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顯正流義鈔 (No. 2673_ 眞慧撰 ) in Vol. 83
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No.2673
流祖上親下鸞尊者。嘗瑞世于扶桑國。宏闡
横超之眞門。普天響應。上自王侯大人下
逮販夫牧豎之儔。皆受其賜棲神安養者。
不可勝計焉。然流祖示滅幾乎二百餘年。
寛正文明之間。遺派末流執異計。而胡説
心行亂譚正雜。甚則誇佛願動失自誤他
者間有焉。世之相後未遠。其生弊也如是。
所謂強弩之末不穿魯縞者乎。古曰。聖人
不興必有名世者出焉。我於眞慧上人乎
見之。上人姓平氏大内。流祖第十世法孫也。
嘗慨念宗風委地法門亂統。而大悲説法
歸正宗矣。而欲垂將來作爲此篇。而以
發其歸趣。其爲書也直規濫吹大拯流弊。
天下眞宗安心一定。豈非斬邪見稠林之
寶劍。護如來正法之金湯乎哉。止恨流芳
未廣遠也。余也雖後學不類。所以荷法之
一也。於是乎不獲已。遂爲之校讐參訂。命
工壽椊以廣其傳。庶幾此書之流通也與
乾坤不盡。而俾彼之修淨業者捨邪歸正
以齊到實報土云
正徳三年癸巳孟冬念二日。洞津本徳教
寺沙門釋洪音槃譚題
夫。一向專修ノ行者ハ。ヒトヘニ萬行諸
善ヲ閣。疑心自力ノココロヲステテ。一
スシニ本願ヲタノミ。專名號ヲ稱ヘキナ
リ。其故ハ。彌陀ノ弘誓ハ四十八ナレトモ。
第十八ノ願ヲ本トス。釋尊マタ一向專念
無量壽佛ト説。諸佛ハ舌ヲ舒テ專持名號
ノ説ヲ證誠シタマフ。其外天竺ノ菩薩。唐
土ノ祖師。和朝ノ人師。ココロヲツクシ。
コトハヲアラハシテ勸進ス。佛ハ多マシ
マスト云トモ。彌陀ハ今ノ時ノワレラ衆
生ニ縁フカシ。法ハヨロツニワカレタレ
トモ。名號ハ末法五濁ノ根機ニ相應ス。妙
樂大師ハ彌陀與此世界極惡衆生偏有因
縁ト釋シ。弘法大師ハ人命無常猶如蜉蝣。
悠悠寂室念阿彌陀佛トノタマヘリ。ステ
ニ顯密ノ先徳。自宗ヲサシオキテコレヲ
ホム。假使他宗他門ノ人ナリトモ。聖教
ヲアキラメ。學文ニココロアランハ。イ
カテカコノ法ヲソシランヤ。オホヨソ眞
宗ノ法體ハ淺ニ似タリト云ヘトモアサカ
ラス。其故ハ。槃特カコトクノ愚鈍ノ者
モ。行スルニカタカラス。提婆カコトキ
ノ惡逆ノ輩モ。信スレハタスカル。コレ
マサニ佛ノ本願ノ力ツヨク。攝取ノ慈悲
ノフカキカイタストコロナリ。一聲モマ
コトヲイタシ名ヲトナフレハ。西方安養
ノ教主ハ。天眼遠見力ヲモテミソナハシ。
天耳遙門力ヲモテキキタマヒテ。イカナ
ルシツカイホリ･アマノトマヤナリトモ。
一坐無移不動ノ道場ヲチカヘスシテ。不
來ノ來益ヲナシタマフナリ。マコトニ神
