モトムルコトナカレ。參禪ハ本ヨリ身心
脱落ナリ。何ニヲ呼テカ身トシ。ナニヲヨ
ンデカ心トセン。師曰。雖有出入。不失定
相。如金在井。金體常寂。尊者曰。若金在
井。若金出井。金無動靜何物出入。其金
ニ動靜アリ。出處アリ入處アラバ。コレ眞
金ニアラズ。然モ猶此道理ニ通ゼズ。師曰。
言金動靜何物出入。許金出入。金非動靜。
金ニ動靜ナシ。出入アリトイハバ猶是兩
箇ノ見アリ。故ニ尊者曰。若シ金在井出者
非金。若金出井在者何物外&MT10755;ニ放入セズ。
内亦放出セズ。イヅレバイデ盡キ。イレ
バイリ盡ク。何ソ井ニアリ。又井ヲ出。故ニ
出者非金。在者何物ゾトイフナリ。コノ理
ニ達セズ。師曰。金若出井在者非金。若在
井非出物。此言實ニ金ノ性ヲシラズ。故ニ
尊者曰。此義不然。實ニ定ニアリテ理ヲ通
スルニ似タリトイヘドモ。師猶物我ノ見
アリ。故ニ曰。彼理非著。然モコノ義眞實ナ
シ。輕毛ノ風ニシタガフガ如シ。眞實ナラ
ザルユヘニ。尊者曰。此義當墮。師ノ言ニ
ヨリテイフ。師曰。彼ノ義不成。尊者大慈
大悲ノ深キニヨリテ。重テ曰。彼ノ義不成
我義成矣。然レドモミダリニ無我ヲ解ス
ル故ニ。師曰。我義雖成法非我故。尊者
曰。我義已成。我無我故ニ。實ニ法法皆無我
ナルコトヲシルトイヘドモ。ナヲコレ眞實
ヲシラズ。師曰。我無我故ニ。復成何義。シ
タシク汝ヲシラシメントシテ。尊者曰。我
無我故ニ成汝義。實ニ四大悉ク我ニアラ
ズ。五蘊モトヨリ有ニアラズ。如是無我ナ
ルトコロニ我アルコトヲ。スコシク思量
分別シ。ワキマヱル故ニ。師問曰。仁者師於
何聖得是無我。師資ノ道猥ナラザルコト
ヲシラシメン爲ニ。尊者曰。我師迦那提婆
大士。證是無我。師曰。稽首提婆師。而出於
仁者。仁者無我故。我欲師仁者。尊者答曰。
我已無我故。汝須見我我。汝若師我故。知
我非我我。實ニ夫レ眞實我ヲ見得スル人
ハ自己ナヲ存セズ。アニ萬法ノ眼ニサヘ
ギルコトヲ得ンヤ。見聞覺知&MT10755;ニワカタズ。
一事一法更ニワカツコトナシ。故ニ聖凡
ヘダテナク。師資道合ス。コノ道理ヲ見得
スル時。スナハチ佛祖相見ストス。故ニ自
己ヲモテ師トシ。師ヲモテ自己トス。刀斧
斫ドモヒラケズ。恁麼ノ道理豁然トシテ
カナフ故ニ。卽求度脱。尊者曰。汝心自
在。非我所繋語已。尊者卽以右手&T016254;
鉢。擧至梵宮。取彼香飯將齋大衆。而大
衆忽生厭惡之心。尊者曰。非我之咎。汝等
自業也。卽命僧伽&MT10769;提。分座同食。衆訝之。
尊者曰。汝不得食。皆由此故當知與吾
分座者。卽過去娑羅樹王如來也。愍物降
迹。汝輩亦莊嚴劫中已至三果未證無漏
者也。衆曰。我師神力斯可信矣。彼云過
去佛者卽竊疑焉。師知衆生慢。乃曰。世尊
在日世界平正。無有丘陵。江河溝洫水悉甘
美。草木滋茂國土豐盈。無八苦。行十善。自
雙樹示滅八百餘年。世界丘墟樹木枯悴。人
無至信。正念輕微。不信眞如。唯愛神力言
訖。以右手漸展入地。至金剛輪際取甘露
水。以瑠璃器持至會所。大衆皆見皆歸伏
悔過ス。カナシムべシ。如來在世ヨリ八百
年尚ヲ如是。何況ヤ後百歳ノ今。ワヅカ
佛法ノ名字ヲ聞クトモ。道理イカナルべ
シトモワキマヘズ。イタレル身心ナキ故
ニ。イカナルべキゾトタヅヌル人ナシ。イ
ササカソノ道理ヲ得ルコトアレドモ。護
持シ來ルコトナシ。タトヒ知識アリテ。大
慈大悲ノ教誡ニヨリテ。イササカ覺知覺
了アリトイヘドモ。或ハ懈怠ニヲカサレテ
眞實ノ信解ナシ。故ニ眞實ノ道人ナケレ
バ。眞實發心スル者ナシ。實ニ末世ノ澆運。
宿業ノツタナキニヨリテ。如此ノ時分ニ
アヘリ。愧テモ悔テモ餘リアリ。然モ諸人
者正法像法ニ生ズ。師トシテモ資トシテ
モ可悲トイヘドモ。思フベシ。佛法東漸シ
テ。末法ニ至リテ。我朝如來ノ正法ヲキク
コト。ワヅカニ五六十年也。這ノ事初メナ
リトイヒツべシ。佛法イタルトコロニ興
ラズトイフコトナシ。汝等ガ勇猛精進ニ
シテ志ヲ發シ。吾我ヲ吾我トセズ。直ニ無
我ヲ證シ。速ニ無心ナルコトヲヱテ。身心
ノ作ニ拘ルコトナク。迷悟ノ情ニ封ゼラ
ルルコトナク。生死窟ニ留ルコトナク。生
佛ノツナニムスブルコトナク。無量劫來
盡未來際。曾テ變易セザル我アルコトヲ
シルべシ。著語ニ曰 心機宛轉稱心相
我我幾分面目來
第十八祖。伽耶舍多尊者。執侍僧伽&MT10769;
尊者。有時聞風吹殿銅鈴聲。尊者問師
曰。鈴鳴耶風鳴耶。師曰。非風非鈴。我心鳴
耳。尊者曰。心復誰乎。師曰。倶寂靜故。尊者
曰。善哉善哉。繼吾道者非子而誰。卽付法
藏 師者摩提國人也。姓欝頭籃。父天蓋母
方聖。嘗夢大神持鑑。因而有娠。凡七日
而誕。肌體瑩如瑠璃。未嘗洗浴自然香潔
也。生時ヨリ一圓鑑アリテ現ズ。尋常此ノ
童子ニトモノフ。童子常ニ閑靜ヲ好ム。都
テ世緣ニ染ズ。所謂此ノ圓鑑。童子坐スル
時ハ面前ニアリ。古今ノ佛事。都テ此ノ鑑
ニ浮ハズト云コトナシ。恰モ聖敎ニヨリ
テ照心スルヨリモ猶明カナリ。童子若シ
去ル時ハ。此ノ鑑後ロニシタガフコト圓
光ノ如シ。然モ童形カクレズ。童子臥スト
キハ。此鑑床ノ上ニ天蓋ノ如クニシテオ
ホヘリ。スべテ行住坐臥。コノ鑑アヒ隨ガ
ハズトイフコトナシ。シカルニ僧伽&MT10769;
尊者。行化シテ到摩提國。忽有凉風襲衆。
身心悦適非常。而不知其然。尊者曰。此道
徳風也。當有聖者出世嗣續祖燈乎。言訖
以神力攝諸大衆遊歴山谷。食頃至一峯
下。謂衆曰。此峯頂有紫雲如蓋。聖人居之
矣。卽與大衆徘徊久之。見山舍一童子
持圓鑑。直造尊者前。尊者問曰。汝幾歳
耶。曰。百歳。尊者曰。汝年尚幼。何言百歳。
曰。我不會理。正百歳耳。尊者曰。汝善機
耶。曰。佛言。若人生百歳不會諸佛機。未若
生一日而得決了之。尊者曰。汝手中者當何
所表。童子曰。諸佛之大圓鑑。内外無瑕
翳。兩人同得見。心眼皆相似。父母聞子語。
