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IIIFに基づくデジタルアーカイブ協働システムの成果が京都大学貴重資料デジタルアーカイブに採用されました。PDF版でのお知らせ

2018年10月10日

 SAT大蔵経テキストデータベース研究会では、人文学のための次世代の研究環境を実践的に検討する活動の一環として2015年よりIIIF(国際的なWeb画像共有の枠組み)への対応に取り組んできており、2016年6月、東京文化財研究所と協働でIIIF対応仏典図像データベース、SAT大正蔵図像DBを公開しました。その後、東京大学総合図書館と共に万暦版大蔵経デジタル版を公開し、SAT大蔵経DB 2018年版 では全面的なIIIF対応を行いました。一方で、IIIFの本来の目的である、他のサイトも含めたWebでの画像共有という営みを実現するための取り組みをも進め、世界各地の文化機関から公開されているIIIF対応仏典画像を対象とした協働画像共有システムIIIF-BS (IIIF Manifest for Buddhist Studies) を構築するとともに、この協働の成果をSAT 大蔵経DB 2018年版においてリアルタイムに反映できるようにしました。その対象は、国内各文化機関のみならず、フランス国立図書館・ハーバード大学図書館・バイエルン州立図書館・ケンブリッジ大学図書館等、世界中の機関となっております。これまでは世界中の各機関のサイトを回って閲覧しなければならなかったところを、IIIF-BSに画像の情報を登録することによって一元的に扱えるようになり、他のサイトからでも自動的にその情報を取得できるようになっています。

 この協働の一環として、このたび、IIIF-BSを通じて蓄積された大正新脩大藏經テキストデータとの対応情報が京都大学貴重資料デジタルアーカイブに採用され、双方向の深いリンクが実現しました 。IIIF-BSでは、仏典画像とテキストデータとの対応を行単位で登録できるようになっています。これにより、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの仏典画像を閲覧する利用者に対して、通常の写本・刊本画像のみならず、その断片であっても、今回提供した情報を通じて対応する大正新脩大藏經のテキストデータを提示できるようになり、これまで以上の高い利便性を提供できることとなりました。

 なお、本件の詳細については、12月1~2日に東京大学地震研究所において開催される人文科学とコンピュータシンポジウム において発表予定となっております。