變不思議ノ境界。未曾有ノ勝利ナリ。コ
ノトキ南無稱名ノ機ノ往生サタマルナ
リ。コレヲ攝取來迎トモ。報身來迎トモ。
平生業成トモ。平生往生トモマウスナリ。
シカレハ。佛ハキタリタマフトイヘトモ
來ニトトマラス。本所本座ヲウコキタマ
ハサルカユヘニ。キタラストイヘトモ不
來ニトトマラス。娑婆ノ機ヲ來テ護念シ
タマフカユヘニ。今時ノ行者。來不來ノ
アラソヒヲナスコトナカレ。タタ佛ノ自
在神力ノ不思議ナリ。モロモロノ有智ノ
モノノヨクシルコトナリ。論ノ註トイフ
文ニハ。身ウコキタマハスシテ動搖無窮
ノ徳。極樂ノ佛菩薩ハマシマスト。曇鸞
和尚ハアラハシタマヘリ。ソモソモ別意
ノ弘願ハ。教門ニテモ判シカタク。他力
ノ妙益ハ。等覺ノ薩埵モシラサルトコロ
ナリ。ヒトヘニ一心一行專修惠念センニ
ハシカシ。カタシケナクモ光明大師ハ。マ
ノアタリ彌陀ニアヒタテマツリテ。一心
專念名號ト傳受シ。源空聖人マタ大師ニ
アヒタテマツリ。專念彌陀ノ法義ヲウク。
親鸞聖人宗家元祖ノ兩意ヲ一器ニ受得
シ。關東ニオヒテ化導ヲアマネクシタマ
ヒシヨリコノカタ。西境ニオヨヒ南北村
里ニ遍滿ス。マコトニ彌陀･釋迦･諸佛ノ御
本懷。善導･法然･親鸞三師ノ御素意符合シ
テ。正･像･未ノ三時ノ機根ヲカカミ。相應ノ
法ヲアタヘタマフカユヱナリ。オホヨソ
人界ノ生ヱカタシ。佛法マタマフアヒカ
タシ。菩薩ハ爪上ノ土ヲタトヘトシ。如來
ハ優曇花ノコトシトトク。シカルニワレ
ラ今ウマレカタキ人界ノ生ヲ感シ。アヒ
カタキ佛教ニマフアヒタテマツルコト。
マコトニ闇夜ニ燈ヲ得。渡ニ船ヲ得カコ
トシ。ムシロ一眼ノ龜ノ浮木ニツキ。愁
雁ノ天ニノホルニ非ヤ。就中難行自力ノ
教門ニモ生レ不逢シテ。性徳天然ト易行
他力ノ妙縁ニヨルコト。コレ併彌陀佛ノ
法爾自然ノ道理。ヨロコフヘシヨロコフ
ヘシ。タノムヘシタノムヘシ。タタ佛ニ
歸命シ阿彌陀ト唱ンニハシカシ。カタノ
コトク專念專修ノスカタニテ。雜行雜修
ノ心モナク。異學異見ノ人ニモ云サマタ
ケラレサルヲ。決定信トモ。金剛心トモ。大
信心トモ。願作佛心トモ。淨土ノ大菩提
心トモ。利他深廣ノ信トモ。他力ノ信心
トモ云ナリ。更ニ名號アリカタキト信シ
稱ルヨリ外ニ。當流ニハコトナル義ナシ。
風ニ聞法藏因位ノ修行ヲモ。彌陀果位ノ
利生ヲモ。不聞不知ト云トモ。稱念マコ
トナラハ。往生決定ナルヘシ。故ニ法然
聖人ハ。觀念ノ念ニモ非ス。學文ヲシテ
念ノ意ヲサトリキハメテ申念佛ニモ非
ス。只在家無智ノ尼入道ノ身ニヒトシク
ナシテ。心ニ本願ヲタノミ。口ニ南無阿
彌陀佛ト唱ルヨリ外ニ。更ニ餘ノ子細ナ
シ。此外ニ奧深事ヲ存セハ。二尊ノ御ア
ワレミニハツレ。永無間地獄ニ墮ヘシト
御誓言アリ。又親鸞聖人モ。誓願ヲ不思