卽捨令出家。尊者携至本處。受具戒訖
名伽耶舍多。有時聞風吹殿銅鈴聲乃至
卽付法藏&MT10755;列十八祖。彼ノ圓鑑童子出家
セシ時忽然トシテミヘズ。實ニソレ人人
一段ノ光明。今圓鑑ノ内外瑕翳ナキガ如
シ。悉皆相似タリ。カノ童子ウマレテヨリ
此ノ方。常ニ佛事ヲホメ俗事ニ混ゼズ。明
鑑對シ古今ノ佛事ヲ看見ス。眞ニ心眼皆
相似タルコトヲシルトイヘドモ。ナホオ
モフニ諸佛ノ機ヲ會セズ。故ニ百歳トイ
フ。假ヒ一日ナリトイヘドモ。若シ諸佛ノ
機ヲ會センガ如キンバ。タダ百歳ヲコユ
ルノミニアラズ。無量ノ生ヲモコユべシ。
此ノ故ニ&MT10755;ニ圓鑑ヲスツ。實ニコレ諸佛
一大事因緣。ユルカセニセス。タヤスカラ
ザルコト此ノ因緣ニテモシルべシ。實ニ
諸佛ノ大圓鑑ヲ解會ス。ノコルトコロア
ルべケンヤ。然レトモナホ是レ眞實底ニ
アラズ。更ニ何ゾ諸佛ノ大圓鑑アルべキ。
又何ゾ兩人同得スべキカアラン。又何ノ
内外瑕翳ナキカアラン。ナニヲ呼デカ瑕
翳トセン。心眼トハ何ゾ。アニアヒ似タル
ベケンヤ。ユヘニ圓鑑ヲ失ス。アニ是童子
ノ皮肉ヲ失スルニアラズヤ。然モタトヒ
所見今ノ如ク。心眼アヒヘダタラズ。兩人
同得見ト會ストモ。眞箇コレ兩箇ノ所見
ナリ。更ニ眞自己ヲ明ムル底ニアラズ。然
レバ汝諸人圓相ノ所見ヲナスコトナカ
レ。身ノ相ヲナスコトナカレ。大ヒニ須ク
子細ニ參徹シテ。急ニ依報正報一時ニ破
烈シ。自己又不了ナルコトヲウベシ。若シ
此ノ田地ニイタラズンバ。タダ是業報ノ
衆生未ダ諸佛ノ機ヲ會セルニアラズ。如
斯懺悔禮謝シ。遂ニ出家受具シテ。後ニ
僧伽&MT10769;提ニ執侍シテ年ヲオクル。有時聞
風吹殿銅鈴聲。尊者問師曰。鈴鳴耶風鳴
云云コノ因緣實ニ子細ニスベシ。尊者
遂ニ鈴ヲミズ風ヲミズトモ。更ニコノナ
ニ事ヲシラシメン故ニ。恁麼ニ鈴鳴耶風
鳴耶ト問フ。是レナニ事ゾ。風鈴ヲモテ解
會スベカラズ。尋常ノ風鈴ニアラズ。卽堂
殿角ニカケタル鈴ナリ。鈴鐸トイフ。今南
都堂閣寺ニ悉ク皆カケ來レリ。此レヲモ
テ人家ト堂舍ト辨別ス。北京トナリテヨ
リハジメツカタハ。堂舍ニ鈴鐸ヲカクト
イヘドモ。近代ハ土風スタレテ義ナシ。然
レドモ西天ノ義モ如是。コノ鈴鐸ヲ風ノ
吹ク時。此ノ公案アリキ。然モ師答テ曰。
非風非鈴。我心鳴耳ト。實ニ知ヌ。スベテ
一塵ノ邊表ヲ出シ來ルコトナシ。コレニ
ヨリテ非風鳴非鈴鳴。マタ鳴ト思ヘバ卽
チ鳴ナリト。恁麼ノ所見モナホ是心倶ニ
寂靜ニアラズ。コレニヨリテスナハチ曰。
ワガ心ナルナリト。コノ因緣ヲキキテ人
皆邪解。必シモ風ノ鳴ニアラス。唯心鳴ト
覺ユト。故ニ伽耶舍多如是イフト。若天
眞天然トシテ一切發セザラン時。豈鈴鳴
ニ非ズトモイフべケンヤ。故ニ我心鳴也
ト。伽耶舍多ヨリ六祖ニイタルマデ。時代
ハルカニヘダタレリ。然レドモ更ニヘダ
タラズ。故ニ風幡動ニアラズ。仁者心動ナ
リトイフ。今汝諸人モ其ノ心地徹通スル
時。三世モトヨリヘダタラズ。證契古今ニ
連綿タリ。何ノ同異ヲ辨ゼン。尋常ノ所見
ニ辨ズルコトナカレ。風鳴ニアラズ。鈴鳴
ニアラザルヲモテ。始メテシルベシ。此ノ
ナニ事ヲシラントオモハバ。スベカラク
我心鳴ナリトシルベシ。ソノ鳴姿ハ。山ノ
突兀ト高ク。海ノ平沈ト深キガ如シ。草木
森森タルモ。人人眼目ノ分明ナルモ。心ノ
ナルスガタナリ。然レバ聲ノ鳴ルトオモ
フベカラズ。聲モ又心ノナルナリ。四大五
蘊一切萬法。都盧皆コレ心鳴ナリ。此ノ心
スベテナラザル時ナシ。故ニ遂ニヒビキ
ヲオビズ。更ニ又耳ヲモテキカルルニア
ラズ。耳コレ鳴ガ故ニイフ。俱ニ寂靜ト恁
麼ニ見得スル時。スベテ萬法出頭ノトコ
ロナシ。故ニ山ノ形ナク。海ノ形ナシ。更
ニ一法ノ形貌ヲ帶スルナシ。恰モ夢ニ蘭
舟ヲ浮ベ滄溟ニ行ガ如シ。竿ヲアゲテ
波瀾ヲワカツモ。舟ヲ留メテ水勢ヲソラ
ンズルモ。ウカブ空ナク。シヅム底ナシ。更
ニ何ノ山海ノ外ニ立スベキカアラン。更
ニ何ノ自己ノ船中ニ游戲スルカアラン。
故ニ恁麼ニ指説ス。眼アレドモ聞クコト
ナク。耳アレドモ見ルコトナシ。故ニ六根
互融ストイフベカラズ。六根ノ帶スベキ
ナシ。故ニ俱ニ寂靜ナリ。トラントスルニ
六根ナク。ステントスルニ六根ナシ。根塵
トモニ脱シ。心境フタツナガラトモニ忘
ズ。子細ニ見レバ脱スベキ根塵ナク。泯ズ
ベキ心境ナシ。眞箇寂寂ニシテ同異ノ論
ニアラズ。内外ノ情ニアラズ。實ニ恁麼ノ
田地ニイタル時。卽諸佛ノ法藏ヲ受持シ
テ。正ニ佛祖ノ位ニ排列ス。若シカクノ如
クナラズンハ。タトイ萬法不錯ト會スト
モ。猶是自己ヲ存シ。他ヲ談ジテ。遂ニ法
法隔歴ス。モシ隔歴セバ。何ゾ佛祖ニ卽通
セン。恰モ空裏ニ界墻ヲツクガ如シ。空ア
ニサユベケンヤ。自ラ界障ヲナスノミナ
リ。若シ界畔一度ヤブル時。ナニヲ内外ト
セン。ココニイタリテ釋迦老子モ始メニ
アラズ。汝諸人モ又ヲハリニアラズ。スべ
テ諸佛ノ面目ナク。諸人ノ形貌ナシ。如斯
ナル時。恰モ清水波濤ヲナスガ如ク。佛祖
出興シモテユク。コレ增ニアラズ。減ニア
ラズトイヘドモ。水流レ浪激シモテユカ
ン。然レバ子細ニ參徹シテ。恁麼ノ田地ニ
至リウベシ。曠劫以來及未來永際。且ク界
畔ヲナシテ三世ヲ排列ストイヘドモ。總
ニ從劫至劫唯如是。這箇明白ノ本性ヲ會
得センニ。皮肉ヲモテワヅラヒ。身ノ動
靜ヲモテワキモフベキニアラズ。スベテ
此ノ田地。身心ヲモテシルベキニアラズ。
動靜ヲモテワキモフべキニアラズ。子細
ニ參徹シ。自休自歇シ。自ラ承當シテ始
メテウベシ。若シ恁麼ニ明メズンバ。徒ニ
十二時中。身心ヲ擔ヒ持キタラン。恰モ重
擔ヲ肩ニヲクガ如ク。身心遂ニヤスカル
ベカラズ。若シ身心ヲ放下シテ。心地空廓
廓地ニシテ。モ平生ナルコトヲヱン。雖
然如是。適來ノ因緣心鳴ルトコロヲ道得
