新着情報
研究の背景・目的
デジタル技術を人文学分野に応用する人文情報学(Digital Humanities, 以下DH)は、危機にある人文学の未来を開く新たな学問として過去20年あまり欧米において目覚ましい進歩を遂げた一方、アジアでは未だ十分に知られていない。日本でDHを深化させ世界に発信することは、今後日本がアジアにおける文化研究の中心地として東西文化研究の橋渡しをするための重要な鍵となる。本研究は、基盤A(2010-2013年度)の成果「インド学仏教学知識基盤」Research Base for Indian and Buddhist Studies (SAT-RBIB) に、大規模新規国際プロジェクトを加えて高度学術知識ネットワークを作り、欧米で培われたテクスト構造化論TEI Guidelines(以下TEI-G)を基盤テクストに批判的に導入することで方法論的に精緻化されたデータベースNext-RBIBを構築する。紀元前より多様なアジア諸言語によって継承され、現代では欧米語を含めて進められる仏教学が依拠する、知識基盤となるNext-RBIBは、西洋中心に進められた従来の人文学の視座と方法とを多様化し、次世代の世界の文化研究を先導しうる日本の人文学の潜在力の大きさを示す一例となるだろう。
研究代表者
-
下田正弘
東京大学大学院人文社会研究科教授。同研究科次世代人文学開発センター人文情報学拠点長。 『涅槃経』をはじめとした大乗経典の研究に取り組む傍ら、SAT大蔵経テキストデータベース研究会を主宰し『大正新脩大藏經』一億字強のテキストデータベースの作成公開を主導した。 仏教学を中心としつつ人文学全般の方法論がデジタル時代にどう展開されるべきかについての研究教育に取り組んでおり、科研費基盤研究(S)「仏教学新知識基盤の構築―次世代人文学の先進的モデルの提示」を本年度より遂行中。 日本デジタル・ヒューマニティーズ学会会長、日本印度学仏教学会理事長、 日本佛教学会理事、東方学会理事、日本宗教学会常務理事等をつとめており、 著書に『涅槃経の研究−大乗経典の研究方法試論』(春秋社、1997)、『パリニッバーナ−終わりからの始まり』(日本放送出版協会、2007)等、編著書に『シリーズ大乗仏教』全10巻、春秋社)等がある。
研究分担者
-
小野 基
筑波大学 人文社会系教授
-
石井 清純
駒澤大学 仏教学部教授
-
蓑輪 顕量
東京大学 大学院人文社会系研究科教授
-
永崎 研宣
一般財団法人人文情報学研究所 人文情報学研究部門主席研究員
-
宮崎 泉
京都大学 文学研究科教授
-
Muller, Albert Charles
東京大学 大学院人文社会系研究科教授
-
苫米地 等流
一般財団法人人文情報学研究所 仏典写本研究部門主席研究員
-
船山 徹
京都大学 人文科学研究所教授
-
高橋 晃一
東京大学 人文社会系研究科准教授