議ト信シ。名號ヲ不思議ト信スル外ニ別
ノ義ナシ。サレハコノ宗ノ意ハ。樣ナキ
ヲ樣トシ。義ナキヲ義トスト。仰ラルル
| ナリ | 御自筆于 今在之 | シカルニコノコロ。口ニハ當 |
相承ヲチカヘ。念佛申シテタスカラント
思ハ自力ナリト云。或ハ十九ノ願ノ意ナ
リト云。或ハ諸行往生ノ義ナリト云。或
ハ彌陀皇太子ノ繪像木像ヲステ。或ハ代
代相承ノ師ヲ誹セ。在家ノ尼入道ノ後生
ヲ損破スルモノコレアリ。豈非道計道非
因計因ノ外道。附佛法ノ大外道ニ非スヤ。
マサニ其罪業阿鼻ノ苦果ノカルヘカラ
ス。ツラツラ謗法外道ノ姿ヲ尋ルニ。タ
スカル法オハタスカラストシメシテ。人
ノ意ヲサマタケ。タスカラヌ法ヲハタス
カルトオシヘテ。人ノ心ヲマヨハス。コ
レマサニ謗法ノ輩ナリ。外道ノ類ナリ。經
ニハ。ナレムツフヘカラス。必定應墮地
獄ノ機ト説。如此アクマテ不淨説法シテ。
自ラモマトヒ。人ヲモマヨハシテ。自他
オナシク墮獄センコト。アハレナルコト
ナリ。ハヤク偏見ノ邪執ヲヒルカヘシテ。
佛祖ノコトク本願他力ノ念佛ヲモテ自行
化他ノ要術トセヨ。流祖聖人ノ和シタマ
フ讃ニ云。菩提ヲ得マシキ人ハミナ。專修
念佛ニアタヲナス。頓教毀滅ノシルシニ
ハ。生死ノ大海キワモナシ。念佛誹謗ノ
有情ハ。阿鼻地獄ニ墮在シテ。八萬劫中
大苦惱。ヒマナクウクトソ説タマフ。衆
生有礙ノサトリニテ。無礙ノ佛智ヲウタ
カヘハ。曾婆羅頻陀羅地獄ニテ。多劫衆
苦ニシツムナリト。鸞聖人ノ御ナカレヲ
クマン今ノ時ノ道俗等。念佛ノ法體ヲユ
ルカセニ存スルコトナカレ。ココニ予當
流ノ元由ニ順シ。當流ノ奧旨ニ任セテ。自
ラモツトメ。他オモススメテ。稱名ヲコ
トトス。然間今興スルトコロノ邪義聽聞
ノ人人。或ハ後悔ノ心ニ住シ。或ハ高慢
ノ心ヲモチテ問云。念佛申テタスカラン
ト思ハ自力ナリ。其故ハ。口ニ稱･身ニ拜。
ステニ自力ノ行ナリ。タスカラント思ハ。
是又我意ヨリオコル間。自力ノ心ナリ。心
行自力ナレハ。何ソ他力ノ報土ニ生ンヤ。
答。此尋甚非ナリ。心ニ佛ノ本願ヲタノマ
ス。身口ニ名號ヲ禮稱セスシテタスカラ
ント思コソ。マコトニ自力ナレ。ステニ
如來ニマコトヲイタシ。我名ヲ稱ンモノ
ヲタスケント誓マシマス間。我等カノ佛
ノ御誓ヲタノミテタスカラントオモハ
ン。コレ至極ノ他力ナリ。何ソ自力トナ
ルヘキヤ。不知彌陀覺王法藏比丘ノ昔。平
等ノ慈悲ニ催サレテ。兆載永劫ノ修行ヲ
メサレ。五劫思惟ノ御苦勞ヲナシテ。一
切ノ我等衆生ノ根機ニカハリ。願行ヲ圓
滿シ。我名ヲ本願トタテ。若ハ智慧ノモ
ノ。若ハ無智ノモノ。若ハ持戒ノモノ。若
ハ破戒ノモノ。機ノ善惡ヲキラハス。心
ノ妄不妄ヲ不謂。若ノ一聲。若ハ十聲若ハ
形ノ盡マテ。イツレヲモモラサシタスケ