シテ明ラメヱズンバ。諸佛ノ出興ヲモシ
ラズ。衆生ノ成道ヲモシラズ。故ニ心鳴ヲ
道得センニ。卑語ヲ付ント思フ。要聞麼
寂寞心鳴響萬樣 僧伽伽耶及風鈴
第十九祖。鳩摩羅多尊者。因伽耶舍多尊者
示曰。昔世尊&T047368;曰。吾滅後一千年有大士。
出現於月支國紹隆玄化。今汝値吾。應斯
嘉運。師聞發宿命智 師者月支國之人也。
姓婆羅門。昔爲自在天人欲界第
六天
見菩薩瓔
珞。忽起愛心。墮生忉利欲界第
二天
聞憍尸迦
説般若波羅蜜多。以法勝。故昇于梵天色界
以根利故善説法要。諸天尊爲導師。以
繼祖位時至遂降月支。十八祖化度到月
支國。見一婆羅門舍有異氣。尊者將入彼
舍。師問曰。師是何徒。尊者曰。是佛弟子。師
聞佛號。心神竦然卽時閉戸。尊者良久扣
其門。師曰。此舍無人。尊者曰。答無者誰。師
聞語知是異人。遽開關延接。尊者曰。昔世
&T047368;乃至發宿命智。此因緣須ク子細ニ
スベシ。名字道ヲ明ラメ。若シハ生死去來
眞實ノ人體ト明ムトモ。自己本性ノ虚明
靈廓ナルコトヲ明ラメズンバ。諸佛ノ所
證ヲシラズ。故ニ菩薩ノ放光ヲ見テオド
ロキ。諸佛ノ相好ヲ見テモ愛スベシ。ユヘ
イカントナレバ。貪瞋癡等ノ三毒未ダマ
ヌカレザル故ニ。今師ノ往因ヲミルニ。愛
ニヨリテ退墮シテ忉利天ニ下ル。然モ宿
因ニヨリテ帝釋ノ説法ニアフテ梵天ニ昇
リ。月支國ニ降生ス。積功累徳空シカラズ。
&MT10755;ニ十八祖ニアフテ宿命智ヲ發ス。イハ
ユル宿命智トイフハ。尋常過去ヲシリ未
來ヲシルコトト思ヘリ。是レ何ニカセン。
タダ本來不變ノ自性。聖凡ナク迷ナキコ
トヲ看得スレバ。百千ノ法門。無量ノ妙
義。總ニ心源ニアリ。故ニ衆生顛倒モ諸佛
成道モ。自己方寸ノ中ニアリ。全ク根塵ノ
法ニアラズ。心境ノ相ニアラズ。ココニイ
タリテナニヲカ古トシ。ナニヲカ今トセ
ン。何レカ是諸佛。何レカ是衆生。一法ノ
眼ニ遮ルナク。一塵ノ手ニフルルナシ。但
虚明一片ニシテ。廓落無際ナルノミナリ。
卽久遠實成ノ如來。不昧本來ノ衆生也。如
是悟リシル時モ增サズ。如是シラザル時
モ減ゼズ。久遠劫來恁麼也ト覺觸スルヲ。
宿命智ヲ發ストイフ。モシ此ノ田地ニイ
タラズンバ。徒ニ迷悟ノ性情ニミダサレ。
去來ノ相ニ移サレ。遂ニ自己アル事ヲシ
ラズ。本心アヤマラザルコトヲ明ラメズ。
故ニ諸佛ヲシテワヅラハシク出世セシ
メ。祖師ヲシテハルカニ西來セシム。出世
ノ本懷西來ノ本意。只此ノ事ノ爲也。更ニ
他事ニアラズ。須ク低細用心シテ。靈靈ト
シテ不昧。明明トシテ不藏ナル事ヲシル
べシ。本來一段ノ光明アル事ヲシルヲ宿
命智トイフ也。今日又卑語アリ。イササカ
些子ノ理ヲ通ゼントオモフ。大衆要聞麼
    推倒宿生隔歴身 而今相見舊時漢
第二十祖。闍夜多尊者。因十九祖示曰。汝
雖已信三業。而未明業從惑生。惑因識
有。識依不覺不覺依心。心本清淨。無生
滅。無造作。無報應。無勝負。寂寂然靈靈
然。汝若入此法門可與諸佛同矣。一切
善惡有爲無爲皆如夢幻。師聞承言領旨。
卽發宿慧 師者北天竺國之人也。智慧淵
沖化導無量。當時中印度逢十九祖問曰。我
家父母素信三寶。而嘗縈疾瘵。凡所營作
皆不如意。而我隣家久爲旃陀羅行。身常勇
健所作和合。彼何幸而我何辜。尊者曰。何
足疑乎。且善惡之報有三時焉。凡人恒見
仁夭暴壽逆吉義凶。便謂亡因果虚罪福。
殊不知影響相隨毫釐靡惑。縱經百千萬
劫。亦不磨滅。因縁必相値。時師聞是語已。
頓釋所疑。尊者曰。汝雖已信三業乃至
發宿慧。上來ノ因緣實ニ學人トシテ一一
精細ニ見得スベシ。イハユル素信三寶。而
嘗縈疾瘵。凡所營作皆不如意。而我隣家
久爲旃陀羅行。而身常勇健所作和合スト。
ココニイタリテオモフ。ワレ佛法ニ歸依
シテ年久シ。佛法ノチカラニヨリテ其身ツ
ネニ無恙。其事心ニカナフべキニ。悉ク心
ニカナハズ。身又病ニマドワル。是何ノ罪
ゾ。旃陀羅モトヨリ惡事ヲ行ズ。スべテ善
種ヲ修セズ。然ルニ事ニフルルコト吉祥
ニシテ身勇健ナリ。コレ何ノ幸カアルト。
今人モ如是オモヘリ。出家猶是ノ心アリ。
況ヤ在家ハ皆如是。イハク汝何ゾ疑フニ
タラン。シバラク善惡ノ報ニ三時アリ。オ
ホヨソ人ノ仁アル者中夭アリ。卒暴ナル
者壽命ナガシ。逆罪スルモ吉祥也。義フカ
キ者凶惡ナルヲミテ。過去ヲモ明ラメズ。
未來ヲモ會セズ。タダ眼前ノ境ニマトハ
サレテ。卽因果ナシ罪福空シシトオモフ。
是スナハチ愚癡ノハナハダシキ也。學道
オロカナルユヘ如是也。三業トハ。一順現
業。今生善惡業ヲ修スルニ。卽一生涯ノ中
ニ報ヲ受。是順現業トナゾク。二順次生受
業。今生業ヲ修シテ次ノ生ニ果報ヲ受ク。
五逆七遮等ハ必ス順次生ニ報ヲウク。三
順後業。今生業因ヲ修シテ。次ノ三生四生
乃至無量生ノ間ニ業果ヲ受ク。然レバ過
去ノ善業ニヨリテ。今生ノ善ヲ受クトイ
ヘドモ。或ヒハ往業ニヨリテ今果不同ナ
リ。イハユル純善惡業因ノ者ハ。今生純善
惡業果ヲ感ズ。雜善惡業ノ者ハ。雜善惡業
ヲ受ル也。又佛法修行ノ力ラ轉重受轉。轉
輕今ハナカラシムル也。曰ク過去劫ノ惡
因未來ニ重苦感得スべキガ。今生修行ノ
力ラニヨリテカロク受ルコトアリ。或ヒ
ハ病ニマツハレ。アルヒハ事トシテ心ニ
カナハズ。或ヒハ言ヲ出セバ人ニカロシ
メラル。是悉ク未來ノ重苦ヲ今生ニ輕ク
受ル也。然レバ佛法修行ノ力ライヨイヨ
タノミアルべシ。過去遠遠ニ修セシ報ハ。
タダ勇猛精進セバ悉皆カルカラシムべ
シ。然モ參學ノ人トシテ隨分道ヲ解スト
イヘドモ。或ヒハ惡名ヲウケ。或ヒハ營作
心ニカナハズ。身モ勇健ナラザル事アリ。
卽轉重受輕トオモフテ。人アリテ憎惡ス
トモ。曾テウラムルコトナカレ。人アリテ
謗毀ストモ。曾テトガムルコトナカレ。彼
ノ謗人アマツサイ敬禮スルコトハアリト
モ。厭惡スルコトナカレ。道業日日ニ增長
