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東京大学総合図書館所蔵サンスクリット写本のデジタル化公開

東京大学総合図書館が所蔵するサンスクリット写本を デジタル化して公開いたしました。

東京大学総合図書館所蔵 サンスクリット写本 データベース

SAT大蔵経テキストデータベース研究会(以下、SAT研究会)では、東京大学総合図書館が所蔵するサンスクリット写本の高精細カラー画像での公開に向けて取り組んでまいりました。科学研究費補助金(JP24520060JP15H05725及びJP19H00516)による取り組みに加えて、東京大学デジタルアーカイブズ構築事業の支援を受け、このたび、貝葉写本57件(デジタル画像6,342点)のデジタル画像の公開に至りました。

当該サンスクリット写本は、これまで、マイクロフィルムからデジタルスキャンを行ったものがデータベースとして公開されていましたが、モノクロでは読み取れない箇所が少なくないという声が寄せられる一方で、写本の現物資料は経年変化により損壊の危険が大きく、閲覧希望者に対する出納も容易ではないという状況にありました。国内外から利用希望が絶えない貴重なコレクションであることから、SAT研究会としてはカラーでの高精細デジタル撮影と公開に着手いたしました。取り扱いに慎重を要する資料であるため、撮影にも時間と費用がかかってしまうところ、東京大学デジタルアーカイブズ構築事業の支援により大きく進展することとなりました。

技術的な面に関しては、デジタル画像の撮影には、写本の細部を確認しやすくすることを目指しつつコストを考慮し、1億画素のカメラを用いました。画像の公開にあたっては、国際的なWeb画像の相互運用規格であるIIIF (International Image Interoperability Framework)に準拠しました。また、メタデータに関しては、人文学のためのテキスト資料デジタル化の国際的なガイドラインであるTEI (Text Encoding Initiative) P5 Guidelinesに準拠したものを作成した上でIIIF Manifest(IIIF規格においてメタデータ等を記述するファイル)に流し込むとともに、このファイル自体も各画像のIIIF ManifestのseeAlso項目からリンクしております。一方で、検索機能については、Apache Solr 8.9.0にメタデータをフラットな形式でインデクシングし、検索に際しては、検索した後に写本の束(親書誌)と中に含まれる1つもしくは複数の典籍(子書誌)にサーバ側で整形してクライアントにJSON形式で送出しています。この検索結果は外部からも取得できますので、適宜ご利用ください。

今回の公開では貝葉写本のみとなります。今後、紙の写本の公開も進めていく予定です。

2021年9月27日 SAT大蔵経テキストデータベース研究会