ント誓タマフト。今ノ經ニネンコロニ釋
尊ノ説タマフヲハ。只此誓約ニマカセ尊
號ヲ稱レハコソ易行トハ云。偏ニ佛ノ願
力ヲタノメハコソ。他力ニスカルトハ申
セ。然ルニ我口ニイヒ。心ニオモフ間自力
ナリト云ハ。如何ナル他力ノ行カ口ニモ
不稱心ニモ不思シテ佛ニナルヤ。聖淨二
門･自他二力ノ差別ハアリトモ。一代教ノ
中ニ。無信無行ノ得道アリト云説アルヘ
カラス。イカナル經論釋ニヨリテ此義ヲ
尋ルヤ。請其證文ヲ出セ。聞テ其決判ニ
オヨハン。若文モナク證モナクハ。魔説
ナルヘシ。聖教ニ有目ノ輩。誰カコレヲ
信センヤ。外道ノ家ニコソ無信無行ノ勸
化ヲ專ニスト。大師ハ玄義分ト云文ニ釋
シタマヘ。モトヨリ當流ノ意ハ。往生ヲ
ハ佛ニ任セ。行者ノ所作ニハ稱名セヨト
ススムレハ。吾心ノヨキニツケテモ南無
阿彌陀佛。アシキニツケテモ南無阿彌陀
佛トタノムマテナリ。コレ吾心ニタノミ。
口ニ稱フルニ似タリト云ヘトモ。彌陀如
來ノ施與タマフ行オコサシメタマフト
コロノ心ナリ。故ニ他力ノ行･他力ノ心ト
云ナリ。鸞聖人ハ。コレ行者ノ我オコシ
行スルニ似タリト云ヘトモ。往相回向ノ
大行･往相回向ノ大信マサシク他力ナリ
ト。教行證ニ判シタマヘリ。私ノハカラ
ヒヲモテ口ニ云･心ニ思間自力ナリト云
コト。無下ニアサマシキコトナリ。正教ノ
道理ヲモ不知。祖師ノ御意ヲモ不窺シテ。
愚癡無知ノ輩邪推ヲ以正法ヲ批判スルコ
トナカレ。又彼邪義聽聞ノ人問云。念佛
ヲ申テタスカラント思ハ。十九ノ願ノ意
ナリ。諸行往生ノ義ナリト。如何。答。此尋
甚非ナリ。大無量壽經ニ。彌陀如來ノ四
十八願ヲ一一ニ明ストシテ。第十八ニハ
念佛ヲ生因ト願シ。第十九ニハ諸行ノ機
ヲタスケント誓。第二十ニハ結縁ノ類ヲ
遂ニ救ント誓願ス。マコトニ哀哉。願體分
明ナルヲタニ不知シテ。十八ハマサニ念
佛往生ノ願･往相回向ノ願ナルヲ。諸行往
生ト云。十九ノ願ト云テ。人ヲマトハス。豈
文書ニ。非人ハ自ノ非ヲ不知ト云。蓋此類
ナリ。第十八ノ願ニ云。設我得佛。十方衆
生。至心信樂。欲生我國。乃至十念。若不
生者。不取正覺。唯除五逆誹謗正法ト云
リ。同成就ノ文ニ云。諸有衆生聞其名號信
心歡喜。乃至一念。至心回向セリ願生彼國即
得往生住不退轉ト云リ。宗家大師此本
願ノ文ヲ釋シテ。若我成佛。十方衆生稱我
名號下至十聲。若不生者不取正覺。彼佛
今現在成佛。當知本誓重願不虚。衆生稱念
必得往生トノタマヘリ。又ハ如無量壽經
四十八願中。唯明專念彌陀名號得生ト
云リ。元祖聖人ハ。彌陀如來餘行ヲ以往生
ノ本願トシタマハス。タタ念佛ヲ以往生
ノ本願トスト釋シ。南無阿彌陀佛往生ノ
業ニハ念佛ヲ本トスト云リ。流義ノ祖師
ハ。此心ハ即是念佛往生ノ願ヨリ出タリ。