シ。宿業時時ニ消滅ス。然モ須ク子細ニ參
得修行スベシ。汝既ニ三業ヲ信ズトイヘ
ドモ。未タ業ノ根本ヲシラズ。業トイフハ
善惡ノ報ワカレ。凡聖ノシナ異也。三界六
道・四生九有。ナラビニ業報ナリ。此ノ業ハ
迷ヨリ發ス。夫レ迷トイフハ憎愛スベカ
ラザルヲ憎愛シ。是非スベカラザルヲ是
非ス。其ノ惑トイフハ。男ニアラザルヲ男
ト知リ。女ニアラザルヲ女トシリ。自ヲワ
カチ他ヲヘダツ。其ノ不覺ト云ハ。自己ノ
根源ヲシラズ。萬法ノ生處ヲシラズ。一切
處ニ智慧ヲウシナフ。コレヲ無明ト名ク。
コレハ思慮ナク緣塵ナシ。是ノ心本清淨
ニシテ。餘緣ニソムクコトナシ。此ノ心ノ
一變スルヲ不覺トイフ。此ノ不覺ヲ覺知
スレバ。自己心本清淨ナリ。自性靈明ナ
リ。如是明ラメ得レバ。無明卽ヤブレテ。十
二輪轉&MT10755;ニ空シ。四生六道速ニ亡ズ。人人
本心如是シ。故ニ生滅ノヘダテナク。造作
ノ品ナシ。故ニ憎ナク愛ナク。增ナク減ナ
シ。タダ寂寂然タリ。靈靈然タリ。諸人者
本心ヲ見得セントオモハバ。萬事ヲ放下
シ。諸緣ヲ休息シテ。善惡ヲ思ハズ。シバ
ラク鼻端ニ眼ヲカケテ。本心ニ向ヒテミ
ヨ。一心寂ナル時。諸相ミナ盡ク。其ノ根
本ノ無明旣ニヤブルル。故ニ枝葉業報ス
ナハチ存セズ。故ニ無分別ノ處ニトドコ
ホラズ。不思量ノ際ニ拘ラズ。常住ニアラ
ズ。無常ニアラズ。無明アルニアラズ。清
淨ナルニアラズ。諸佛ノヘダテナク。衆生
ノワカチナシ。清白圓明ノ田地ニイタリ
テ。始テ本色ノ衲僧タルベシ。若如是ナラ
バ。諸佛トオナジカルベシ。ココニイタリ
テ一切有爲無爲。皆ツキテ夢幻ノ如シ。ト
ラントスレドモ手虚シク。見ントスレド
モ目拘ハルコトナシ。此ノ田地ニイタリ
ヌレバ。諸佛モ未タ出世セザル旨ヲ明ラ
メ。衆生モ未タ顛倒セザル處ニ達ス。參學
未タ此ノ田地ニイタラズンバ。十二時中
禮佛シ。四威儀中ニ身心ヲ調ルトモ。唯是
人天ノ勝果。有漏ノ業報ナリ。影ノ形ニ隨
フガ如シ。有トイヘドモ實ニアラズ。故ニ
人人精彩ヲツケテ本心ヲ明ラメヨ。例ニ
ヨリテ卑語ヲツク。要聞麼 豫章從來生
空裏 枝葉根莖雲外榮
第二十一祖。婆修盤頭尊者。因二十祖曰。我
不求道亦不顛倒。我不禮佛亦不輕慢。我
不長坐亦不懈怠。我不一食亦不雜食。我
不知足亦不貪欲。心無所求。名之曰道。時
師聞已發無漏智 師者羅閲城人也。姓毘
舍佉。父光蓋。母嚴一。家富而無子。父母
禱千佛塔而求嗣焉。一夕母夢呑明暗二
珠。覺而有孕。經七日有一羅漢。名賢
衆。至其家。光蓋設禮。賢衆端坐受之。嚴一
出拜。賢衆避席曰。迴禮法身大士。光蓋罔
測其由。遂取一寶珠。跪獻賢衆。試其眞
僞。賢衆卽受之。殊無遜謝。光蓋不能忍。問
曰。我是丈夫致禮不顧。我妻何徳尊者避
之。賢衆曰。我受禮。納珠貴福汝耳。汝婦
懷聖子。生當爲世燈慧日。故避之。非重
女人也。賢衆又曰。汝婦當生二子。一名婆
修盤頭。則吾所尊者也。二名芻尼此云野
鵲子
昔如來在雪山修道。芻尼巣頂上。佛旣
成道。芻尼受報爲那提國王。佛&T047368;曰。汝
至第二五百年。生羅閲城毘舍佉家。與聖
同胞。今無爽矣。後一月果産二子。尊者婆修
盤頭。年至十五禮光度羅漢出家。咸毘婆
訶菩薩與之授戒。然二十祖闍夜多尊者。行
化至羅閲城。敷揚頓教。彼有學衆。唯尚辨
論。爲之首者名婆修盤頭此云
遍行
常一食不
臥。六時禮佛。清淨無欲。爲衆所歸。尊者將
欲度之。先問彼衆曰。此遍行頭陀能修梵
行。可得佛道乎。衆曰。我師精進。何故不
可。尊者曰。汝師與道遠矣。設苦行歴於塵
劫。皆虚妄之本也。衆曰。尊者蘊何徳行而
譏我師。尊者曰。我不求道乃至發無漏智。
歡喜讃歎。尊者又語彼衆曰。會吾語否。吾
所以然者。爲其求道心切。夫絃急卽斷故
吾不讃。令其住安樂地入諸佛智。コノ因
緣殊ニコレ學道ノモツトモ祕訣ナリ。ユ
ヘイカントナレバ。佛ノ成ズべキアリ。道
ノウヘキアリトオモフテ。アルヒハ持齋
梵行。長坐不臥。禮佛轉經シテ。一切ノ功
徳ヲカサネテ。コノ得道ノタメニセント。
悉コレ華ナキ空ニ華ヲフラシ。穴ナキト
コロニ穴ヲ生ズ。タトヒ塵劫微塵劫ヲフ
ルトモ。解脱ノ分ナカラン。マサニトカク
心ニネガフトコロナキ。コレヲナヅケテ
道トイフ。然レバ欲知足カヘリテ貪欲ノ
本ナリ。カナラズ長坐ヲコノムモ。コレ身
ニトドコホルトガアリ。一食ナラントス
ル。コレマタ見食ノ分アリ。マタ禮佛轉經
セントスル。コレスナハチ眼ニ華ヲ生ズ。
故ニ一一ノ行業殊ニコレ虚妄ノ本。マタ
ク自己本分ノ事ニアラズ。長坐モシ道ナ
ルベクンバ。生ル時ミナ十月坐シ來ル。コ
レスナハチ道ナルべシ。何ゾフタタビモ
トメン。持齋モシ道ナルべクンバ。ココニ
病スルコトアラントキ。食時サダマラズ。
コノトキコレ道人ナラザルベキカ。モツ
トモ大ニワラフべシ。佛弟子樣樣ノ清規
ヲタテ。佛祖ノ操行ヲ示スコトカクノゴ
トシ。然ルヲ執シテ偏ナラハ却テ煩惱ナ
ルべシ。然モ生死去來ヲイトヒ。サラニ道
ヲモトムべクンバ。汝無始ヨリイマニ死
此生彼斷ズべカラズ。イヅレノトコロニ
カ道ヲウル時節トセン。然モカクノ如ク
諸事ニカカハリテ。スナハチ道ヲモトメ
ントオモフ。コトゴトクコレアヤマリテ
會スルナルベシ。サラニ何ノ佛ノ成ズべ
キヲカミン。何ノ衆生ノ迷べキヲカミン。
ユヘニ一人トシテ迷フ人ナク。一法トシ
テ悟ルべキ法ナシ。コノユヘニ迷ヲ轉ジ
テ悟トナシ。凡ヲ轉ジテ聖トナストイフ
モ。悉ク皆ナ未悟ノ人ノ言ナリ。サラニ何
ノ凡ノ轉ズべキカアラン。何ノ迷ノサト
ルベキカアラン。ユヘニ夾山和尚曰。明明
無悟法。悟法却迷人。長舒兩脚睡。無僞
亦無眞。實ニコレ道ノ體カクノゴトシ。雖
然如是。初機後學子細ニ參ジ。カクノゴト
ク平穩ノ地ニイタルべシ。ユヘイカント
ナレバ。自己モシ實地スルトコロナケレ
バ。或ハ人ノ言ニヨリテ惑ハサル。ユヘニ
眼ヲアゲテ見ント思。佛魔ノタメニオカ
サル。今日タトヘ如是ノ所説ヲ聞テ。尤ウ
ベキ所ロナシト解スト云トモ。更ニ或ハ
知識アリテ。法ノ得べキアリトモ説キ。モ
シ佛魔來ツテ更ニ修スベキ法アリトイハ
バ。果シテ心覺動シカヱツテ顛倒セン。今
諸佛ノ正訓ヲウケ。子細ニ參徹シテ。須ラ
ク自己安樂ノ地ニ至ルベシ。一度安樂ノ
處ロニ至ル如キ。人ハ恰モ食ニ飽ル人ノ
如シ。王膳ナリト云フトモ。スナハチ希望
スべカラズ。故ニ云フ。美食飽人ノ喫スル
ニアタラズ。古人ノ云ク。一度煩ラヒテヤ
ガテ安シト。子細ニ見來ンニ。自己本分ノ
心佛ヲ見ズ。衆生ヲミズ。アニ迷ト厭ヒ悟
ト求ムべケンヤ。ソノ人ヲシテ直ニ見セ
シメントシテ。祖師西來ヨリコノカタ。有
智無智ヲイワズ。舊學新學ヲイワズ。一片
ニ端坐セシメテ。自己ニ安住セシム。スナ
ハチコレ大安樂ノ法門ナリ。ユヘニ諸人
者曠劫ヨリコノカタ今日ニイタルマデ。
錯マラザルヲ錯リト思ヘリ。徒ラニ他人
門上ノ霜ヲノミ管シテ。自己屋裡ノ寶ヲ
忘ルコトナカレ。故ニイマ親友マサニ汝
等相アヘリ。遙ニ成道ヲ他日ニ期スルコ
トナカレ。只須ク衲衣ヲヒルガヘシ。マサ
ニ自己方寸ノ中ニ向ツテ。子細ニ檢點將
來シテ。須ク他ニ向ツテ求ムべカラズ。モ
シ如是ナラバ。百千ノ法門モ無邊ノ佛事
モ。悉ク是レヨリ流出シ。蓋天蓋地シ以テ
行カン。切ニ忌ム道ヲ求ムルコトヲ。只自
己ヲ保任スベキノミナリ。曠劫ヨリ以來
タ。將來リ將去リ。片時モハナルルコトナ
シト云フトモ。スべテ自己アルコトヲ知ラ
ズンバ。アダカモ手ニ持チナガラ。東西ニ
求ルガゴトシ。コレ幾ノ錯トカセン。是只
自己ヲ忘レタルノミ。今日委悉ニ見來ル
ニ。諸佛ノ妙道モ。祖師ノ單傳モ。タダコ
ノ一事ニアリ。アヘテ疑フベカラス。諸人
恁麼ノ地ニ至ラントキ。アヘテ天下ノ老
和尚ノ舌頭ヲ疑ハザルベシ。上ニイフ。聞
已テ無漏智ヲ發ス。無漏地ヲ發セントオ
モハバ。タダスベカラク自己ヲ保任スべ
シ。モシ自己ヲ保任セント思ハバ。生ヨリ
老ニ至ル。タダコレ這箇ナリト知ン。スべ
テ一塵ノスツベキナク。一法ノモルべキ
ナシ。更ニ別ニ無漏智ヲ發セント思フコ
トナカレ。今日例ニヨリテ卑語アリ。適來
ノ因緣ヲ演ント思フ。要聞麼 風過大虚
雲出岫 道情世事都無管
第二十二祖。摩拏羅尊者。問婆修盤頭曰。
何物卽是諸佛菩提。尊者曰。心本性卽是。師
又曰。如何是心本性。尊者曰。十八界空是。師
聞開悟 師者那提國常自在王之子也。年
三十遇婆修祖師。婆修盤頭行化到那提
國。彼王名常自在。有二子。一名摩訶羅。次
名摩拏羅。王問尊者曰。羅閲土風與此何
異。尊者曰。彼土曾三佛出世。今王國有二
師化導。曰二師者誰。尊者曰。佛&T047368;。第二五
百年有一神力大士。出家繼聖。卽王之次
子。摩拏羅是其一也。吾雖徳薄敢當其一。
王曰。誠如尊者所言當捨此子作沙門。
尊者曰。善哉大王。能遵佛旨。卽與受具。ソ
レヨリコノカタ婆修盤頭ニ給士ス。有時
問曰。何物是諸佛菩提。尊者曰。心本性卽
是也。實ニ學道ノ最初ニトフべキハ。卽ハ
チコノ問ナリ。イハユル菩提トイフハ道
ナリ。ユヘニコノ問ノ意ハ。如何是道トト
フナリ。今人虚心ニシテ法ヲトフコトナ
ク。初心ニシテ師ニ參ゼザルユヘニコノ
問ナシ。モシ眞實ノ道念アラン時。シカア
ルべカラズ。先ヅ問べシ。如何是佛ト。次
ニ問ベシ。如何是佛道ト。ユヘニ今コノ問
アリ。シカルニ示シテ曰。心ノ本性是ナリ
ト。ナヲココロザシ二ツナク。毫髮ノタク
ハエナキニヨリテ。スナハチ問。如何是心
ノ本性ト。答曰。十八界空是ナリト。時ニ
スナハチ開悟ス。夫レ佛トイフハ卽心ノ
本性ナリ。本性&MT10755;ニ知不得見不得。マサニ
コレ無上道ナリ。然レバ心カタチナク立
處ナシ。ナニイハンヤ佛トイヒ道トイフ。
ミナコレシヒテナヅケ來ルユヘニ。佛モ
覺知ニアラズ。道モ所修ニアラズ。心モ識
知ニアラズ。コノ田地境ナク根ナク。識イ
ヅレノトコロニカ立セン。ユヘニイフ十
八界空是ト。然レバ這箇ノ田地心境ト論
ズルコト勿レ。識知トワキマヘルコトナ
カレ。ココニイタリテ諸佛卒ニカタチ
ヲアラハサズ。妙道マタ修持ヲモチヒズ。
然モ見聞覺知ハタトヒコレ蹤跡ナシトイ
ヘドモ。聲色動搖マタ界畔アルべキニア
ラズ。ユヘニイフスナハチ是卽見聞非見
聞。更聲色無可呈君。此中若了全無事。體
用何妨。分不分ト實ニコレ聲ハ宮商角徴
ノ解ヲナスコトナカレ。色ハ青黄赤白ノ
會ヲナスコトナカレ。見ハ眼光ノ緣トス
ルコトナカレ。聞ハ耳根ナリトオモフコ
トナカレ。人人スベテ眼ノ色ニ對スルナ
ク。耳ノ聲ニ待スルナシ。若耳ノ聲ニ類ス
ルアリ。眼色ヲ緣スルアリトイハバ。コレ
聲ニモアキラカナラズ。マタ眼ニモクラ
シ。ユヘイカントナレバ。モシ所對ノ法ア
リトイヒ。所待ノ物アリトイハバ。聲アニ
耳ニイリ。色アニマナコニミンヤ。ユヘニ
空ノ空ニ合シ。水ノ水ニ合スルガコトク
ナラズンハ。キクコトモ斷ヘズ。ミルコト
モタヘジ。不爾ユヘニマナコハ色ニ通ジ。
耳ハ聲ニ通ズ。和融シテヘダテナク。混合
シテ蹤跡ナシ。カクノゴトクナルユヘニ。
タトヒ天ヲヒビカシ。地ヲ響カス聲ナリ
トイヘドモ。ワヅカニ方寸ノ耳ニイル。ア
ニ極大同小ニアラズヤ。ソヅカニ方寸ノ
マナコヲモテ盡界ヲテラス。アニ極小同
大ニアラズヤ。アニマナコノ色ナルニア
ラズヤ。マタ聲ノ耳ナルニアラズヤ。カク
ノゴトク知テカクノゴトクワキマフル。
此心界畔邊表ナシ。ユヘニマナコモトヨ
リウルコトナシ。色モワカツコトヲヱズ。
コノ三科コレミナ空ナルニアラズヤ。ユ
ヘニコノ田地ニイタル時。聲トトクモヱ
タリ。眼ト説モヱタリ。識トトクモヱタ
リ。恁麼モ得タリ。不恁麼モ得タリ。恁麼不
恁麼總ヱタリ。纖塵ノ外ヨリ來ルナク。毫