コノ本願ヲ選擇本願ト名トノタマヘリ。
又讃ニハ。念佛成佛コレ眞宗。萬善諸行
コレ假門。權實眞假ヲワカスシテ。自然
ノ淨土ヲエソシラヌトモ和シタマヘリ。
ステニ願文オナシク成就ノ文ニハ。乃至
十念ト誓。又乃至一念トアラハス。大師ハ
稱我名號ト釋シ。元祖ハ念佛本願トアカ
シ。祖師ハ稱名正定業ト判ス。經釋分明ナ
リ。アヘテ念佛申シテタスカラント思ハ。
十九ノ願ノ意･諸行往生ノ義ナリト云コ
トナカレ。信行不離･機法一體ハ此宗ノ
己證。源コノ願ノ意ナリ。信ト云ハ。本願
ノ名號ヲ聞テ不疑ヲ云。行ト云ハ。不疑
意ニテ名號ヲ稱ルヲ云ナリ。サレハ鸞聖
人ハ。行ヲハナレタル信モナク。信ヲハナ
| レタル行モナシトノタマヘリ | 御自筆于 今有之 | 深名 |
モ。平生攝取往生ノ機トモ。第十八願ノ
機トモ。即往生トモ。難思議往生トモ。大
經往生トモ云ナリ
| 顯正流義鈔上 | 終 |
第十九願ニ云。設我得佛。十方衆生發菩提
心修諸功徳。至心發願欲生我國。臨命終
時。假令不與大衆圍遶現其人前者不取
正覺ト云リ。當流ノ聖人。コノ願成就ノ文
ト云ハ即三輩ノ文コレナリ。又觀經ノ定
散九品ノ文コレナリトノタマヘリ。願文
アキラカニ修諸功徳ト誓。祖師マサニ三
輩ノ諸善九品ノ諸行ヲサシテコノ願ノ成
就ト釋ス。機ヲ云ヘハ邪定聚ノ人臨終來
迎ヲ期ス諸行往生ノ機。至心發願欲生ノ
機ナリ。又便往生トモ。雙樹林下往生ト
モ。觀經往生トモ。十九ノ願ノ機トモ云
ナリ。何ソ念佛ニテタスカラントタシナ
ムヲコノ願ノ意ナリト云ヤ。第二十ノ願
ニ云。設我得佛。十方衆生聞我名號。係念
我國。植諸徳本。至心回向欲生我國。不果
遂者不取正覺ト云リ。コノ願ノ意ハ。信
シ行スルコトアタハスト云ヘトモ。何ト
ナク耳ニ名號ヲフレ。又極樂ト云ヘハ深
ネカフコトハナケレトモ。一旦マイラハ
ヤト念ヲカケ。一旦ノソミヲナシ。スヱ
ヲモトホサヌモノアリ。或ハ名聞ニ信ス
ル顏ヲシ。或ハ利養ニ行スルフリヲスル
モノコレアリ。結縁ノ類ナリ。マコトニ
不定聚ノ機。至心回向欲生ノ機。二十ノ
願ノ機ナリ。又往生ヲ云ヘハ難思往生ナ
リ。彌陀經往生ナリ。カクノコトク正定
ノ行ヲ不定ニオモヒテ。順次ノ往生ヲセ
サルナリ。然トイヘトモ。其結縁ステカ
タクオホシメサレテ。三生ニ必タスケン
ト願ヲオコシ。不果遂者ト誓タマヘリ。上
ニ云カ如。十八ハ念佛往生。十九ハ諸行
往生。二十ハ結縁往生ナリ。コノ三願ノ
意趣如此。往生ノスカタ三願ニワタリタ
レトモ。其差別天ト地トナリ。其故ハ。第
十八ハ稱名信心ノ行者。攝機生因ノ二ノ
力ニテ。本願眞實ノ報土ニ往生ス。コレ
他力ノ正意ナリ。第十九ハ修諸功徳ノ行
者ナリ。コレ生因本願ノ機ニ非カ故ニ。攝
機ノ力ハカリニテ方便化土ニ往生ス。コ