末ノヘダテモテユクナシ。ユヘニ聲トト
クトキハ聽説聲中ニ辨別シ。色トトク時
ハ能所色中ニ安排ス。更ニ分外底ナシ。然
ルヲ諸人コノ道理ニ達セズ。アルヒハオ
モハク。聲色ハ妄リニ立スル虚假ナリ。ス
ベカラクハラヒハラフべシ。本心ハ本來
常住ナリ。サラニ變動スベカラズト。モツ
トモ笑フベシ。コノトコロサラニナニモ
ノカ變不變アラン。ナニモノカ實不實ア
ラン。故ニコノ事ヲアキラメズンバ。タダ
聲色ニクラキノミニアラズ。マタ見聞ニ
モ達セズ。故ニ眼ヲ擧メ不見思ヒ。耳ヲフ
サゲテ聞ザラントス。是レスナハチ無繩
自縛シ。穴ナキニマタオチ將テ行ク。ユヘ
ニ情塵漏マヌカレガタシ。然レバ子細ニ
參到シテ。モシ底ニ徹シテ見得明白ナラ
バ。頂ニ徹シテモ到亦無礙。又卑語。此因
緣指説思。要聞麼 舜若多神非内外 見
聞聲色俱虚空
第二十三祖。鶴勒那尊者。因摩拏羅尊者
示曰。我有無上大法寶。汝當聽受化未來
際。師聞契悟 師者月支國之人也。姓婆羅
門。父千勝。母金光。以無子故祷于七佛金
幢。卽夢須彌山頂一神童持金環云我來。覺
而有孕。年七歳遊行聚落。覩民間淫祀。乃
入廟吒之曰。汝妄興禍福幻惑人。歳費牲
牢。傷害斯甚。言訖廟貌忽然而壞。由之郷
黨謂之聖子。年二十二出家。三十遇摩拏羅
尊者。師ヲ鶴勒那トイフ。勒那梵語。鶴卽華
言。梵漢引合テ鶴勒那ト云。モロモロノ鶴
アリテ師ニシタガフ。コレニヨリテ名ト
ス。然ルニ摩拏羅ニアヒタテマツル。ハジ
メ種種ノ奇特。一一ニ擧スべシトイヘド
モ。タダソノ一因緣ヲ擧セン。師問尊者
曰。我有何緣而感鶴衆。尊者曰。汝第四劫
中嘗爲比丘。當赴會龍宮。汝諸弟子咸欲
隨從。汝觀五百衆中。無有一人堪任妙供。
時諸子曰。師常説法。於食等者於法亦等。
今旣不然。何聖之有。汝即令赴會自汝
捨生赴生轉化諸國。其五百弟子以福微
徳薄生於羽族。今感汝之慧。故爲鶴衆相
隨。師聞語曰。以何方便令彼解脱。尊者
曰。我有無上法寶乃至實ニ食等法等ノ道
理。聖凡トモニヘダテナシ。然ルニ理ノオ
ストコロ。師資トモニ龍宮ノ請ニオモム
クトイヘドモ。福微ニ徳薄キノ身ヲモテ。
妙供ヲウクルニタヘザルニヨリテ羽族ト
ナリヌ。コノ因緣尤モ學人ノ用心トシツ
ベシ。ソレ説法モ差別ナシ。食モ等同ナル
ベシ。然ルニアルヒハ信施ヲ消スアリ。ア
ルヒハ信施ニヲカサルルアリ。ココニイ
タリテ齊等ナラザルニ似リ。尤モ差別ト
イフツべシ。ユヘイカントナレバ。モシ食
ヲミ法ヲミバ。タトヒ齊等トミルトイヘ
ドモ。一同ナリト會ストイヘドモ。スデニ
法ヲミル分アリ。食ヲミル分アリ。兩箇ノ
見ノガレズ。貪求ノ心ニ惑ハサレテ。師ニ
シタガヒテヲモムキシニヨリテ。遂ニ羽
族トナレリ。シリヌ食等法等ノ理ニ達セ
ズ。マサシク名字有相ニ縛セラレケリ。イ
マイフ無上ノ大法ノゴトキハ。ナニヲカ
食トイヒ。ナニヲカ法トイハン。イヅレカ
コレ聖。イヅレカコレ凡。スデニ形影ノイ
タルベキモノニアラズ。ナヲ心性トモナ
ヅケガタシ。コノ法ナヲ佛ニウケズ。祖ニ
ウケズ。子ニサヅケズ。父ニツタヘズ。自
他トイフベキ物ナシ。食法ノ名イヅクヨ
リカヱキタランヤ。イハンヤ赴請ノトコ
ロアランヤ。鶴衆トナルコトアランヤ。ユ
ヘニ子細ニ眼ヲツケ。委悉ニ功夫シテ先
ズ。スべカラク自心本性ノ靈廓妙明ナル
コトヲシリテ。ヨク保持シ。フカク純熟シ
テ。更ニ佛祖傳燈ノ事アルコトヲシリテ。
ハジメテウべシ。タトヒ自己本性ノ旨ヲ
アキラメテ。解脱スルトコロスデニ佛祖
ニヲナジトイヘドモ。更ニマタ聽受スべ
キ無上ノ大法寶アリ。ヨク未來際ヲ化ス。
コレ本性ノ道理ニアラズ。イハンヤ見聞
ノ境界ナランヤ。ハルカニ古今ノ情ヲ超
越シ。モトヨリ生佛ノキハニトドマルコ
トナシ。故ニコノ人ヲヨンデ佛トスルコ
トモヱズ。凡トスルコトモヱズ。堂ニアリ
テ正坐セザレバ。兩頭ノ機ニワタルコト
ナシ。故ニ影ヲモトムレドモヱズ。アトヲ
タヅヌレドモエズ。コノキハニイタリヌ
レバ。心性トハ何物ゾ。菩提トハ何物ゾ。一
嘔ニ嘔盡シ。一屙ニ屙盡ス。カクノゴトク
ナル時。コレ沒量ノ大人ナリ。恁麼ノトコ
ロニイタラズンバ。ナヲコレ凡夫&MT10755;ニ流
轉ノ衆生ナリ。コノ故ニ諸人者子細ニ見
得シテ。無上ノ大法寶ヲ荷擔セントオモ
フベシ。コレスナハチ釋迦老子肉身暖ナ
ルベシ。タダコノ名ニトドコホリ。形ニ勞
スルコトナカレ。參學カナラズ眞實ヲ辨
ズベシ。這箇ノ道理ヲ指注セントオモフ
ニ卑語アリ 粉壁挿雲巨嶽雪 純清絶
點異青天
第二十四祖。師子尊者。問二十三祖曰。我
欲求道。當何用心。祖曰。汝若求道無所
用心。師曰。既無用心。誰作佛事。祖曰。汝
若有用。即非功徳。汝若無作即是佛事。經
曰。我所作功徳而無我所故。師聞是言已
即入佛慧 師者中印度之人也。姓婆羅門。
本學異道。博達強&T047368;也。後參二十三祖。有
今問答。直當無所用心處頓入佛慧。時二
十三祖忽指東北問曰。是何氣象。師曰。我
見氣如白虹貫乎天地。復有黒氣五道。横
亙其中。祖曰。其兆云何。師曰。莫可知矣。祖
曰。吾滅後五十年。北天竺國當有&MT10769;起。嬰
在汝身。雖如是汝傳持吾法寶。可化未來
際。時ニ師コノ密&T047368;ヲウケ。スナハチ罽賓
國ニ行化ス。スナハチ婆舍斯多ヲ接シテ
謂之曰。吾師密有懸&T047368;&MT10769;アリテ我ガ身ニ
カカラント。イヤシクモマヌカルベカラ
ズ。ユヘニワレココニトドマラン。ナンヂ
マサニワガ道ヲ持シ。他國ニユキテ演化
スベシト。衣法トモニサヅク。時ニ罽賓國
王佛法ヲ歸敬スルコトフカシトイヘド
モ。ナヲコレ有相ニトドコホル。然モカノ
國ニ有外道二人。一名摩目多。二名都落
遮。學者幻法欲共謀亂。乃盜爲釋子形
像潜入王宮。且曰。不成即罪歸佛子。乃至
事既敗。王果怒曰。吾素歸心三寶。何乃
搆害一至于斯。即命破毀伽藍。袪除釋
衆。又自秉劍至師子尊者所。問曰。師得蘊
空否。師曰。已得蘊空。王曰。離生死否。師
曰。已離生死。王曰。既離生死可施我頭。
師曰。身非我有。何惜於頭。王即揮刃斷師
頭。涌白乳高數尺。王之右臂旋亦墮地。七
日而&MT10755;。師始&MT10755;如是。其最初師資相見時。先
問曰。我欲求道。當何用心。祖曰。汝若求道
無所用心。眞實ニ求道セントキ道アニ用
心ニカカハルベケンヤ。死此生彼。處處
ニ道ヲココロザシ。法ヲモトムトモ。イマ
ソノ實歸ナキコトハ。モトコノ心ヲモチ
イルニヨリテナリ。然ルニ頓ニ佛慧ニ相
應センコトヲオモハバ。タダ四倒三毒ヲ
ハナルルノミニアラズ。マタスベカラク
三身四智ヲモ離却スべシ。恁麼ニ游踐ス
ル時。ハタシテ凡夫地ニモ安排シガタシ。
マタ佛位ニモ敬重シガタシ。ハルカニ聖
凡ノ情域ヲコヘ。スミヤカニ異同ノ論量
ヲハナル。ユヘニイフ。玄妙ノトコロ佛祖
ナヲイタリガタシ。タダ佛祖イタリガタ
キノミニアラズ。モトヨリコノトコロヲ論
スル時。佛祖卒ニ存セズ。恁麼ノ田地ニイ
タルヲ實ニ求道ノ爲體ナリトス。モシイ
マダカクノゴトクナラザレハ。タトヒ天
華ヲアメフラシ。大地ヲ動ジ。心性ト説キ
玄妙ト談ズトモ。眞箇ノ妙道ニヲキテ。毫
髮モウカガヒミルコトナシ。然モ諸禪徳。
恁麼幽玄ノトコロニ證到シテ。列祖荷擔
ノ事ヲ分明ニスべシ。些子ノ道理ヲ説得
セントスルニ。例ニヨリテ卑語アリ。要聞
麼 若欲顯空須莫覆 冲虚淨泊本來明」
第二十五祖。婆舍斯多尊者。二十四祖示
曰。如來正法眼藏今轉附汝。汝應保護普
潤來際。師顯發宿因。密傳心印 師者罽
賓國之人也。姓婆羅門。父寂行。母常安樂。初
母夢得神劍因而有孕。師子尊者遊方到
罽賓國。有波利迦者。本習禪觀故。有禪
定・知見・執相・捨相・不語之五衆。尊者既攝
五衆名聞遐邇。方求法嗣遇一長者。引
其子問尊者曰。此子名斯多。當生便拳左
手。今既長矣。而&MT10755;未能舒。願尊者示其宿
因。尊者覩之。即以手接曰。可還我珠。童
子遽開手奉珠。衆皆驚異。尊者曰。吾前報
爲僧有童子。名婆舍。吾嘗赴西海齋受&T049514;
珠附之。今還吾珠理固然矣。長者遂捨其
子出家。尊者即與受具。以前縁故名婆舍
斯多。&MT10755;嗣續曰。如來ノ正法眼藏今授汝。善
保護可及來際。宿因ヲ顯發ストイフハ。イ
ハユル前生スデニ婆舍童子トイフ。尊者
ノ珠ヲアツケル。イマ胎内ニイリヲヨビ。
長者ノ家ニ生ルルマデ。ナヲコレヲ保持
シ。卒ニ尊者ニタテマツル。コレニヨリテ
シルベシ。コノ因縁カナラズシモ肉身ヤ
ブレ。タダ眞身ノミアリトイフヘキニア
ラズ。モシコノ身コレ壞身トナルナラバ。
珠イカンガイマ保持セン。然モシルベシ。
捨生受生モトヨリコレ壞身ニアラズ。コ
コニイタリテ百骸倶潰散。一物鎭長靈也
トイフベカラズ。是イカナルモノカ長靈
ナルベキゾ。タダ捨身ヲ現ジ。受身ヲ現ズ
ルノミナリ。ユヘニイフツべシ。前後兩箇
ニアラズト。古今別異ナシ。然レバ是レ身
トイフベキニアラズ。是レ心トイフベキ
ニモアラザルナリ。身心トワカレザレハ。
古今トワカツベキニアラズ。ユヘニ恁麼
ナリ。婆舍ノミ如是ナルニアラズ。眞實ヲ
イハバ。人人ミナ悉クカクノゴトクナリ。
ユヘニ無生所無死所。時ニシタガヒテ頭
ヲカヘ面ヲカヘスノミナリ。カナラズ四
大ヲカヘ五蘊ヲアラタニスルニハアラ
ズ。スべテ一片肉團ノヲホヒ來ルナク。カ
ツテ絲毫ノ骨頭ノササヘ來ルナシ。タト
ヒ千種ノ形アリ。萬般ノ品アルモ。悉クコ
レ本來ノ心光ナリ。コノ道理ヲシラズシ
テ。コレヲ幼少トオモヒ。カレヲ老大トオ
モフ。スベテ老體ナク。本來幼少ナシ。モ
シカクノゴトクナラバ。ナニニヨリテカ
生死ヲ判シ。前後ヲワカタン。コレニヨリ
テ前世ノ婆舍今日ノ斯多。兩箇ノ身ニア
ラズト指説スル。コレスナハチ宿因ナリ。
ユヘニ如來ノ正法眼藏ヲ傳附シ。未來際
ヲウルホス。然レバシルベシ。一切諸佛諸
祖モトヨリカツテサトラズ。一切ノ愚癡
諸人卒ニ迷ハズ。有時ハ修行シ。有時ハ發
心ス。菩提發心モトヲハリナクハジメナ
シ。衆生諸佛モトヨリ劣ニアラズ勝ニア
ラズ。只恁麼縱横ナルノミナリ。然レバ曠
劫以來カツテカクノゴトク保任シテ宿因
ヲワスレザルノミナリ。今朝又這箇ノ因
縁ヲ指注スルニ。例ニヨリテ卑語アリ
開華落葉直彰時 藥樹王&MT10755;無別味
第二十六祖。不如密多尊者。太子時二十五
祖問曰。汝欲出家當爲何事。師曰。我若
出家不爲別事。祖曰。不爲何事。師曰。不
爲俗事。祖曰。當爲何事。師曰。當爲佛
事。祖曰。太子智慧天至。必諸聖降迹。祖即
許出家 師者南印度。得勝王之太子也。二
十五祖始中印度伏無我尊外道。即到南印
度。時彼國王名天徳。迎請供養。王有二
子。一凶暴而色力充盛。一柔和而長嬰疾
苦。祖乃爲陳因果。王頓釋所疑。王天徳崩
後。太子得勝即位。復信外道致難于祖。太
子不如密多以進諫被囚。王遽問祖曰。予
國素絶妖怪。師所傳者當是何宗。祖曰。王
國昔來實無邪法。我所傳者即是佛宗。王
曰。佛滅已千二百載。師從誰得耶。祖曰。飮
光大士親受佛印。展轉至二十四世師子尊
者。我從彼得。王曰。予聞。師子比丘不能免
於刑戮。何能傳法後人。祖曰。我師&MT10769;未起。
密授我信衣法偈。以顯師承。王曰。其衣何
在。祖即於嚢中出衣示王。王命焚之。五色
相鮮薪盡如故。王即追悔致禮。師子眞嗣既
明。乃赦太子。太子遂求出家。祖問太子
曰。汝欲出家。當爲何事乃至祖許出家。然
シヨリ執事スルコト六年。後ニ如來ノ正
法眼藏ヲ傳付スルニ。イハク。如來ヨリ嫡
嫡囑累シテイマニイタル。マサニ傳持シ
テヨク群有ヲ化スベシ。師密&T047368;ヲウクル
時。身心釋然タリ。上來ノ因縁即チソノ事