レ他力ノ傍益ナリ。第二十ハ定散自力ノ
行者係念遠縁ノ姿也。然ニ十九･二十ノ願
ノ機モ。第十八願ノ機ニナラテハ。眞實
報土ニハイタラヌナリ。マコトニマコト
ニ。實報華王ノ寶國ハ。源名號所成ノ報
土ナルカ故ニ。生スル種モ稱名ナリ。倩
此理ヲ案スルニ。阿彌陀ノ三字ハ。希有
最勝ノ華文･無上甚深ノ法體ナリ。言語モ
斷･心行モ不及。果分ノ上ノ果分･不可思議
ノ上ノ不可思議ナリ。但コノ三願ヲ三經
ニ配當シ。三往生ニ當。三定聚ニ配當ス
ルコトハ。コノ流ノ義ナリ。ヨクヨク後
學明メヨ。又彼邪義聽聞ノ人問云。繪像
木像ハ方便ナリ。コレヲタノミテ益ナシ。
代代相承ノ念佛ノ血脈ヲタタスコトナカ
レ。只我云トコロノ念佛ニテタスカラン
ト思ハ自力ナリ。又諸行往生ノ意ナリ。又
十九ノ願ナリ。カク心得ルヲ善知識ト云。
コノ義ヲタツルヲ直説聖人ト云ト。コノ
コト如何。答。此尋甚非ナリ。マツ繪像木像
ヲスツルコトハ五逆ノ罪人ナリ。ツキニ
念佛相承ノ血脈ヲステサセ。經論釋義ヲ
ソムキ。新義ヲ云テ正義ト號スル。コレ
マサニ謗法ノ人ナリ。傳聞。昔我朝ニ守
屋ノ大臣コソ。佛像經卷ヲ燒ステ。皇太
子ニ敵ヲナス。中古日蓮法師コソ。念佛
ヲ無間業ト立。又方便ノ教ト云。今新義
ヲ立テ佛法ト號シテ人ヲススムルヤカ
ラ。モハラ繪木ノ佛像ヲステ。皇太子ノ尊
形ヲノケ。念佛方便ト云。豈彼同類ニ非
スヤ。哀哉ヤ。紅蓮大紅蓮ハ彼カ永棲家ナ
ルヘシ。焦熱大焦熱ハカノ黨類ノ所居タ
ルヘシ。可恐可恐。不可親不可親。抑繪
木ノ佛像ト云ハ。忝モ住持三寶ノ中ノ佛
寶ナレハ。三國傳來ノ大師先徳。イツレ
カコレヲアカメサリシソ。法然･親鸞ハ。彌
陀ノ繪像木像ヲハ。淨土ノ報佛ノ如來ト
アカメタテマツレトノタマヘリ。選擇集
ニ恭敬修ヲ明トシテ。有縁ノ像教ヲ敬ト
釋ス。コノ意ナリ。何ソ口ニハ他力ノ行
者ト云テ。彌陀ノ本尊ヲノケ。形ヲハ佛
法者トナシテ。弘通ノ恩ヲ不知シテ。皇
太子ノ形像ヲスツルヤ。佛法ノ大恩ヲ報
センカタメニ。傍ニ皇太子ヲ崇敬スト。鸞
聖人ノ仰セラレシニヨリテ。彼法流ヲ汲
者。多分太子ヲ祖師トシテ本尊ニ崇。或
ハ傍ニ立。コレ相承ニオヒテ依用相承･血
脈相承ノ二アリ。其依用相承ノ義ナリ。イ
ツレノ宗カ佛法ノ弘通ヲ知ン人。繪木ノ
佛像ヲステ。皇太子ヲソシリタテマツル
ヘキ。且親鸞聖人當流弘通ノ始ハ。坂東
常陸ノ國笠間稻田ト云處ナリ。彼寺ノ本
尊聖徳太子ニマシマスナリ。コレ今ニア
リ。流義ノ聖人ステニ太子ヲ本尊トシテ
佛法ヲヒロメハシメタマフナリ。其吾祖
師ノ御在世ノヤウヲタニモ不知身ニテ。
當流ノ是非ヲ沙汰シ。多ノ人ヲ惑スコト。
豈天魔ノ障礙･波旬ノ所行ニ非スヤ。俯惟。
泥木素像ト云ハ。凡夫ノ肉眼ヲ以ヨリ感
見マウシテ無上ノ勝利ヲ得。黄卷朱軸ハ。
我等衆生ノ情度ニ應シテ益ヲ與。剃髮染
衣ハ。佛法増進ノ姿ナレハ。見信ノモノ
功徳ヲ獲得セスト云コトナシ。敢忽思コ
トナカレ。次ニ念佛ノ血脈ヲステサスル
コト。コレマサニ淺猿キコトナリ。西天
ノ佛法今東域ニ將來シテ。八宗九宗十宗
ニ分タリト云トモ。何ノ宗ニカ代代ノ師
ヲ捨血脈イルマシキト立ルヤ。其上當宗
ノ意ハ。彌陀ノ本願･釋尊ノ附屬。阿難舍利
弗ウケタマヒシヨリ以來。傳持ノ旨ヲ今
ニマタクスルトコロナリ。爰以選擇集ニ
ハ。第一章ニハ宗ノ教相ヲ明シ血脈ヲア
ラハスナリ。教行證ニハ。行卷ニ血脈ヲ
アケテ。六卷流通分ニ。我空聖人ヨリノ
御相承ヲ委シタマヘリ。彼文ニ云。シカ
ルニ愚禿釋鸞。建仁辛酉ノ歳。雜行ヲ捨
テ本願ニ歸シ。元久乙丑ノ歳。恩恕ヲカ
フリテ選擇ヲ書シキ。同年初夏中旬第四
日ニ。選擇本願念佛集ノ内題ノ字。并ニ
南無阿彌陀佛往生之業念佛爲本ト。釋綽
空ノ字ト。空ノ眞筆ヲモテコレヲ書シメ
タマフ。同日空ノ眞影申アツカリテ。圖
畫シタテマツル。同二年閏七月下旬第九
日。眞影ノ銘眞筆ヲモテ。南無阿彌陀佛
ト若我成佛十方衆生稱我名號下至十聲若
不生者不取正覺彼佛今現在成佛當知本誓
重願不虚衆生稱念必得往生ノ眞文ヲカカ
シメ。又夢ノ告ニヨリテ綽空ノ字ヲ改テ。
同日御筆ヲモテ名ノ字ヲカカシメヲハリ
ヌ。本師聖人今年七旬三ノ御歳ナリ。選擇
| 本願念佛集ト云ハ。禪定博陸 | 月輪殿兼實 法名圓昭 | ノ教 |
眞宗ノ簡要･念佛ノ奧義。コレニ攝在セリ。
見者サトリヤスシ。マコトニコレ希有最
勝ノ華文･無上甚深ノ寶典ナリ。年ヲ渉リ
日ヲ渉リテ其教誨ヲ蒙ル人千萬ナリト云
トモ。親ト云疎ト云。此見寫ヲ獲ル徒。甚
モテカタシ。シカルニステニ製作ヲ書寫
シ。眞影ヲ圖畫シタテマツル。是惠念正業
ノ徳ナリ。是決定往生ノ徴ナリ。仍悲喜
ノ涙ヲオサヘテ。由來ノ縁ヲ註トイヘリ。
コノ御傳持ノムネニマカセテ。當流聖
| 人 | 親鸞 | 七十ノ御歳。仁治三年壬寅五月二 |
法橋ニ。ワカ影ヲ寫サシメタマウ。同
定禪モ夢想ノ告アリ。爾ニ八十三ノ御歳。
カノ眞影ニ自筆ヲモテ。大無量壽經言。設
我得佛。十方衆生至心信樂欲生我國。乃
至十念。若不生者不取正覺。唯除五逆誹
謗正法。又言。其佛本願力。聞名欲往生。皆
悉到彼國。自致不退轉。又言。必得超絶去
往生安養國。横截五惡趣。惡趣自然閉。昇
道無窮極。易往而無人。其國不逆違。自然
之所牽。無量壽經優婆提舍願生偈。婆藪般
豆菩薩造曰。世尊我一心歸命盡十方無礙
光如來。願生安樂國。我依修多羅眞實功
徳相。説願偈總持。與佛教相應。觀彼世界
相。勝過三界道。究意如虚空。廣大無邊際。
又曰。觀佛本願力。遇無空過者。能令速滿