ノ爲ニ非ザルコトヲ示ス。故ニ問テ曰ク。
汝欲出家。當爲何事。イハク。我爲佛事。事
トイフハ俗事。實ニ出家ハモトヨリ事ノ
爲ニアラザルコト。ココヲモテ知識シツ
べシ。ソレ事トイフハ自ノ事ニアラズ。他
ノ事ニアラス。ユヘニイフ俗事ノ爲ニア
ラズト。タトヒ髮ヲソリ衣ヲソメテ。カタ
チヲ佛子ニ似セタリトモ。ナヲ自見他見
ヲマヌカレズ。モシ男女ノ相ヲハナレズ
ンハ。悉クコレ俗事ナリ。佛事ニアラズハ。
シバラク人人ノ本心ニヨリテ談スル時。
スべテ佛事ナク。俗事ナシトイヘドモ。未
知本心。シバラク俗事トイフ。スデニ本心
ヲアキラメ得ルヲコレヲ佛事ト名ク。本
心知得ノ時ナヲ生相ナク。滅相ナシ。ナニ
イハンヤ迷人ナリ。悟人ナランヤ。カクノ
ゴトク見得スル時。四大五蘊ナヲ存セズ。
三界六道アニ立スルコトアランヤ。ユヘ
ニ家トシテスツベキトコロナク。身トシ
テヲクべキトコロナキユヘニ出家トイ
フ。住スベキトコロナキガユヘニ家破レ
人亡シヌ。故ニ生死涅槃トモニハラハザ
ルニヲノヅカラツキ。菩提煩惱ステザル
ニ本來ハナル。今日タダカクノゴトクナ
ルノミニアラズ。劫ヨリ劫ニイタルマデ。
モトヨリ成住壞空ノ四劫ニモウツサレ
ズ。生住異滅ノ四相ニモ縛セラレズ。廓然
トシテ空ノ内外ナキガゴトク。清淨ニシ
テ水ノ表裏ナキニ似タリ。人人ノ本心悉
皆カクノゴトシ。然モ在家トヲソルベカ
ラズ。出家トヲゴルベカラズ。只外ニ向ヒ
テモトムルコトヲヤメテ。スベカラクヲ
ノレニ向テ辨ズベシ。ココロミニ汝諸人
シバラク心ヲ東西ニ散ゼズ。眼ヲ前後ニ
メグラサズシテ。子細ニ見來ラバ。此ノ時
ナニヲヨンデカワレトシ。ナニヲヨンデ
カカレトセン。已デニ自他アヒムカフコ
トナシ。更ニナニヲナヅケテカ善惡トイ
ハン。モシ恁麼ナラバ。本心モトヨリアラ
ハレテ明カナルコト日月ノゴトシ。幽ト
シテテラサズトイフトコロナシ。スナハ
チ適來ノ因縁擧似セントスルニ。マタ卑
語アリ。キクべシ 本地平常無寸草 宗
風何處作安排
第二十七祖。般若多羅尊者。因二十六祖
曰。汝憶往事否。師曰。我念遠劫中。與師
同居。師演摩訶般若。我轉甚深修多羅。今
日之事蓋契昔因 師者東印度人也。時不
如密多。到東印度。彼王名堅固。奉外道
師長爪梵志。曁尊者將至。王與梵志同
覩白氣貫于上下。王曰。斯何瑞也。梵志預
知尊者入境。恐王遷善乃曰。此是魔來之
兆耳。何瑞之有。既鳩諸徒衆議曰。不如密
多將入都城。誰能挫之。弟子曰。我等各
有呪術。可以動天地入水火。何患哉。尊
者至先見宮墻有黒氣乃曰。小&MT10769;耳。直詣
王所。王曰。師來何爲。尊者曰。將度衆生。曰
以何法度。尊者曰。各以其類度之。時梵
志聞言不勝其怒。即以幻法化大山尊者
頂上。尊者指之。忽在彼衆頭上。梵志等怖
懼投尊者。尊者愍其愚惑再指之。化山隨
滅乃爲王演説法要。俾趣眞乘。又謂王
曰。此國當有聖人繼於我。是時有婆羅門
子。二十許。幼失父母不知名氏。或自言瓔
珞。故人謂之瓔珞童子。遊行閭里。丐求
度日。若常不輕之類。人問汝何行急。即答
曰。汝何慢。或問何姓。乃曰。與汝同姓。莫
知其故。後王與尊者同車而出。見瓔珞童
子稽首於前。尊者曰。汝憶往事否乃至
契昔因。尊者又謂王曰。此童子非他。即大
勢至菩薩是也。此聖之後出二人。一人化南
印度。一人縁在震旦。四五年内欲返此
方。遂以昔因故名般若多羅。夫レ傳佛心
印ノ祖師。心地開明ノ聖者。アルヒハ羅漢。
アルヒハ菩薩ナルコトハ。不昧本來ノ道
ナル故ニ。久遠成ノ如來ナルモアリ。タト
ヒ初機後學ニ似タリトモ。一念モシ機ヲ
迴セバ。本來具徳ヲアラハシテ。一毫モス
ベテカゲタルコトナシ。如來ト同共シ。諸
尊ト和合ス。一出一沒スルニアラザレド
モ。共ニ出一隻手ニアラズ。多種ナク別
條ナシ。ユヘニ今日ヲミルハ久遠ヲミル
ナリ。久遠ヲカヘリミレバ今日ヲマホル
ナリ。ナンヂト同生セリ。ワレト同居セ
リ。絲毫モハナルルコトナク。片時モトモ
ナハズトイフコトナシ。這箇ノ田地ニイ
タリウル時。古來今ノ法ニアラズ。根境識
ノ事ニアラズ。ユヘニイフ。嗣法ハ三際ヲ
超越シ。證契ハ古今ニ連綿タリ。カクノ如
クナルユヘニ。金針玉線密密トシテ串通
ス。子細ニ見來レバ。イヅレカコレカレ。イ
ツレカコレワレ。纖機モアラハレズ。機鋒
モアラハスコトナシ。ココニイタリテ得
坐セザルナシ。カナラズカタハラニワカ
チ來ル。ユヘニ適來ノ因縁ニモ。師ハ演説
摩訶般若。我轉甚深修多羅。モシ色清淨
ナレバ一切智智清淨ナリ。異モナク別モ
ナシ。衆生スナハチ佛性也。佛性スナハチ
衆生。カレモ外物ヲイレズ。コレモ内法ヲ
ハコバズ。兩機恁麼ニワカレタリトイヘ
ドモ。多數&MT10755;ニ不異。故般若多羅トイフ。上
ノ婆舍斯多ノゴトシ。古今ワカツべカラ
ズ。空有アニ異ナランヤ。ユヘニ古人曰。此
中若了全無事。體用何妨分不分。虚空ヲ借
テ森羅萬像ノ體トスレバ。一絲一毫ノ面
目ニ對スル底ナシ。森羅萬像ヲ借リテ虚
空ノ用トスレバ。一絲一毫ノ異路ナシ。ユ
ヘニ爰ニイタリテ。師資道傳。佛祖ノ印可
ナヲ多種ナリト解スルモ。節目アルニ似
タリ。兩般ナシト會スルモ。ナヲコレ擔板
漢ナリ。子細ニ驗點商量スレバ。鷺鶿立雪
非同色。明月蘆華不似他。恁麼ニ游踐シ
テ。銀椀盛雪モテユキ。明月藏鷺モテユ
ク。適來ノ因縁ヲ辨別セントスルニ。タマ
タマ卑語アリ。大衆キカント要スヤ 潭
底蟾光空裏明 連天水勢徹昭清 再三撈
漉縱知有 寛廓旁分虚白成


瑩山和尚傳光録卷下
第二十八祖。菩提達磨尊者。因二十七祖般
若多羅尊者問。於諸物中何物無相。師曰。
不起無相。祖曰。於諸物中何物最大ナル。師
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