足功徳大寶海。和朝釋親鸞法師正信偈曰。
本願名號正定業。至心信樂願爲因。成等
覺證大涅槃。必至滅度願成就。如來所以
興出世。唯説彌陀本願海。五濁惡時群生
海。應信如來如實言。能發一念喜愛心。不
斷煩惱得涅槃。凡聖逆謗齊回入。如衆水
入海一味。攝取心光常照護。已能雖破無
明闇。貪愛瞋憎之雲霧。常覆眞實信心天。譬
如日光覆雲霧。雲霧之下明爲闇。獲信見
敬大慶喜。即横超截五惡趣。愚禿親鸞八十
三歳ト銘文ヲアソハシ。又撰集シタマフ
トコロノ教行證一部六卷眞筆ニ書シ。建
長七年乙卯冬ノコロ。眞佛上人･顯智上人
ニナラヘテアタヘタマフ。コレマコトニ
附法相承ノ義顯然ナリ。鸞聖人ノ直弟多
トイヘトモ。親ト云疎ト云。御眞影ヲタ
マハリ。自筆ニ銘文ヲカカシメ。眞筆ノ
製作傳授アルコト無之。嫡弟ト云附法ト
云。相承血脈ノ義。タレカコレヲアラソ
ハンヤ。御自筆ノ教行證。御自筆ノ銘文
ノ御影。于今傳持ス。ユメユメ繪木ノ佛像
ヲステ。血脈イルヘカラスト立ル義ヲ。本
ニスルコトナカレ。コレマサシク祖師聖
| 人 | 親鸞 | ノ御オキテヲシラスシテ偏見我慢 |
ルフモノノ。口ニマカセテ云コトナリ。今
アクルトコロノ三箇條ノ尋ハ。中中返答
ニオヨハス。筆點ニ記ニアタハストイヘ
トモ。世間ニ流布シテ。在家無智ノ尼入
道ヲトモナヒイヒサタスルナレハ。彼カ
謬ノホトヲモシラセ。又往生ノ信心ヲモ
治定セシメンカタメ。且ハ破邪顯正ハ佛
ノ本意。捨謬開悟ハ法ノ大途ナレハ。紙
ヲトリ毫ヲ染テ。祖師相承ノ義趣ニ順シ。
年來披見ノ聖教ニ任テ。カタノコトク草
案註記ス。自今已後モ。一宗一流ノ行者。
彌陀･釋迦･善導･源空･親鸞ノ御本意ノコト
ク。一心一向ニモハラ名號ヲ稱念シ。更ニ
餘行ヲ不雜ススメン人ヲ。眞ノ善知識ト
タノムヘシ。能能意ヲ得ヨ。祖師親鸞聖
人ノ御流ヲ承ンモノ。コノ疏ノウヘニ不
審アラハ。我慢偏執ノ心ヲヤメ。穩便無
事ノ姿ニテ。族宿ノ草庵ニ來リテ尋ヨ。シ
カラハ鸞聖人ノ御在世ノオキテニ任。眞
佛･顯智ノ御相傳ノムネヲモテ。經論釋ヲ
證トシテ決判ニオヨハン。尚尚コノ三箇
條ノ難勢。イツレモマコトシカラスト云
トモ。風聞ニマカセテコレヲシルス。其
外善導大師･法然聖人ノ疏釋。當流ニハイ
ルヘカラスト云。又念佛ニテ亡者トフラ
ウハ自力ナリト云。邊地ヨリ地獄ニ墮ト
云。如此ノ新義キコユ。以ノ外ノ存外ナリ。
中中筆ニシルスニアタハス。マコトニア
サマシキコトナリ。コレ管見推量ノ邪智
ノ義ナリ。アヒカマヘテ信用スヘカラス
于時文明四年壬辰二月二十日
釋眞慧記之
| 正徳四年 | 甲午 | 歳二月良辰 |
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